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2026年04月16日  - No.13 - 2

AIが競馬界でも大きな話題に(国際)【その他】


 競馬及び生産業界において、情報を最も深く理解している者が常に成功しやすい立ち位置にいたことを考えれば、人工知能(AI)が競馬に大きな影響を与えると言っても差し支えないだろう。 

 繁殖牝馬に配合する種牡馬を選定する生産者から、セリ名簿のあらゆる詳細を熟知しているブラッドストックエージェント、厩舎従業員の管理を行うホースマン、競馬番組を編成するする競走番組担当者、そして「オーバーレイ(実力に対して配当が高い馬)」を見つけ出す馬券購入者に至るまで、AIはすでに競馬業界の姿を変えつつあり、その傾向は今後急速に強まると見込まれている。

 こうした現実、そして競馬業界がいかに早く、効果的にAIを取り入れることができるかという課題も相まって、AIは業界の注目の的となっている。本コラムでは、筆者が参加したイベントや各イベントから発表されたプレスリリースから得た知見をもとに考察する。

 今月初めに開催された全米ホースメン共済協会(NHBPA)の会議では、ジョン・ジュリア氏が競馬とテクノロジー両方の視点から専門的な知見を披露した。ジュリア氏はオーナーブリーダーであり、かつてはペンシルベニア・サラブレッドホースメン協会(PTHA)で理事を務めており、ピナクルAI社の上級副社長も務めている。

 ジュリア氏はAIの強みを概説した。それはサラブレッド生産におけるいくつかの謎を解明できる可能性を大いに秘めている。

 「機械は莫大なデータを解析し、異なるデータポイント間のパターンや相関を見つけ出し、何らかの成果を導き出すことに長けています。時にその成果は、予測的な性質を持つこともあります」とジュリア氏は語った。「しかし、機械は戦略を立てること、つまり得られたビジネス上の洞察をどのように日常生活に応用するか理解することが苦手なのです」。 

 去る2月にサウジアラビアで開催されたアジア競馬会議(ARC)では、キットマンラボ社の創設者であるスティーブン・スミス氏は、過去30年間における人間のアスリートとしての運動能力の驚異的な変化と、それに見合った進歩がサラブレッドには見られないことを指摘した。その象徴として、1973年のケンタッキーダービー(G1)でセクレタリアトが記録したレコードタイムが依然として破られていない事実を指摘した。同社は、人間の運動能力を向上させるトレーニング手法を開発している。

 スミス氏は、データに基づき個々に最適化された手法を取り入れる生産者や調教師は、いまだ伝統的手法に頼っている競合相手に対して大きな優位性を得られるだろうと述べた。

 「私は、人間のパフォーマンス分野から得た学びを、馬に非常に迅速に応用していくことができると考えています」と彼は付け加えた。「競走馬のキャリアのあらゆる段階における成長のペースを検証し、これまでに蓄積された膨大な量の情報の分析を始めることができます」。

 HBPAの会議で、運営層幹部のリック・ハンメル氏は、AIが提供する情報は競馬番組の改善に役立つ可能性があると述べた。

 「例えば18日ごとにレースを組んでいたとします。AIは、その種のレース間隔は23日がより適切であるといったことを示唆してくれるようになります。あるいは、以前は1,600メートルのレースを組んでいた枠があったとします。もしかするとAI、その枠を11/16マイル(約1,700m)に戻した方が良いと提案するかもしれません。データが増えるほど、競馬番組の改善につながり、開催日程を2日あるいは1週間程度ずらすといった判断の助けになるでしょう」。

 同じくHBPAの会議で、エクイベース社の社長兼COO(最高執行責任者)であるカイル・マクダニエル氏は、同社ではAIをチャートコーラー(競走成績作成者)の専門的な用語の統一に活用してきたと語った。同氏は、他のスポーツと同様に、関係者とファンがより多くのデータを求める中で、北米競馬界の情報収集に対する取り組みは同業界を有利な立ち位置に置く可能性があると指摘した。

 「競馬をより分かりやすく、より優れたものにするために、どうすればより多くの統計を生み出せるでしょうか?」とマクダニエル氏は問いかけた。「ROI(投資利益率)のような指標は、現時点ではあまり良い指標ではありません。それらは改善の余地があります」。

