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2026年04月30日  - No.15 - 1

バリアトライアルの透明性について(イギリス)【開催・運営】


 英国で平地競走のシーズンが本格化するにつれて、バリアトライアルに参加した馬たちによる未勝利戦やノービス戦(経験の浅い馬を対象とした競走)の勝ち上がりが目立ってきている。

 4月20日(月)にはジョージ・スコット調教師が管理するビハイクがリングフィールド競馬場の未勝利戦で勝ち星を挙げた。鞍上のデヴィッド・イーガン騎手はレース後にスカイスポーツレーシングに対して「ビハイクはバリアトライアルに出走するため、数週間前にこちらに来ていたので、競馬場に慣れていたと感じています」と語っていた。

 バリアトライアルは実戦前に2歳馬を仕上げる方法として効果が実証されており、国際的に広く採用されている。しかし、英国のバリアトライアルは現状、民間によって運営されており、非公開で行われていることから、透明性について問題視されている。

 例えば、オーストラリアでは、レーシングドットコムが毎週バリアトライアルの番組を放映することにより、情報が一般に公開されている。

 バリアトライアルとは?

 バリアトライアルは、競馬場にて実戦とほぼ同じ条件下で行われる、いわばリハーサルだ。賞金はなく、公的なレーティングにも影響しない。ゲートに収まり、全頭同時にスタートし、決まった距離を走る。調教師は馬の仕上がり具合、気性、レース感覚などを確認することができる。

 特に2歳馬の馴致や休養明け馬のたたき台として効果的であり、出走の許可を得る前にバリアトライアルの合格を義務付けている競馬主催者もいるほどだ。

 香港やオーストラリアの中でも透明性の高い州など主要な競馬開催国では、バリアトライアルは正式な制度として位置付けられており、かつ透明性も高い仕組みとして確立されている。競馬統括機関の監督下で定期的に実施されており、同日の午前中に数回のレースが組まれる。走破タイム、着順や騎乗者のコメントを含めた結果が全て公表される。

 アイルランドでは中間の立場をとっている。アイリッシュ・サラブレッド・マーケティング社(Irish Thoroughbred Marketing)によって正式に運営されており、未出走馬を対象に実戦と同じような条件下で行われる。ネース、レパーズタウンおよびダンドークの各競馬場で年に数回のみ組まれており、主に海外のバイヤー向けの展示場の役割を担っている。結果や動画は公表されており、バイヤーや馬券購入者が情報を入手することができる。

 なぜ英国では状況が異なるのか?

 英国競馬統括機構(BHA)が運営する公式のバリアトライアル制度は存在しない。最も近いものは、ゲイリー・ウィズフォード氏の息子クレイグ・ウィズフォード氏が個人で主催する「発走ゲートトレーニングデー(Stall Training Days)」として知られている、発走練習が挙げられる。

 これは、外部に非公開で実施する専門的なトレーニングであり、動画やデータは一元的に公表されることはなく、馬の参加を義務付けるような規則もない。実戦に近い条件下で経験の浅い馬を教育したり、コースを走らせて自信をつけさせたり、ゲート難を改善したりすることを目的に設計されている。

 その結果、英国でのバリアトライアルは、体系化され、透明性が高く、競馬のしくみとして組み込まれている海外のバリアトライアルとは異なり、依然として、私的なトレーニングに近い側面が残っている。競馬の情報として価値があるものというよりは、馬の教育や福祉を念頭に行われている調教に近いのだ。

 賭事市場への影響

 コーラル社の競馬部門責任者であるジェームズ・ナイト氏は、バリアトライアルの透明性について、特にキャリアが浅い馬が出走するレースでは「競馬のスポーツとしての公正性や馬券売上の両面において、プラスにしかならない」と話す。

 「何年もの間、バリアトライアルが行われてきましたが、ほとんどの人があまり気にしてこなかったのだと思います」と同氏は述べた。「しかし、最近では話題に上がるようになってきました。バリアトライアルを経た馬が何頭も勝ち上がっており、実際の競走では人気も集めています。レース後に、あの馬は実はトライアルに出走していたとSNSに挙げる人がいるのです」

 「馬券の観点から言えば、未出走馬やキャリアの浅い馬が出走する競走は、あまり人気がありません。馬券を買うファンにとって、情報面から圧倒的に不利だと感じているからです。一部の人は、その馬がトライアルに参加したか実戦を経験しているかを知っている一方で、他の人は知らないという認識が広がってしまったら、ファンに馬券の購入を促すうえでも決してプラスに働きません」

 「もしその情報を提供できれば、馬券予想の検討材料になるかもしれません。それでも、完璧な情報だとは言いがたいところですが、何もないよりはずっとマシでしょう。一部の人だけが情報を持っているという情報の非対称性による不公平感を取り除くことができます」。

 ナイト氏は、バリアトライアルが競馬場で行われるのであれば、非公開での実施を続けるべきなのかは疑問だと話す。「運営者を非難しているわけではありません。間違いなく、需要の大きなサービスを提供しているわけですから」と語る。「しかし、認可を受けた競馬場で実施される場合、馬券購入をする大勢の顧客に対して、情報を開示しないことは果たして適切なのかという疑問があります」

 「現時点では、キャリアの浅い競走馬が出走するレースを見て、ファンの一部は『こんなの当てられるはずがない』と考えるでしょう。もし、出走馬がバリアトライアルで好走していたことを知っていたり、実際に映像を見ていたりしたら、自分なりに予想を立てることもできます。競馬のスポーツとしての公正性や馬券の売上にもプラスにしかなりえないのです」。

 クレイグ・ウィズフォード氏への取材を試みたが、コメントは得られなかった。

 BHAはバリアトライアルに関する問題を再検討

 BHAは、現在英国で実施されているバリアトライアルと海外で行われている正式なバリアトライアルは本質が異なるものであるとした。そのうえで、急速な需要の高まりと透明性に関する懸念を踏まえて、制度についての見直しを検討していることを明らかにした。

 BHAの広報担当者は「英国で行われているバリアトライアルは、他の国で行われている正式なバリアトライアルではありません。民間により運営されているものであり、その場には統括機関の職員も配置されておりません。リングフィールド競馬場で数年前から実施されてきたものですが、実施回数は年数回と限られたものでした。最近ではニューキャッスル競馬場でも開催されています」

 「しかし、ここ数ヵ月の間にこういったトライアルの実施を希望する声が顕著に高まっています。これを受けてBHAでは、2つの観点から本件の検討を始めています。一つは安全基準と規制についてです。そして最近では、一般の人々および馬券購入者の観点からのトライアルの透明性や可視性に関する問題についてです」

 「こういった問題点については、現在、しかるべき手続きを経て協議を行っております」。

By Oliver Barnard

[Racing Post 2026年4月22日
「The great barrier rift! Growing debate as private trials in Britain raise concerns over transparency and betting fairness」]


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