カミラ王妃、競馬界の懸念に耳を傾け、強力な支持を示す（イギリス）【その他】

　6月5日（木）、カミラ王妃はヘクサム競馬場を訪問し、厳しい逆風が吹き荒れる競馬界への支援を表明した。

　ノーサンバーランド州にあるこの競馬場で、王妃にちなんで名づけられた新しいスタンドが正式にオープンしただけでなく、王妃は調教師や競馬場スタッフを含む関係者から、彼らが直面している課題について直接話を聞き、競馬というスポーツの草の根に触れられた。

　この出来事は、馬券購入者のアフォーダビリティ・チェック（経済性チェック）、税制（競馬への賭事税引き上げ）、賦課金改革などの問題をめぐって政府と対立する競馬界が、王室からの支持をさらに集めようとする貴重な試みと見なされた。

　1時間の滞在中、カミラ王妃は英国北部に拠点を置くマイケル・ドッズ調教師、ニック・アレクサンダー調教師、レベッカ・メンジーズ調教師と交流した。

　ドッズ調教師は次のように話した。「王妃は、自分と国王が競馬を愛し、ロイヤルアスコット開催を心待ちにしていて、競馬を取り巻く現状を改善する手助けを喜んでしたいとおっしゃいました」

　「王室は間違いなく励ましを与えてくださいました。王室は競馬界に問題があることに気付いていて、大きな変化が必要だとおっしゃいました」

　「王室がもし競馬に興味を持っていなければ、王妃は今日ここを訪れることもなかったでしょう。競馬は多くの人を雇用し、地域社会を助けています」

　「私たちは、国王と王妃が競馬を見に来てくださることで、一般市民の競馬への参加が促されるため、そのことがいかに重要かを説明しました。私たちはもっと多くの人々、特に若年層を観客として競馬に惹きつけなければなりません」。

　故エリザベス二世は68年間にわたってサラブレッド生産者協会（TBA）の後援者を務め、昨年カミラ王妃がその後任に任命された。王妃は、ヨーク競馬場の王室後援者など、競馬界でその他の役割も担われている。

　エリザベス二世の時代には、競馬界は女王というこのスポーツを導く存在だけではなく、この業界を深く理解する人物を有していた。その時代へ戻るための歩みは始まっている。

　全国調教師連合会（National Trainers Federation）の会長でもあるアレクサンダー調教師は次のように述べた。「カミラ王妃は私たちの話に耳を傾け、関心を持ってくださいました。王室が競馬に関心を持つことは、競馬が社会的に重要であり続けるうえで大きな役割を担います」

　「王妃は、政府が競馬に関与する必要があることを認識していらっしゃると思いますが、王妃ができることには当然限界があります」

　「確かに、彼女の亡き義母は、競馬を政府の議題に押し上げることに長けていらっしゃいました。今は、賦課金、賭事改革、賭事税の調和などを政府の議題に上げるようにしていく事が重要なのです」。

　スコットランド出身のアレクサンダー調教師は、小規模の独立した競馬場の一つであるヘクサム競馬場に王妃が訪れたことで、このスポーツは勇気づけられると考えていて、以下のように話した。

　「素晴らしい仕事をし、成功、繁栄している１つの競馬場への重要な支援表明です。すべての小規模競馬場は、王妃がヘクサム競馬場に来場され、競馬に関心を持たれ、競馬場のさらなる成功を望んでいらっしゃるという事実を心に刻むべきです」

　「競馬界ではとりわけ大きな逆風が吹いており、もしすべてが間違った方向へ進んでしまえば、競馬界は経済的に更に追い込まれることになります。競馬関係者全員がそのことを認識する必要があります」。

　ヘクサム競馬場のロバート・ホワイトロック場長が王室の訪問をもてなし、王妃が競馬界の重要人物と交流することの意義を強調した。

　「カミラ王妃スタンドのオープンのために王妃をヘクサム競馬場にお招きできたこと、そして今日ここに集まった競馬界の代表者や調教師の話を聞いていただけたことは素晴らしいことです。私たちが王妃に伝えた懸念のいくつかを、王妃は理解してくださっていると思います」。

By Andrew Dietz

[Racing Post 2025年6月5日
「The Queen gives 'significant show of support' during royal visit to Hexham where she listened to racing's concerns」]