世界の競馬は大レースを中心に回る(国際)【開催・運営】
ドバイワールドカップ(G1)の夜を目前に控えている今、世界のレースカレンダーの中心をなし、超一流馬が集うレース開催についてその意義を見直してみたい。
以前、筆者はスターホースを前面に押し出すことによって国際競走を盛り上げる手法について取り上げた。もちろん、その手法は疑いようのないものではあるが、それには今回のような大舞台の存在が欠かせない。
結局のところ、ふさわしい舞台がなければ、馬たちが輝くこともできないのだ。
ここ数十年もの間、世界中でこうした舞台の創設が進められてきた。ロイヤルアスコットや凱旋門賞(G1)といった伝統的で独自の路線を確立した競走から、ドバイワールドカップ(G1)やサウジカップ(G1)のようなレースイベントに至るまで、大きな発展を遂げている。
そのなかでも転換点となったのは、間違いなくブリーダーズカップワールドチャンピオンシップ(BC)だ。1984年にハリウッドパーク競馬場で行われた第一回開催で成功を収めたBCは、スターホースが誕生すれば、今や世界中で「ブリーダーズカップには行きますか?」と聞かれるほどに成長した。
BCが1日開催の7競走施行から2日間開催の14競走施行へと倍の規模に成長を遂げたことから、あらゆる国の競馬関係者の参戦も、世界中のファンの注目と軌を一にして拡大してきた。
もちろん、他にも大成功を収めたケースはある。ドバイワールドカップは中東での先駆けとなり、その後、サウジカップやほかの国でもそれに続いている。それでも、やはりBCは一線を画しているのだ。理由はいくつかある。有力馬の勧誘、継続かつ積極的な最新のマーケティング、開催地が持ち回りであることや年間での世界のレースカレンダーにおける開催のタイミングといった環境によるものなどだ。
海外からの参戦がなければ「ワールドチャンピオンシップ」とは言えないだろう。創設当初、BCはIRB社(International Racing Bureau)から馬の勧誘や輸送の実務に関する強力なサポートを受けていた。一般のファンにはなじみがないかもしれないが、ニューマーケットに拠点を置くIRB社は、アーリントンパーク競馬場の国際競馬フェスティバルやBCをはじめ、ほぼすべての国際的に有力馬の集まる開催の立ち上げに関わってきた。
ハリウッドパーク競馬場での第一回開催では、ラシュカリが外国馬として初めて優勝した。陣営はオーナーブリーダーのアガ・カーン殿下をはじめ、アラン・ドゥロワイエデュプレ調教師、イヴ・サンマルタン騎手といった面々で、これ以上ないほど国際色豊かだった。
BCは、世界各地で行われるBCチャレンジシリーズ「勝てば出走できる(Win and You're In)」を創設して、その流れをさらに発展させた。対象競走は世界14か国に広がり北米以外の競馬場で45競走、北米では50競走が行われる。各競走の勝ち馬は対象となるBC競走に登録料免除で出走が保証されるとともに輸送補助金を手にすることができる。これらの仕組みの拡大は他国でも手本にされており、BCは創設当初の枠をはるかにしのぐ規模へと成長した。
ブリーダーズカップ協会(BCL)の副社長兼最高マーケティング責任者のジャスティン・マクドナルド氏は「ブリーダーズカップにおいて、世界各国からの参戦は我々の基盤の中核をなす部分で、成長を促す好循環の第一歩でもあります」とサウジカップ開催前にリヤドで行われたアジア競馬会議(ARC)で語った。同会議には600名以上もの出席者が、40の国や地域を代表して参加していた。
「長きにわたって、陣営側への直接的な招致活動を行ったり、チャレンジシリーズを拡充させたりするなど、海外からの参戦を増やすための投資を計画的に続けてきました」。
こうした取り組みにより、IRB社とともに歩んだ創設時に比べて、BCは飛躍的な成長を遂げたのだ。
「チャレンジシリーズのおかげで、世界中にブリーダーズカップへ出走を検討する陣営が増えたのは、喜ばしいことです」とIRB社の競馬場担当ディレクターであるエイドリアン・ボーモン氏は述べた。「現在の仕事の大半は、直前の1ヶ月で行われる予備登録に向けた手続きと現地での実務作業です。......今や大規模なイベントですから、実務も煩雑なものになっています」。
果たして、この戦略はうまくいったのだろうか?
「2025年のブリーダーズカップ競走には、12か国から49頭が参戦しました。ブリーダーズカップ史上最も出走馬の層が厚く、国際的な多様性に富む顔ぶれとなりました」とマクドナルド氏は語った。「過去5年間で外国馬の出走頭数が48%も増加したのです。これは偶然ではありません。同期間にBCチャレンジのレース数が44%増加したことと直接関係しています」。
出走馬の確保に続き、世界から注目を集めるのに役立った二つ目の武器が、攻めのマーケティング活動だ。マクドナルド氏はBCLが進化していくテクノロジーを駆使して、刻々と変化するファン層への働きかけを常に行っていると述べた。
「チャレンジシリーズによって、それが実現できるのです。ブリーダーズカップと世界の大レースを結び付け、BC開催前から物語を演出することができます。現在、ブリーダーズカップは、アメリカ国内外で施行されるカーニバル開催のマーケティングパートナーとしても積極的に動いています。ブリーダーズカップの情報ルートを通して、パートナーの競走を宣伝することにより、世界中から競馬そのものに対する認知や関心の拡大につなげることができるのです」と同氏は述べた。
BCLは、馬や陣営に関する話など「ライブ映像以外」のコンテンツを充実させることによって、この戦略を進めている。香港ジョッキークラブや日本中央競馬会との提携拡大を軸に、世界中で拡大しているライブ中継に深みを持たせるためだ。
3月22日には、10月30日・31日にキーンランド競馬場で行われるBCに向けて、ドラマ性を高めていく「Road to the Cup」という新たなプロモーションを発表した。
「我々のSNSは、2025年に表示回数が1億4,800万回、視聴回数が8,300万回、エンゲージメント(投稿に対する反応)が450万回に達しました。フォロワーは100万人に迫っています」とマクドナルド氏はARCの檀上で語った。
同氏によると、日本のスターホースでBCクラシック(G1)勝ち馬のフォーエバーヤングの登場により、こういったすべての要素がこの2年間で見事にかみ合ってきたのだという。
「原点に立ち返りましょう」とマクドナルド氏は講演を締めくくった。「すべては馬から始まっているのです」。
これこそが、以前筆者が主張した点でもある。
By Bob Kieckhefer
[bloodhorse.com 2026年3月26日「Superstar Race Meetings Drive Global Racing Schedule」]

























