海外競馬情報 軽種馬登録ニュース 海外競走登録 海外競馬場・日程 申請書類 世界の競馬および生産統計 統計データベース 馬名登録案内
血統書サービス 引退名馬 JWS
twitter FB
TOPページ > 海外競馬情報 > フランス競馬に希望をもたらす木曜ナイト競馬イベント「ジュディ」の開催(フランス)【開催・運営】
海外競馬情報
2026年06月04日  - No.19 - 2

フランス競馬に希望をもたらす木曜ナイト競馬イベント「ジュディ」の開催(フランス)【開催・運営】


 パリロンシャン競馬場の芝生を見下ろす、長く続く高架遊歩道「レ・プランシュ」に立ち、何千人もの楽しそうなパリの若者で埋め尽くされた競馬場をDJが盛り上げている様子を見ると、自分が年を取ったと感じずにはいられなかった。それと同時に、楽観的にならずにもいられなかった。

 その頃には、最終レースが終わってからすでに2時間以上が経っていた。アガ・カーン4世賞(イスパーン賞)(G1)を優勝したダリズはとっくに帰り、向こう正面の彼方にはエッフェル塔のライトアップが見えていたが、それでもフランス随一の競馬場パリロンシャンはなお来場者で埋め尽くされており、その状態は翌午前1時まで続いた。

 この光景そのものが、フランス競馬を救うわけではないだろう。しかしそれは、革新的な発想があれば何が実現できるかを示していた。それはまた、自国固有の危機だけでなく、競馬界全体が共有する問題にも取り組む一国の姿を示す、素晴らしい実例でもあった。

 木曜日(5月28日)のサンダウン競馬場では、英国最大級のナイト開催である「ブリガディアジェラードナイト」が行われ、オンブズマンがその目玉を飾るだろう。先週の木曜日(5月21日)のパリロンシャン競馬場では、そのゴドルフィンのスターホースにとってロイヤルアスコット開催での最大のライバルと目される馬であるダリズが、またもや圧巻の勝利をおさめ、名馬への道を駆け続けた。その馬は、フランス競馬史に残る出来事を見届けようと集まった1万人の観客の前で勝利してみせた。

 フランスではG1レースは主に日曜日に開催されるが、現在「アガ・カーン4世賞(G1)」および「ヴィコンテスヴィジエ賞(G1)」として知られる2025年実施のレースも日曜日に開催されていた。今年は、これら2つの目玉レースは、パリロンシャン競馬場が主催する「ジュディ(Jeuxdi)」の今回の開催日へと移された。このジュディは、仕事帰りの若年層を呼び込むことを目的とした、全9回にわたる木曜ナイト競馬イベントのシリーズである。

 この試みは驚くほど成功し、12か月前にこの2つのG1レースが日曜日に開催された際にはわずか3,000人 -フランス流に言えば「2人の男と1匹の犬」と揶揄される程度- の観客しか集まらなかったパリロンシャン競馬場に、活気あふれる雰囲気をもたらした。

 木曜日の観客数は凱旋門賞馬が出走していなくても1万人近くに達していたかもしれない。それでもフランスギャロは、多くのフランスの若者たちに、フランス競馬の最高峰を披露したいと考えたのであり、その判断は正しかった。

 フランスギャロもまた、自らが馬券売上の収益が激減したことで引き起こされた財政危機に直面していることを認識している。そのため、早急に新たな収入源を見出さなければならない。また、競馬の観客層が必ずしも若年層中心ではないことを踏まえ、新たな観客層を開拓することも必要である。

 その点において、フランスだけが孤立しているわけではない。多くの国・地域で競馬の主要レース開催日に競馬場を訪れる若者の数が、喜ばしいことに目に見えて増加している。競馬界はこうした勢いが維持されることを必要としている。また、社交の場として競馬場を訪れる若年層の顧客を熱心な競馬ファンへと転換させる必要もある。今回はそのための試みがなされたものである。

 ダリズが凱旋してきたとき、確かにウィナーズサークル周辺の観覧席は混雑していなかったが、その日の最終競走を飾ったヴィコンテスヴィジエ賞では、埒沿いに5列もの観客で埋め尽くされていた。来場者たちがどれほど熱心に、そして活気に満ちてレースに没頭していたかが印象的だった。発走直前の数分間、どれほど多くの人が馬券を買うために列を作っていたかもまた印象的だった。

