アジアパターン委員会が40以上のレース格上げを却下(オーストラリア)【開催・運営】
レーシングオーストラリア(RA)は今週、計画の見直しを迫られることになった。ニューサウスウェールズ州の4競走をG1に昇格させ、さらに同国内の40以上の競走について、格下げを一切行うことなく格上げするという提案が、アジア競馬連盟(ARF)のアジアパターン委員会(APC)によって却下されたためである。
9月11日(木)に行われたAPC会議において、この大規模な格上げ案が否決され、オーストラリアのブラックタイプ競走における行き詰まりは続いている。
本紙(ANZブラッドストックニュース)が入手した情報によれば、レーシングNSW(RNSW)の働きかけを受け、APCに対しランドウィック競馬場で開催される4競走をG1に格上げする旨の提案がなされていたという。
これには、総賞金1,000万豪ドル(約9億7,000万円)のゴールデンイーグル(芝1,500メートル)と300万豪ドル(約2億9,100万円)のラッセルボールディングS(芝1,300メートル)のほか、ジ・エベレスト(G1)の前哨戦で総賞金100万豪ドル(約9,700万円)のプレミアS (G2、1,200メートル)と秋シーズンに行われる総賞金30万豪ドル(約2,910万円)のアポロS(G2、1,400メートル)の格上げが含まれていた。
しかし本紙が把握しているところでは、RAはAPCに対し、国内の40以上の競走の格上げ承認を求めて申請していたが、これには提案されていた新たなG1競走は含まれていなかったという。
オーストラリアには競走の格付けを決定する適切な機関が存在せず、また格付けの決定がAPCから認可を受けたルール体系のもとで運営されていないことを理由に、すべての提案がAPCによって却下されたと本紙は認識している。
会議では、オーストラリアにおけるブラックタイプ制度の機能不全と、その解決が可能な策について長時間にわたる議論が続いた。
RAは、このZoom会議に出席したが、オーストラリアにおけるブラックタイプ制度の混乱を解決することを目的として先月下旬に予定した理事会を、州間合意が極めて困難であるとの理由で直前に中止している。
昨年末、RAはブラックタイプ表示における新たなガイドラインを提唱した。これは、オーストラリアが2018年以降パターン委員会を設置していない現状と、連邦制国家である同国において、全国共通の格付け決定方法を設けることは独占禁止法に抵触する可能性があるとの法的助言の両方に対応するためである。
これらのガイドラインは、主に競走のレーティングに基づいて策定される。つまり、その他の要素も考慮しつつ裁量権を持ってブラックタイプ認定を決定する伝統的なブラックタイプ委員会の支持者たちに不満を抱かせるものだった。これには競走の文化的・歴史的意義が含まれ、例えば小規模な州でブラックタイプ競走(特にG1競走)の開催数を維持できるよう支援する役割を果たしていた。
中止されたRAの理事会では、こうした問題が取り上げられる予定だった。
今回の40以上の競走を対象とした新たな大規模な格上げ計画は、レーティングのみに基づいて決定されたと見られている。これらの競走が全国に分散している事実は、長年の緊張関係の後、少なくとも州間の対話が行われたことを示唆しているのかもしれない。
APCのもう1つの懸案事項は、競走の格下げの必要性を認めずに格上げリストが提示されたことだった。
オーストラリアでは約13年間もの間、競走の格下げが行われていない。
同国には現在608のブラックタイプ競走があり、2000年の549から増加している。今般APC会議に提出された案が可決されていれば、その数は650を超えていたことになる。批判派は、格下げが継続的に行われない状況下でこの数字が増えることは、オーストラリアにおけるブラックタイプ競走の価値を希薄化し、その重要性を損なうと主張している。
本紙が把握したところでは、RAの提案はAPC会議で完全に却下されたわけではなく、オーストラリアがブラックタイプ競走をどのように決定するのかを示す追加情報の提示を条件に、保留されている状況である。
ただし、現行のブラックタイプ制度を根本的に見直し、APCの懸念に対処しない限り、提案が承認される可能性は極めて低いと見られている。
一方で、昨シーズン開始以降に実施されたとされる格上げの対象となったニューサウスウェールズ州18競走の格付けは、依然としてAPCの承認を得ていない。つまり、それらの「格上げ」は、セリのカタログには反映されていない。
混乱が続く中、RNSWとRAは承認されていない新格付けに基づいて同18競走の広報を継続している。対象となる競走のうち、次に開催されるのは10月11日のタップクレイグS(芝1,400メートル)で、これは非ブラックタイプからリステッド競走に「格上げ」されたものである。
その後、10月18日のジ・エベレスト開催日には"非承認G3"が3競走集中して行われる。レジナルドアレンクオリティ(芝1,400メートル)、ATCセントレジャー(芝2,600メートル)、シルバーイーグル(芝1,300メートル)のうち、後者2競走は新しくG3格付けを受けたとされる一方、レジナルドアレンクオリティはリステッドからG3に「格上げ」された競走となっている。
By Trevor Marshallsea/ANZ Bloodstock News
(1豪ドル=約97円)
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[bloodhorse.com 2025年9月15日「APC Rejects 40-Plus Proposed Upgrades in Australia」]