2027年のブリーダーズカップはベルモントパーク競馬場で開催(アメリカ)【開催・運営】
2027年のブリーダーズカップがベルモントパーク競馬場にやってくることには、競馬だけでなく野球の要素も含まれている。
2年ほど前、ブリーダーズカップ協会(BCL)の会長兼CEOのドリュー・フレミング氏は、ニューヨーク競馬協会(NYRA)とニューヨーク州知事のキャシー・ホークル氏に宛てた書簡の中で、映画『フィールド・オブ・ドリームス』の一節を引用した。フレミング氏は彼らに対し、「ベルモントパーク競馬場を再建すれば、ブリーダーズカップはビッグアップル(ニューヨーク)に戻ってくる」ということを伝えた。
5月28日(水)、マンハッタンでフレミング氏はその約束を果たした。
BCLは、2027年のブリーダーズカップを同年10月29日・30日にベルモントパーク競馬場で開催すると発表した。これで、2005年以来初めて、ブリーダーズカップがベルモントパーク競馬場に戻ってくることになる。またフレミング氏は、2026年のブリーダーズカップはキーンランド競馬場で開催されると述べた。
ホークル州知事、NYRAのマーク・ホリデー会長、NYRAのデイビッド・オルーク社長兼CEO、キーンランド協会のシャノン・アーヴィンCEO兼社長、そしてフレミング氏が出席するニューヨークのメディア向けイベントでこのニュースは発表された。
「2023年、私たちはホークル州知事に手紙を書いて約束しました。ベルモントパーク競馬場を再建すれば、ブリーダーズカップはニューヨークへやってくると。そして今日、私はその約束を守り、2027年にブリーダーズカップをニューヨークに復活させることが出来て光栄に思っています。美しく生まれ変わったベルモントパーク競馬場で、世界中のファンをニューヨーク競馬の新時代に迎えましょう」とフレミング氏は語った。
ベルモントパーク競馬場は現在、州から4億5,500万ドル(約659億7,500万円)の融資を受けて再建中で、2026年9月に再オープンする予定である。ベルモントパーク競馬場でブリーダーズカップが開催されるのはこれで5回目、そしてNYRAの競馬場が開催地になるのは6回目となる。1985年には、アケダクト競馬場で第2回ブリーダーズカップが開催された。
NYRAのホリデー会長は次のように述べた。「NYRAが何年も前に新しい世界クラスのベルモントパーク競馬場を作ることに着手したとき、私たちは単にこの歴史的な施設をアップグレードするだけでは済まないと考えました。私たちの目標は、新しくわくわくするような競馬場を作ることでした。間違いなく世界で最も重要な競馬市場のひとつであるニューヨークで、競馬を開催するための素晴らしい競馬場です。私たちは、魅力的で斬新なものを作り、新世代のファンにアピールできる新たなレベルの競馬という娯楽を作り出そうとしました。このビジョンが実現すれば、ブリーダーズカップのようなイベントを誘致できることは分かっていました。ですから今日はまさに、そうした私たちの努力が認められたことを意味します」。
ホークル州知事は、新しいベルモントパーク競馬場を実現させたホリデー会長とNYRAの功績を以下のように称えた。
「今日は私たちの街と州にとって素晴らしい日です。ホリデー会長の先見の明に感謝したいと思います。彼が最初にベルモントパーク競馬場の再建計画を私に見せてくれたとき、その内容はとても素晴らしく、私たちの州内に前世紀の真髄と遠い昔の雰囲気を持つサラトガ競馬場とのコントラストを作り出そうとするものでした。とても気に入りました。州の反対側のベルモントパーク競馬場で未来を展開するものなのです。ここニューヨークでは、私たちは大きくて、大胆で、思い切ったことをしますが、ホリデー会長はまさにその計画を実現させてくださいました。私はホリデー会長には最初から魅了されっぱなしです」。
フレミング氏は、ベルモントパーク競馬場で久しぶりにブリーダーズカップを開催することについて触れ、同イベントをニューヨークで開催することが競馬産業全体にとっていかに重要であるかを強調した。
