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2025年07月10日  - No.26 - 1

飲酒運転を認めたマーフィー騎手、騎乗は引き続き可能(イギリス)【その他】


 オイシン・マーフィー騎手はアルコール濃度が基準値を超えた状態で運転をした罪を認め、7万ポンド(約1,400万円)の罰金および20ヵ月の運転禁止処分を科された。同騎手は「自分の行為に弁明の余地はない」と述べた。

 これを受けて、英国競馬統括機関(BHA)はマーフィー騎手の行為が「免許を付与している者全員に期待される行動基準を大きく下回るもの」とコメントし、結果として同騎手の免許には新たな条件が付されるとした。しかし、BHAは同騎手が騎乗を継続できることも付け加えた。

 マーフィー騎手(29)は3日、レディング治安判事裁判所に出廷した。その前週に詳細は明らかになったのだが、同騎手は4月に運転していた車が道路から外れ木に衝突するという単独事故を起こしており、6月19日に告発されていた。

 声明の中で、マーフィー騎手は次のように述べた。「自分の行為について、心からお詫び申し上げます。飲酒運転は許されるものではなく、自分のしたことに弁明の余地もありません。多くの方々を失望させてしまいました。特に同乗者と彼女のご家族にお詫び申し上げたいです」

 「警察の捜査が継続中であるため、自分の違反行為について、BHAには詳細を話していません。今後は調査に全面的に協力していきます。これ以上のコメントは、手続きが完了するまで差し控えるべきだと考えています」。

 裁判で警察は、事故現場到着時にリーディングジョッキーに4度輝いているマーフィー騎手が酩酊状態にあったと証言した。車の所有者であった同乗者の女性は地面に倒れており、救急搬送された。検察は警察が現場に到着した時、同騎手はいとこと電話で話していたと明らかにした。

 病院での治療を終えて、午前7時に警察署で検査を受けたところ、マーフィー騎手の血中アルコール濃度は「基準値の2倍をやや下回る」とされる66mg/100mlであった。検察はマーフィー騎手が運転していた最後の時刻を午前0時15分と記録していた。

 同騎手は事故当日のサウスウェル競馬場では騎乗を見合わせたが、翌日のウィンザー競馬場では2勝している。また、ロイヤルアスコット開催では5勝を挙げており、ロッキンジS(G1)でもリードアーティスト(Lead Artist)とのコンビで勝利した。

 3日の公判では、警察からの聴取の際、マーフィー騎手は疲れていて事故の記憶がないと供述したと検察は述べた。

 同騎手は、本人確認のために氏名、生年月日、住所を述べたあと、起訴事実を認めた。また、量刑言い渡しに先立ち、勅選弁護士のアレックス・ディ・フランチェスコ氏を通じて謝罪した。

 「マーフィー氏は自身に大きな過ちがあったことを認め、深く後悔しています」とディ・フランチェスコ氏は述べた。「彼は次の方々にお詫びをしたいと申しています。まずは同乗者に対して、そして最悪の状況を免れて安堵していることを伝えたいとのことです。さらに、一般の人々や道路を利用している方々にも謝罪したいと考えています。最後に一緒に仕事をしている競馬関係者の皆さんにも謝罪をしたいとのことでした」。

 量刑言い渡しが、マーフィー騎手の騎乗にどの程度、影響を及ぼすかを問われたディ・フランチェスコ氏は、裁判所からいかなる処分が下ったとしても騎乗を妨げるものではないが、「統括機関(BHA)の判断によるため、まだ分かりません」とした。

 BHAは声明の中で「本日、BHAのメンバーは、オイシン・マーフィー騎手が有罪と認めた違反行為に関する詳細を知ることとなり、競馬に携わる関係者の皆様と同様、残念に思っています。これは非常に深刻な違反行為です。マーフィー騎手は、飲酒運転により自分の身を危険にさらしただけでなく、同乗者の安全や事故のあった晩の同じ時間に同じ道路を利用していた人全員の安全を危険にさらしたのです」と述べた。

 「マーフィー騎手の行為は、BHAが免許を付与している者全員に期待される行動基準を大きく下回るものです。我々は免許を付与した者に対して、自身の能力を最大限に発揮して競馬界を代表し、競馬界全体の名誉を守るとともに、競馬が全ての人にとって安全な場であるように行動するという信頼を置いているのです」

 「マーフィー騎手が有罪を認めたことや本日、裁判で明らかになった情報を鑑みて、同騎手の免許に付する新たな条件について検討し、その結果を免許委員会に諮ることになります。ただし、この数週間と同様に、騎乗することは引き続き可能です。本件については、追って経過をお知らせしますが、現時点ではこれ以上のコメントを差し控えます」。

 裁判ではマーフィー騎手が、定収入として週に1,250ポンド(約25万円)を稼ぐほかに、不定収入として年間25万ポンド(約5,000万円)を得ていることを明らかにした。

 判決を申し渡す際、サム・グージー地方判事はマーフィー騎手に対して「4月27日、血中アルコール濃度が法的に許容される基準値の約2倍だった状態でハンドルを握りました。この運転時の血中アルコール濃度は想定値ですが、事故発生から検査が行われるまでに経過した時間を考慮したものです」と述べた。

 「一般市民の皆さんと競馬界の関係者を失望させたことに対して、謝罪しました。通常、本事案のような加重要素を勘案すると社会奉仕活動を科すべき深刻なものと判断するところですが、今回は罰金刑で対応するのが相応と考えます」。

 母マリアとエージェントのジミー・ダーハム氏に付き添われて出廷したマーフィー騎手は、罰金と運転免許停止処分のほかに、課徴金2,000ポンド(約40万円)および手数料85ポンド(約1万7,000円)を支払うよう命じられた。同騎手は飲酒運転違反者講習を受講しなければならないが、修了すれば運転禁止期間が短縮される。

 事故現場で検体の提出を拒否した2件目の嫌疑については、検察が起訴を取り下げた。

■マーフィー騎手が起こしたこれまでの問題

・2020年11月

 フランスギャロは同年7月、コカインの代謝物に陽性反応を示したマーフィー騎手に3カ月の騎乗停止処分を科した。この騎乗停止処分は、マーフィー騎手が薬物を服用していた少女との性的な行為の後に「環境汚染」したものだと述べたため、同様の薬物で陽性となった他の騎手に科された騎乗停止6ヶ月間の半分となった。

・2021年10月

 ニューマーケット競馬場の裁決委員は、競馬場に到着したマーフィー騎手から法定制限以上のアルコールが検出されたため、騎乗を取りやめさせた。後に、マーフィー騎手は競馬前日の夜、街の飲食店でプラスチックカップを使って馬の購買エージェントの顔を殴るという騒動を起こしていたことが判明した。

・2022年2月

 新型コロナウイルスの規約違反およびレース当日のアルコール検査で2回法定制限を超えたため、BHAから14カ月の騎乗停止処分を受けた。マーフィー騎手は、コロナウイルスのレッドリストに掲載された国から帰国したにも関わらず、騎乗する前に適切な隔離処置を取らず、BHAに嘘をついていたことが発覚した。

By Peter Scargill

(1ポンド=約200円)

[Racing Post 2025年7月3日
「Oisin Murphy says 'there is no excusefor what I did' after pleading guilty to driving over the alcohol limit」]


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