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2023年12月20日  - No.12 - 3

コロナ禍に負けず優勢を保つ日本の競馬賭事(日本)【開催・運営】


 英国の馬券購入者は、政府の賭事に関するレビューの結果として個人情報についてさらに立ち入った質問がされることに頭を悩ませている。一方、世界最大の競馬賭事国である日本の馬券購入者は自身の行動に責任を持つ大人として扱われ続けている。

 「アフォーダビリティチェック、つまり経済力チェックとは何なのでしょうか?」というのが、日本の競馬統括機関、JRA(日本中央競馬会)で賭事運営に携わる人々が英国からの訪問者に一番聞きたがる質問だ。

 JRA国際部国際企画室の後藤裕一室長はこう説明する。「JRAの規制では、たとえば馬券購入者ご本人やそのご家族から、競馬場への入場やインターネット投票を禁止するように要請があれば、それも可能です」。

 「ただ、馬券購入者は自ら馬券購入額の上限を設定することもできます。ご本人やご家族からの申し出なしに制限をかけられません。しかし、それはうまく機能していると思います」。

 昨年初めてバスケットボールを対象としたインターネットくじが認可された。しかし日本の法律では、競馬・自転車レース・ボートレース・オートレースにかぎり政府が運営するパリミュチュエルシステムを通じて賭事を行うことが認められており、これは厳守されている。

 競馬は最も人気のあるレジャーであると言えるだろう。IFHA(国際競馬統括機関連盟)が発表した2019年の年間統計によると、JRAの売得金は合計で2兆8,817億8,866万1,700円にのぼり、国際ランキングで2位と3位である英国と香港の売上げの総額を合わせた額に手が届きそうである。

 コロナ禍から日本が経験したことは、英国とのもう1つの決定的な違いを浮き彫りにする。日本の売上げは11年連続で増加していて12年目を迎えようとしているのだ。一方この期間の統計が示すところによると、英国の売上げは10~15%減少している。

 多くの競馬国と同様に、日本も競走馬と関係者の生活を守るために競馬を施行し続けたが、2020年2月末に競馬場は無観客となり40の場外馬券発売所は閉鎖された。しかし、インターネット投票への移行が進んだことにより売上げは増加し続けた。

 後藤氏はこう説明した。「私たちは2020年下半期にふたたび観客に門戸を開きました。それまでにネット投票のシェアは22.4%増加し92.7%に伸びていました。銀行口座を持っていれば簡単にアカウントを作ることができるのです」。

 「年配の馬券購入者は通常、ネット投票を利用せずに競馬場に足を運んでいました。しかし長らく競馬場が閉鎖された後に、それが解除されて5,000人まで入場できるようになったとき、彼らは順応していて新たにアカウントを作っていたのです。2020年にはネット投票の会員数は500万人近くとなり、前年よりも60万人増加しました。競馬への関心は維持されたわけです」。

 英国のレーシングTVやスカイスポーツ・レーシングに相当するグリーンチャンネルの決断も、ネット投票の好調維持に寄与したと、後藤氏は指摘した。グリーンチャンネルは月額5ポンド(約900円)ほどの視聴料を無料にしたのだ。

 後藤氏は「地上波のレース中継は午後3時から4時までに限られています。だからグリーンチャンネルの決断のおかげで、お客様はそれまでよりもずっと簡単にレース中継を視聴できるようになったのです」と付け加えた。

 また発売金が増加し続けているほかの要素としては、キャンペーンを通じて若い世代が参加するようになったことと、景気の改善があったという。さらに、競馬ファンの興味をかきたてる馬が出現した。

 2020年は後藤氏の正しさを証明する年だった。年末の有馬記念(G1)に次ぐビッグレースであるジャパンカップ(G1)の売得金は、今世紀最高の272億7,433万4,600円を記録した。ただ過去10年間のジャパンカップの入場者数は平均10万人であるのに対して、この年の入場者数は4,604人に制限されていた。

 その年の出走馬には前年の覇者アーモンドアイ、三冠を達成したコントレイル、牝馬三冠を果たしたデアリングタクトが含まれていた。これらの馬のオッズは2.2倍・2.8倍・3.7倍であり、この順番で入線した。

 後藤氏はこう説明した。「これらの馬はシーズンを通じて絶大な人気を誇り続けました。そしてジャパンカップで激突したのです。あらゆる良い要素が一気に押し寄せました」。

 同じようなことが今年の11月26日(日)に起こった。世界最高のレーティングのイクイノックスと牝馬三冠を果たしたばかりのリバティアイランドが激突したのだ。売得金は260億5,899万5,600円で、2020年には及ばなかったものの、2021年と2022年よりは大幅に増加した。

 日本競馬を外部から見る者にとって避けられない質問がある。それは"日本の巨万の富はワールドプールの馬券購入者に開放されることはあるのか?"という問いである。「予定はありません」というのが後藤氏の明確な答えだった。その後、彼は角が立たないようにこう説明した。「競馬法上の問題があるかもしれません。12月の香港国際競走の馬券を発売しますが、そのようなときには共同プールではなく独自のプールしか運営できません。そのため、ワールドプールに参加する予定はありません」。

By Howard Wright

(1ポンド=約180円)

[Racing Post 2023年11月28日「Japan's betting market on horseracing provides stark contrast to that of Britain」]


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