「このニュースはとてつもなく重要です。ニューヨークの市場は競馬が大好きです。我々の使命は、2日間の最高の競馬開催を提供し、このスポーツを成長させることです。これはファンが望んでいたことであり、我々がやりたかったことでもあります。そして、ホリデー会長とオルーク社長兼CEO、そして彼らのチーム全体と素晴らしいパートナーシップを築き、特別なブリーダーズカップを開催できることを、これ以上ないほど誇りに思います」。
ベルモントパーク競馬場の馬場改修にあたり、BCクラシック(G1)などが行われる1・1/4マイル(約2,000m)のコースには、バックストレッチへの走りがよりスムーズで緩やかなカーブとなる新しい形状が導入される。以前のメインコースは1周1.5マイルであるため、これまで馬は発走後、バックストレッチまでカーブを約半周していた。
キーンランド競馬場(レキシントン)でブリーダーズカップが開催されるのは、2015年の初開催以降4度目となる。直近では2022年に開催されている。2026年の開催は、10月30日・31日に予定されている。
アーヴィンCEO兼社長は次のように語った。「私たちは常に最高のレースを披露しようと努力していますが、ブリーダーズカップはまさにそれにふさわしいものです。BCLとキーランド協会は、競馬において最高のレースを永続させ、このスポーツにとって正しいこと、そして馬にとって良いことをするという点で、本当によく似た使命を持っています。私たちは同じ志を持っているのです」。
2015年にキーンランド競馬場が初めてブリーダーズカップの開催地に加わったとき、競馬場が小さすぎるのではないかという懸念が生じた。しかし結果的に理想的な開催地であることが証明された。
フレミング氏は、「キーンランド競馬場は私たちのオーガスタナショナルです」と、有名なマスターズゴルフトーナメントの開催地を引き合いに出した。「キーンランド競馬場に誰かを連れて行くと、必ずたちまち競馬ファンになります。私たちはキーンランド競馬場と長年にわたって素晴らしいパートナーシップを築いてきました。2015年には、あの規模の競馬場でブリーダーズカップを開催するのは無理だという懐疑的な意見もありましたが、それは間違いであったことが証明されました。その年のブリーダーズカップは大成功を収め、その後も何度か開催されています」。
2026年のブリーダーズカップでファンがキーンランド競馬場で新たに目にするものの中には、1億ドル(約145億円)を超えるプロジェクトで今秋完成予定の新しいパドック棟や新たなホスピタリティ体験が含まれる。
今年のブリーダーズカップは10月31・11月1日に開催され、2年連続のデルマー競馬場での開催、そしてカリフォルニア州としては3年連続の開催となる。
ベルモントパーク競馬場がブリーダーズカップの開催地に復活したことで、東海岸ではキーンランド競馬場とベルモントパーク競馬場、西海岸ではデルマー競馬場とサンタアニタパーク競馬場と、東西のバランスが取れたブリーダーズカップ開催となる。またフレミング氏は、2018年以来ブリーダーズカップを開催していないチャーチルダウンズ競馬場も開催地ローテーションに加わるだろうと語った。同競馬場は近年、大規模な改築工事を行っている。
「新しいベルモントパーク競馬場の誕生、キーンランド競馬場の拡張工事、そしてチャーチルダウンズ競馬場との素晴らしいパートナーシップなど、国中の競馬場が発展し、インフラが整備され、投資が行われているのを見るのはとてもわくわくすることです。今年のケンタッキーダービーは記録的な視聴率、記録的な馬券発売を達成しており、チャーチルダウンズ競馬場への投資額は並大抵のものではありません。ブリーダーズカップの最大の魅力は、開催地が入れ替わることだと感じています。ブリーダーズカップにとって、このような素晴らしい場所で開催され続けるのは本当に素晴らしいことです」とフレミング氏は語った。
By Bob Ehalt
(1ドル=約145円)
[bloodhorse.com 2025年5月28日「Breeders' Cup to Return to Belmont Park in 2027」]