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海外競馬情報
2025年08月28日  - No.32 - 2

賭事税の引き上げ計画に抗議して、1日限定の開催ストライキを実施 (イギリス)【開催・運営】


 英国競馬は、財務省が競馬賭事税の引き上げを計画していることに対し、異例の抗議として9月10日(水)に1日間のストライキを実施する。

 カーライル、リングフィールド、アトックスター競馬場で予定されている同日午後の開催と、同日夜に予定されていたケンプトンパーク競馬場の開催(計4開催)は中止となる。BHA(英国競馬統括機関)と4競馬場の所有者は、そのような前例のない合意に至った。

 この衝撃的な展開は、英国競馬の近代史上初めての自主的な開催中止とされている。ある報告では、これによる収入損失は約20万ポンド(約4,000万円)に上ると推計されている。カーライルとケンプトンパーク競馬場を所有する英国ジョッキークラブの最高経営責任者(CEO)ジム・マレン氏は、タイムズ紙への声明で、この衝撃的な決定は関係者が一致して下したものであるとし、次のように述べた。「本日、競馬界は団結しました。競馬開催を中止することで、我が国が多くの面で世界をリードする競馬というスポーツにこの税金がどれほど損害を与えるのか、政府には一呼吸おいて考えてもらいたいと思います」。

 オンライン賭事税に関する既存の3税制を「リモート賭事およびゲーミング税(RBGD)」に統一しようとする財務省の計画にBHAは強く反対し、『競馬税廃止』と銘打ったキャンペーンを展開して政府に働きかけている。

 現在、競馬やその他スポーツへの賭事には15%の税金が課せられているが、政府の計画によって、スロットマシンやカジノなどの偶然性に基づく賭事に課せられている21%の税率と同率になる可能性があり、これに対して深刻な懸念が浮上している。BHAの依頼で実施された経済モデル分析によると、21%の税率が適用された場合、英国競馬の収入が6,600万ポンド(約132億円)減少する可能性がある。

 BHAは、さらなる大きな増税は競馬界の財政状況に「壊滅的」な打撃を与えると指摘し、25%の税率では9,700万ポンド(約194億円)の損失、40%では最大1億6,000万ポンド(約320億円)の損失が予想されるとしている。

 ストライキの実施を合意する際、業界内の異なる利害関係者は、この問題は8万5,000人の雇用を支える産業にとり「存続そのものを脅かす危機」と位置付けて結束した。 9 月 10 日に実施予定だったレースは、別の日に実施される見通しだ。ストライキの翌日はドンカスター競馬場で開催されるセントレジャー開催の初日であり、昨年はキア・スターマー首相と夫人がこのイベントに出席した。このイベントで、スターマー首相は「晴れた日の競馬ほど楽しい日はない」と語った。

 リングフィールドとアトックスター競馬場を運営するアリーナレーシング社(Arc)はこのストライキを支持しており、そのCEOを務めるマーティン・クラッダース氏は、次のように述べた。

 「オンラインカジノとは異なり、英国競馬は社会と雇用に多大な貢献をしており、賭事による害の発生率も大きく異なる上、24時間、10秒ごとに利用できるものでもありません」

 「我々は常に違う形で課税と規制を受けてきました。我々の未来のためには、現状を継続することが不可欠です。政府が英国をオンラインカジノの世界でリーダーにし、文化の核心にある競馬というスポーツでは世界的貧者にしたいというのであれば、税制統一によってその目的を達成することになるでしょう」。

 BHAの最高経営責任者代理であるブラント・ダンシェア氏は、英国競馬が「既に財政的に脆弱な状況にある」と指摘し、同団体が実施した調査結果から「競馬への課税引き上げは、全国の数千の雇用を支えるこの産業にとって壊滅的な打撃となる可能性がある」と述べた。

By Tony Smurthwaite

(1ポンド=約200円)

(関連記事)海外競馬情報2025年 No.20-2「賭事税の増税は、イギリス競馬界に大打撃を与える(イギリス)【開催・運営】

[Racing Post 2025年8月16日
「British racing to cancel all meetings for one day in extraordinary strike over proposed gambling tax rise」]


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