メルボルンカップの賞金増により出走馬陣営は最低でも10万豪ドルを獲得(オーストラリア)【開催・運営】
レーシングヴィクトリア(RV)は、その最も有名なレースであるメルボルンカップ(G1)の賞金改定を発表した。これにより、最下位となった陣営にも10万豪ドル(約970万円)が支払われる。
「Race that stops a nation(国を止めるレース)」とも呼ばれるメルボルンカップは、賞金が134万豪ドル(約1億3,000万円)増額されて、今年11月の施行から総賞金は1,000万豪ドル(約9億7,000万円)になる。今回の主な変更点は13着から最下位の24着となった馬の陣営にも賞金が支払われるようになったことだ。下位の着順であっても必ず10万豪ドルの賞金を受け取ることができる。
昨年までは、6着から12着の馬にそれぞれ16万豪ドル(約1,550万円)が支払われた。13着以下の陣営は出走までに一連の登録料を支払わないといけないが、賞金は支給されなかった。
また、レーティングが低い馬の関係者にとって、メルボルンカップへ出走できる可能性は更に膨らんだ。10月22日に開催される総賞金50万豪ドル(約4,850万円)のジーロングカップ(G3)および10月24日に開催される総賞金75万豪ドル(約7,275万円)のムーニーバレーゴールドカップ(G2)の勝ち馬にそれぞれ優先出走権が与えられることになった。
ヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)のCEOであるカイリー・ロジャース氏は「メルボルンカップには比類がないほどの歴史、格式、知名度があります。VRCが今後この素晴らしいレースに参戦する地元馬や外国馬、一頭一頭に報いることができるのを光栄に思います」。
「メルボルンカップに参戦するための準備や出走できるために必要とされる多大な努力を反映させたものです。ジーロングカップやムーニーバレーゴールドカップを通じて、新たに出走権を確保できる機会を追加したこととも関係しています」
ロジャース氏はracenet.comに対し、この動きが開催地周辺を拠点とした地元陣営だけではなく、外国馬の参加を促すきっかけになることを期待していると述べた。
先月RVは、議論を巻き起こしていたスプリングカーニバルの外国馬に適用される獣医関係のプロトコルを一部修正したと発表したが、メルボルンカップ出走馬については変更しなかった。
今年も11月4日に開催予定のメルボルンカップに出走する外国馬は全頭、CT検査を通過しなくてはならない。
昨年、ブックメーカーの早期前売りで1番人気だったエイダン・オブライエン厩舎のセントレジャー勝ち馬でもあるヤンブリューゲルは、CT検査により「故障のリスクが高い」ことが明らかになり、レース数日前に突如出走を取り消された。この決定に関して、オブライエン調教師は「ばかげている」と強く批判した。
今年のメルボルンカップの早期前売りでは、ウィリアム・マリンズ厩舎のソバーとエシカルダイアモンド、オブライエン厩舎のイリノイが有力視されており、17倍ほどのオッズだ。
1861年に創設されたメルボルンカップの本年度の予備登録は9月2日に締め切られる。
<ブックメーカーによる早期前売り販売オッズ>
13倍:ヴォーバン
15倍:サーデリウス、ヴィアシスティーナ
17倍:アドマイヤテラ、アエリアナ、ビザンチンドリーム、イリノイ、ソバー
他の主要レースとの比較
RVの大幅な賞金の改定は、世界の大レースと比べても前例がないほどだ。
イギリスのグランドナショナルでは、10着(5,000ポンド、約100万円)まで賞金が支払われる。先月のダービー(G1)では、6着のトルネードアラートまで賞金が支給され、その額は(2万1,654ポンド、約430万円)だった。
サウジカップ(G1)は世界一の総賞金額を誇る。ポンド換算となるが優勝馬フォーエバーヤングの800万ポンド(約15億円)から、22馬身差で10着に終わったディファンデッドの16万ポンド(約3,000万円)まで賞金が支払われている。
今年は例外的にグランドナショナルと同日に行われたドバイワールドカップ(G1)では、8着(9万6,000ポンド、約1,920万円)まで賞金が設定されている。
日本の有馬記念(G1)では賞金の対象になるのは5着までだが、その額は約27万9,000ポンド(約5,000万円)だ。香港カップ(G1)では6着(約8万ポンド、約1,600万円)までとなる。
ブリーダーズカップクラシック(G1)では、賞金は10着まで支払われる。昨年11月にデルマー競馬場でシエラレオーネから15馬身の敗北を喫したウシュバテソーロの陣営は約5万5,000ポンド(約1,100万円)を手にしている。
By Matt Butler
(1豪ドル=約97円)
(1ポンド=約200円)
[Racing Post 2025年7月10日
「A$100,000 for finishing last: Racing Victoria announces significant Melbourne Cup prize-money changes」]