 レース終了から音楽イベントが始まるまでの間、DJが登場する予定だったステージで、この2つのG1競走の表彰式が行われた。ダリズ陣営のザラ・アガ・カーン王女、フランシス・グラファール調教師、ミカエル・バルザローナ騎手、そしてヴィコンテスヴィジエ賞優勝馬カバーヨデマールの英国陣営にとって、それが少し非現実的に感じられたとしても無理はない。まるで熱狂するライブ会場の観客の前でトロフィーを授与されるようなものだったからである。しかし、これもまた、競馬を人々に身近に感じてもらうための一つの試みだったのである。

 そうした来場者の1人である20代の男性が私に何が行われているのか尋ねてきた。そこで私が、緑と赤の勝負服を着た騎手がヨーロッパ最高の競走馬に乗っていたのだと説明すると、彼は心から感心した様子だった。

 それよりずっと前に行われたメディア懇談会で、フランスギャロの最高幹部数名は、なぜジュディ -そしてこの第1回ジュディオブチャンピオンズ- がとても重要なのかを説明していた。

 「我々は今、生き残りをかけた局面にあります」とフランスギャロの2人の副CEOのうちの1人であるギヨーム・エランベルジェ氏は語った。同氏は、今年のPMU(フランス場外馬券発売公社)からの還元が5,000万ユーロ(約92億5,000万円)減少する見通しについて言及した。フランスの競馬はもはや馬券売上だけに運営費を頼ることはできず、新たな収入源が必要とされている。

 幸いなことに、ジュディのプログラムは、近隣のラ・デファンス・ビジネス地区にある金融機関・企業が購入するホスピタリティーパッケージのおかげで、きわめて収益性が高い。競馬界にとって、金融機関・企業との良好な関係は不可欠である。また、それは若い来場者たちについても同様である。彼らがコース上で繰り広げられるレースを実際に体験してもらえるよう、早めに来場すればするほど料金が安くなる仕組みになっている。

 フランスギャロが収集したデータによると、ジュディは凱旋門賞(G1)やディアヌ賞(G1)を観戦するためのチケットを購入する新規顧客の増加につながっている。しかし現実には、木曜ナイトイベントがこれほど成功している理由は、単に競馬だけにとどまらない体験を提供しているからである。本コラムで繰り返し論じてきたように、競馬はエンターテインメントとして売り出していかなければならない。そして、それはますます、一大イベントのような雰囲気を備えていなければならないことを意味する。

 「我々は、競馬を私たちが生きているこの新しい世界に適応させなければなりません」とエランベルジェ氏は語った。同氏は「スポーテインメント」という言葉を度々口にし、関係者からの支援が不可欠であることを強調した。彼は「我々のDNAには大きな変化が必要です」と主張した。彼の上司であるフランスギャロ会長のギヨーム・ド・サンセーヌ氏もこれに同意し、「我々は競馬について、これまでと異なる発想で考えなければなりません」と述べた。

 ロンシャン競馬場の木曜の夜は、間違いなくこれまでと違っていた。そしてそれは楽しいものであった。それこそが、スポーツ、エンターテインメント、そして「スポーテインメント」が本来あるべき姿である。

 その夜のG1最終レース終了後、レース実況アナウンサーが「ポンポンボーイとポンポンガール」と呼んだパフォーマーたちが観客席を盛り上げた。その後まもなく、場内放送ではエディット・ピアフの名曲「水に流して(Non, Je Ne Regrette Rien:私は何も後悔しない)」の演奏版が流れ始めた。

 ジュディオブチャンピオンズのためにパリに滞在したことに、確かに後悔はまったくなかった。そしてフランスギャロもまた、この小さなフランス革命を後悔することはないだろう。

By Lee Mottershead

(1ユーロ=約185円)

[Racing Post 2026年5月24日
「DJ sets, Group 1s and 10,000 young fans - French racing faces a severe crisis but its Thursday revolution offers real hope」]


上に戻る