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海外競馬情報
2025年07月31日  - No.29 - 1

開催日割の見直しによりプレミアム開催が大幅減(イギリス)【開催・運営】


 英国競馬界の経営層は来月、2026年の開催日割を発表する予定だ。開催日割は、プレミアム開催のコンセプトを大幅に縮小および見直したものとなり、最高峰とされる開催の数は162から52に削減される。

 BHA(英国競馬統括機構)の理事会は、6月の会議でこの方針転換を承認した。理事会の直下にあり、絶大な影響力を持つ商業委員会は、どの52開催を「プレミアム」として維持するかは唯一の統括機関であるBHAの決定に委ねられるべきと提案した。52開催の内訳は平地30開催、障害22開催である。

 さらに、BHAが2027年の抜本的な変更への「橋渡し」と位置づける2026年の開催日割では、物議を醸してきた土曜日の午後2時間の保護枠が廃止される見込みだ。その代わり、主要レース間に時間的余裕を持たせるなど、より細やかなアプローチが導入される。

 BHAの競走担当理事であるリチャード・ウェイマン氏は、2年間に及ぶ広範なプレミアム化の試行により、優れた競馬開催は出走頭数の増加や賞金の増加に寄与したことが明らかになっており、発売金の落ち込みもプレミアム開催ではコア開催ほど顕著ではなかったと述べた。

 一方で同氏は、最初の2年間でプレミアム開催として指定された開催数があまりにも多かったこと(2024年170、2025年162)が、プレミアム開催のアイデンティティを世間一般に浸透させることに失敗する一因となったと認めている。BHAは最近完了した調査「プロジェクト・ビーコン」で得られた顧客層の分析結果を活用するとし、2027年の開催日割の策定の際には更にそれを踏まえ対処する考えだ。

 プレミアム開催の条件を満たすために競馬場および競馬賭事賦課公社(Levy Board)が賞金額に対して行っている出資についても、今後は「ショルダーレース」といわれるITVが無料で放送する時間枠外に行われるレースのためではなく、「さらに対象を絞って」利用する見込みだ。

 2023年10月に開催日割の発表が遅れる形でプレミアム化の2年間の試行について公表が行われた際、競馬賭事賦課公社は320万ポンド(約6億4,000万円)の新規資金を含む総額380万ポンド(約7億6,000万円)の出資を行う構想を併せて発表した。ウェイマン氏はこの構想について、競馬場運営団体の間で好評を博しすぎたことが、かえって仇となったと述べた。

 「プレミアム開催の成否は、2つの視点で判断すべきです。まず第1の視点は、レースそのものに何が起きたのかという点です。我々は、プレミアム開催に対して重点的に投資し賞金を上乗せすることで、プレミアム開催そのものを魅力的なものにすることを目指しました」

 「2023年に構想を練っていた際には、賞金基準(開催の総賞金額およびレースの最低総賞金額)を満たしていたのはたった100開催しかありませんでした。それが2024年には170、今年は162になったのです。この事実は、プレミアム開催が賞金基準を満たす開催数を増加させるのに実に効果的だったことを示しています。我々は170という数字を目標にしていたわけではなく、いくつかの開催者が基準をクリアしようと自ら『ステップアップ』してくれた結果なのです」。

 ウェイマン氏は、プレミアム開催の導入が唯一の要因ではないと認めつつも、2025年上半期の1開催あたりの平均発売金は全体で14%減少したのに対して、プレミアム開催に限れば、7%の減少に留まったことについても強調した。

 同氏は、試行を評価するための「第2の視点」について、「プレミアム開催を通じて、顧客層に対して価値を提供し、他のレースと明確に差別化するという点では、結局うまく運べなかったことを認めなくてはならない」と語った。

 「プレミアム開催が完全な失敗に終わったとする見方もあるかもしれませんが、競馬の視点から考えてみれば、開催日割に階層を作ることによって、大幅に改善されたこともあるのです」。

 開催日割の構成方法は、BHA、馬主・厩舎関係者・免許保有者の包括的組織であるサラブレッドグループ(Thoroughbred Group)および競馬場協会(Racecourse Association)の間で特に議論を巻き起こす要素である。これは、競馬場が自ら主催する80%の開催を頑なに守る一方で、統括機関であるBHAが業界全体の開催日として残りの20%を分配する権限を持っているからだ。

 そうした点を考慮すると、プレミアム開催を50程度に削減するという決定は、一部の競馬場がプレミアム開催から脱落することを意味する動きでありながら、ほぼ満場一致であったということから、競馬界の各方面が互いに少しずつ譲歩した前向きな意思の表れと見なせる。

 ウェイマン氏は次のようにコメントした。「6月の理事会で、顧客層への価値提供に関する課題の一つはプレミアム開催の数が多すぎることだと認識しました。プレミアム開催が、本来の"最高峰"の枠をはみ出し、平均以上の優れた開催ではあるものの最高峰には及ばない開催までが含まれていました」

 「プロジェクト・ビーコンおよびプロジェクト・ペース(英国平地競馬主要開催の商業的権利の売却に関する実現可能性調査)から示された方向性に基づき、理事会は2026年のプレミアム開催の数を大幅に削減するという決定を下しました」。

 賞金額に基づく基準は廃止され、代わりにBHAがプレミアムにふさわしいと見なす52の開催を選定する。選出された52開催は、年内に発表される見込みだ。

 ウェイマン氏は「どの開催が本当に優れているかを客観的に見極めるため、発売金や観客動員数といったデータのほかに賞金額も考慮に入れました。さらにプロジェクト・ペースの結果も参考にしています。その後、BHAが独自に精査を行い、最終的な日割に若干の修正を加えました」と述べた。

 「170開催は多すぎるという点にはほとんどの人が納得していましたし、試行が終わるころには数を減らすべきだ、という意見が主流でした。競馬ファンなら誰しもが、どの開催をプレミアムとして残すべきかについて意見を持っているはずです。おそらく、大枠については多くの人が同意できるでしょう。しかし、当落線上にある開催については、人それぞれ意見があるものです」

 「しかし、最終的に商業委員会は52開催を選定する上で独立した立場にあるのはBHAであるという見解を示し、BHAが採用したアプローチを承認しました」。

By Scott Burton

(1ポンド=約200円)

[Racing Post 7月24日「Exclusive: Premier meetings to be slashed in 2026 - with BHA deciding what stays and what goes」]


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