 2月に行われたアナリストや投資家との電話会議で、チャーチルダウンズ社(CDI)のビル・カースタンジェンCEOはパリミュチュエル方式の賭事は運営側ではなく、投票プール内の他の参加者同士で行われるものであるため、CDIとしては自社の事前入金型投票を利用する顧客が、より頻繁に勝利することを望んでいると述べた。同氏はその目標を念頭に、同社は顧客にAIツールを提供していると述べた。

 「事前入金型投票のアカウントをお持ちの方は、画面右隅に小さなボタンが表示されているはずです。それが各レースの分析結果を提供するAIツールです。各レースそれぞれの特徴や注目点などを提供してくれます」とカースタンジェン氏は語った。「現在は5つの競馬場で展開していますが、今後はさらに拡大・改善し、より充実したものにしていく計画です。」

 「さらに、私たちは将来的に提供できる見込みの、完全対話型ツールも開発中です。特定のレースや特定の馬について会話をしたり、質問をしたりできるようになります。これらは私たちのビジネスにおける大きな優先事項であり、お客様により良い体験を提供できると信じています。私たちにはそれを実現したいという強い動機があります。」

 カースタンジェン氏は、CDIは馬券購入者のサポートにとどまらず、AIの様々な分野での活用を目指していると述べた。

 「ビジネス全体として、私たちは外部の様々なパートナーが、当社のマーケティングの改善、コスト管理の効率化、事業運営に必要なあらゆるものの調達において何ができるかに期待しています。だからこそ、我たちはAIを積極的に取り入れているのです(歓迎しています)」とカースタンジェン氏は語った。「AIが当社の事業にどのように貢献できるのかを考えることは私たちの責務であり、今後も継続していきます」。

 専門家によると、競馬界ではこれらの分野について前進することが不可欠だという。しかし、報道価値を失ってから5年も経って、HD映像配信の導入を誇らしげにプレスリリースで発表していた過去を覚えている方なら誰でもわかるように、この業界は必ずしも新技術の導入において優れた実績があるわけではない。ARCでは、AIの専門家であるダニーロ・マクギャリー氏は、今度こそ競馬業界が取り残されないことが重要だと述べた。

 「変革のための時間は永遠ではありません。ほとんどの組織では2~4年程度しか猶予はないといえます。なぜなら、サービス提供の対象者となる顧客は変化しており、明日には今日と異なるものを求めているからです」とマクギャリー氏は語った。「さらに、6~10か月おきに新しいスポーツが登場しています。注目度、マーケティング、そしてエンターテインメントを理解しているこれらの新しいスポーツが、将来的に競馬場を訪れる可能性のある潜在的な新規顧客の関心を奪い取っているのです」

 「競馬業界はかつてないほど多くのスポーツとの競争に直面しており、この傾向は止まることはありません。組織として、どのようにマーケティングの方法を変え、没入感のある体験を作り出すのか、変革する取り組みを加速させなければなりません。今後数年のうちに取り組まなければ、新しいスポーツが関心を集め、より効果的なマーケティングを行う中で、競馬への関心が大幅に失われていくことを目の当たりにすることになるでしょう」。 

 ジュリア氏は、業界がAIを導入する方法を模索しているのは素晴らしいことだと述べる一方で、多くの技術分野においては遅れを取り戻す必要があると指摘した。

 「技術的な観点からみれば、私たちの業界は嘆かわしいほど遅れています。ここに私たちが座ってAIについて語り合うのは素晴らしいことですが、一般的な技術においては、私たちがこの段階に至る前で、既に何周も遅れを取っているのです」とジュリア氏は語った。「何か新しいもの、いわば目新しいものに飛びつくような習慣的な傾向があります。人々はこぞって、AIについて『AIはどこに適用できるんだ?』とやみくもに当てはめようとしますが、このアプローチを私は推奨しません」

 「私がお伝えしたいのは、AIは非常に有望で強力なツールであるということです。インターネットやセンサーなど、データの出所を問わず、身の回りのデータについて理解することで得られる洞察とそれに基づく取り組みは、より賢明な意思決定を可能にしてくれます。しかし、私たちにはAIを使用せずとも、近代化に向けて正しくできることがたくさんあるのです」。

By Frank Angst

[bloodhorse.com 2026年4月16日

「Artificial Intelligence Hot topic in Racing Circles」]


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