多くの規制獣医師の判断は正しかったことをデータが証明(アメリカ)【獣医・診療】
本紙(Blood Horse紙)が直近で収集したデータによれば、レース前に馬の最後の守り手として非常に注目される立場にある規制獣医師たちは、多くの正しい事前判断を下しているようだ。
登録された全ての馬が馬主や関係者たちから一定の投資を受けていることを考えれば、規制獣医師たちが迫られる判断は常に難しいものである。例えばそれが遠征を伴うステークス競走であれば、投資額もそれだけ大きくなるのだ。
一方で、馬の保護とそれに伴う競馬の社会的評価の維持も重要である。先述のデータによれば、規制獣医師の判断によって出走取消となった馬には、その後長期休養を余儀なくされるケースが頻繁に見られる。もちろん個々の事例には異なる事情があるにせよ、少なくとも、規制獣医師によって出走取消となった馬がその後長期休養に入っていた場合、その判断によってリスクのある馬が守られた可能性が高いと言えるだろう。
近年、一部の競馬開催州では競走馬の除外に関する情報公開が進められており、規制獣医師による除外判断を個別に把握することが可能となった。デラウェア州、ケンタッキー州、ニューヨーク州などの区域では、規制獣医師の判断による除外があった場合、その旨を明記している。
本紙が米ジョッキークラブに要請したところ、これらの詳細情報の提供を受けることができた。本紙が2024年7月1日から2025年6月30日までの1年間における規制獣医師判断による出走取消事例を分析したところ、実に13,868件もの獣医判断による出走取消が行われていた(※開業獣医師および統括・施行団体の規制獣医師による判断の合計件数)。
また、詳細情報を提供している3州のデータによると、規制獣医師による出走取消として計947件が記録されていた。本調査の対象となるのはこの部分、つまり、該当期間中に規制獣医師による出走取消として記録された事例である。このグループを分析すると、規制獣医師により除外された947頭の馬のうち233頭がその後競走に復帰できていない。これは、2025年6月30日までの1年間に規制獣医師により除外された馬の25%が、本調査を終了した2025年12月11日までに一度も出走していないことを意味する。
またこれら947頭の競走馬が次のレースに出走するまでの平均休養期間は135日間であった(12月11日時点で出走できていない馬については、取消日から12月11日までの日数を算出した)。
一部の州では、いつ規制獣医師が判断を下したかを記録するだけでなく、さらに詳細を明記しており、「不健全」は、獣医師が出走取消を判断する理由の一つになっている。このフィルターを加えると、調査対象の1年間では586頭の馬が該当する。そして、これらのうち168頭(29%)は12月11日までに競走に復帰しなかった。
昨年10月、カリフォルニア州競馬委員会(CHRB)の獣医局長であるジェフ・ブリア博士は、州内の類似データを引き合いに出し、州内の規制獣医師が重要な安全確保の役割を提供していることを示唆した。同氏は、カリフォルニア州における出走取消事例および、クレーミング競走におけるレース後の不健全診断で無効となった売買取引について、包括的分析の要点を発表した。
カリフォルニア州における直近の会計年度(2024年7月1日~2025年6月30日)において、出走前のパドック周回時に23頭の競走馬が除外されており、これらの馬が競走に復帰するまでにかかった平均日数は108日であった。一方、同条件で出走した馬の次走までの間隔は平均39日であった。両者を比較すると、除外馬の復帰に要した日数はほぼ3倍に及ぶことがわかる。
2025年のブリーダーズカップ(BC)開催を前に、CHRBのスコット・チェイニー専務理事は、州の規制獣医師の功績を称賛した。同氏は、規制獣医師たちは称賛されるどころか、関係者から批判されることが多いとも指摘した。
「他州でも同様の立場にある担当者は、馬主や調教師からの反発に直面しており、規制獣医師たちへの異議申し立てが蔓延しています」とチェイニー氏は述べた。「私が言いたいのは、第一に、規制獣医師の確保はますます困難になっています。これは主に、彼らが働く環境が厳しいことに起因します。第二に、こうした批判は全く役に立たないばかりか、さらに重要なことに、事実とは全く異なるのです」。
この主張を裏付けるため、チェイニー氏は州内の獣医師による出走取消の詳細をさらに説明した。
「カリフォルニア州における前会計年度の803頭の売買取引のうち、109頭(13%)の取引が(レース後の獣医師診断によって)無効となりました。この109頭のうち、ほぼ半数がレースに復帰できておらず、残りの半数も復帰までに平均148日を要しました。一方、残りの馬の95%については、次走までに要した平均日数はわずか28日でした」。
「つまり、規制担当獣医師はリスクのある馬を極めて正確に特定しているということです」とチェイニー氏は付け加えた。「健全な馬が時折除外されることはあるか? もちろんあります。しかし統計が示す通り、これは極めて稀なケースです。疑わしい馬を出走させること、ましてや致命的な負傷を負わせることによる競馬業界へのリスクとコストと比較すれば、この除外措置は完全に正当化されると確信しています」。
もちろん、時折出走取消となる健全な馬の所有者や関係者にすれば、その見方は大きく異なるだろう。しかしデータに現れた数字は、この最終防衛ラインによってリスクのある馬が守られていることを示唆している。健康な馬が出走取消とならないよう、さらなる改善の余地はあるかもしれない。現時点では、より広い視野を持ってほしいとチェイニー氏は訴えた。
「間違いなく、BCで除外を受ける馬の関係者やファンは胸が張り裂けるような思いでしょう」と彼は直近のBC開催を前に語った。「しかし、規制獣医師への批判は的外れであり、結局は動物福祉の推進や競馬全体のイメージを損なう結果となるのです」。
By Frank Angst
[bloodhorse.com 2026年1月6日「Stats Suggest Reg Vets Protecting Vulnerable Horses」]

























