ホワイトアバリオのBCダートマイルでの出走取消を巡り、馬主が訴訟提起へ(アメリカ)【獣医・診療】
ブリーダーズカップ、カリフォルニア州競馬委員会(CHRB)、デルマー競馬場、および氏名不詳の被告らを相手取り提起された訴訟では、2025年に行われたブリーダーズカップダートマイル(G1)の発走直前に、ホワイトアバリオを不当に出走取消にした責任があると非難している。
この訴訟は、同馬の共同馬主であるゲイリー・バーバー氏、およびマーク・コーネット氏とクリント・コーネット氏が率いるC2レーシングステーブルによって、ロサンゼルス郡上級裁判所に提起された。
訴状によれば、レース前に数日間にわたる厳格な科学検査や獣医検査が行われ、またレース直前にデルマー競馬場で同馬が見せた歩様は過去にも一貫して示してきた歩様であったにもかかわらず、ホワイトアバリオはその歩様を理由に正当な根拠なく出走を取り消されたと主張している。
「被告らの行為は、単なる合理的な獣医学的判断によるものではなかった(原文ママ)」と訴状は述べている。「その行為は合理的な根拠を欠いており、規則や書面のプロトコルに対する複数の違反を構成している。その中には、HISA(競馬の公正確保と安全に関する統括機関)やCHRBの規定、および被告ら自身の獣医師およびホースメンのガイドラインが含まれている。被告らは......(中略)......それらの代わりに直前の主観的な印象に頼ったことにより、原告らに対する法的義務に違反した」。
ホワイトアバリオに関わりのある専門家たちはこの出走取消に驚いたという。その中には、エクリプス賞を複数回受賞しているイラッド・オルティスJr.騎手も含まれていた。
訴状には、「オルティス騎手はこれまでホワイトアバリオに騎乗して複数回勝利を収めている」と記されている。「被告らのプロトコルに従えば、出走直前の取り消しを検討している獣医師は、通常であれば騎手に馬の動きやコンディションについて見解を求めるものであるが、今回被告らの獣医チームはそうしなかった。その代わりに、彼らはオルティス騎手の意見を聞かずにホワイトアバリオの出走を取り消した。オルティス騎手の判断では、レース前のウォーミングアップにおいて同馬は『完璧に』動いていた。
20ページにわたる訴状では、ホワイトアバリオの歩様については詳細な記録が残されていると繰り返し主張されている。
「当時の歩様は、ホワイトアバリオのキャリアを通じて行われたほぼ全てにおいて、そしてブリーダーズカップ競走までの期間に被告側の獣医師によって行われた毎日の出走前獣医検査においても確認されていたものと同じ歩様だった。それは、ホワイトアバリオがそれまで24回出走し、2023年のブリーダーズカップクラシック(G1)を含む10勝を挙げた際の歩様そのものであった」と主張している。
200ページ以上におよぶ資料の中には、ブリーダーズカップ当該週に行われた科学的な検査の記録も含まれている。具体的には、レースの5日前に実施されたPET検査や、レース前日に行われたスレイプ(Sleip)歩様解析である。
訴状では、「ホワイトアバリオの四肢すべて、球節、および両手根部を対象としたPET検査では、球節部に軽度から中程度の比較的対称的なストレス再構築の変化が認められたのみで、これらは『調教中の競走馬として正常範囲内である』と明確に結論付けられ」、スレイプ歩様検査においては「きわめて良好な結果を示し、異常は認められなかった」とした。
原告らによれば、この出走取消は馬のウォーミングアップ中に行われた「わずか数秒間の目視検査」に基づいて決定されたものであるという。「その際に、被告側の獣医チームの一名または複数名が、ホワイトアバリオの以前からの特徴的な歩様を左前脚の『故障の兆候』を示す新たな病状であると判断した。これに基づいて、デルマー競馬場公式獣医師であるブレント・キャサディ氏は裁決委員に対してホワイトアバリオの出走取消を勧告し、彼らはすぐにそれを実行した」。
こうしたケースでは常にそうであるように、ホワイトアバリオは出走取消後に厩舎に戻された。
「担当獣医師はこの出走取消に驚愕した。」と訴状は述べている。「彼女は直ちにホワイトアバリオを診察し、厩舎脇の道で速足する様子を観察したが、跛行あるいは出走取消の正当な理由を見つけることができなかった。」また、ホワイトアバリオが翌2026年1月に開催された総賞金300万ドル(約4億8,000万円)のペガサスワールドカップ(G1)で2着に入ったことにも言及している。
この訴状はいくつかの法的理論に依拠しており、主には、「将来の経済的関係に対する意図的または過失による妨害」、および「いかなる者も違法、不公正または詐欺的なビジネス行為もしくは慣行」に関与することを禁止しているカリフォルニア州事業・職業法(California Business & Professions Code)の条項違反を挙げている。
原告側は1,000万ドル(約16億円)を超える損害賠償を請求している。これにはレース賞金による収益および関連する経済的利益の直接的かつ実質的な損失、多額の自己負担費用ホワイトアバリオの種牡馬価値および商業的価値の実質的な毀損および下落、種付需要の減退、そして懲罰的損害賠償が含まれている。しかし、訴状の結論部分に最初に掲げられた求められている救済措置は、金銭的損害ではなく、「差し止め命令」である。
同訴状は、「被告および被告と共謀するすべての者が、本訴状で申し立てられた行為や慣行を含むが、これらに限定されない、事業・職業法第17200条以下に定義される不公正な競争に従事することを恒久的に差し止める」ように要求している。
訴状に記載された主張は、あくまで事件の一方の側面に過ぎない。本紙の取材に対し、ブリーダーズカップ側は係争中、または係争の恐れのある訴訟についてはコメントしないと語った。本記事の掲載日である4月14日時点で、ブリーダーズカップと同様の方針を採っているHISAも、声明を発表していない。
CHRBも当初はコメントを控えていたが、同委員会のスコット・チェイニー専務理事が4月15日に追加の声明を発表した。
チェイニー氏は、「CHRBの方針としては係争中の訴訟についてはコメントしない事になっていますが、私たちは常に安全性と動物福祉への私たちの取り組みを再確認する機会を設けています」と述べた。続けて、「さらに、私個人としてカリフォルニア州内および全米の規制獣医師に対し、個人的に感謝の意を表したいです。彼らは困難な状況の中で、模範的で報われない仕事をしています」と語った。
By Dick Downey
(1ドル=160円)
[bloodhorse.com 2026年4月14 日
「Owners File Lawsuit Over BC Scratch of White Abarrio」]

























