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2023年10月20日  - No.10 - 2

2024年競馬開催日割とプレミアム開催の内訳が発表される(イギリス)【開催・運営】


 BHA(英国競馬統括機構)は2024年に向けて170のプレミアム開催を発表し、ここ近年の記憶では最大規模の開催日割の改革を行った。
 最高級のレースを披露することを目的とするプレミアム開催では、より高額な賞金が提供される。これにより、ファンの関与を高め、収益を増加させ、馬主を引きつけ、最強クラスの競英国で調教され出走し続けることを奨励しようとしている。
 BHAのCEOジュリー・ハリントン氏は、2024年開催日割は、「競馬の長期的な変革」の達成を目的とした、はるかに広範な戦略的作業の中では「基礎固めの第一歩」になると述べた。
 この提案は、業界横断的な商業委員会により策定され、BHA理事会により承認された。そして最初の2年を試行期間として実施されることになった。この変革に要する資金を調達するため、競馬賭事賦課公社(Levy Board)は競馬界のリーダーたちとの長期にわたるタフな交渉の末に、2024年開催日割のための全体的な資金を320万ポンド(約5億7,600万円)引き上げることに合意した。

2024年英国競馬開催日割
 10月10日(火)に発表された2024年競馬開催日割のほかの主な変更点は以下のとおりである。

  • 土曜日のプレミアム開催のために午後2時~4時に枠を設ける。これにより開催数を抑制でき、発売金と放映権料の収入を増加させるために"落ち着いた時間帯"を作り出せる。
  • 日曜の競馬開催をより有効に活用する。29のプレミアム開催や薄暮開催によって開催日割を強化する。薄暮開催は第1四半期に試験的に実施される。
  • 新たに設けられた土曜午前の枠で6開催、土曜夕方の枠で35開催が実施される。
  • より白熱したレースを実現するために努力する。たとえば障害競走300レースと20の障害競走開催の削減を含む開催日割・競馬番組の規模縮小により出走頭数の改善が試みられる。2024年の全体的な開催数は1,468となる。
  • 平地競走と障害競走の両方で休暇を設けることで、競馬界の労働力を支援するための措置を講ずる。これには、地理的な移動に伴う休暇や平地競走での騎手数を制限した開催日などが含まれる。

 BHAによると、何もせず収益が減少し続ける状況と比較すると、2024年~2028年の5年間で英国競馬界の財政は9,000万ポンド(約162億円)増加すると推定されているという。これは既存の競馬ファンの関与の高まりと、新規顧客の誘致の組合せにより実現するとされている。
 BHAは、入場者数・TV視聴者数・発売金・馬主数・競馬従事者の福祉などの分野を含めたこれらの措置の成功を判断するための基準を策定するだろうと述べた。
 ハリントン氏はこう語った。「開催日割に関して透明性が確保されることが本当に重要だと考えています。それに"信頼してください。うまくいきました"と言って姿を消さないことも大切ですね。今後数週間のうちにさまざまな基準を発表する予定です。これが私たちの考える最重要目標であり、これを実行する理由であるということを示すものになります」。
 「このプレスリリースに基準を添付したかったのですが、市場に影響を与えやすいデータがいくつかあり、公表できるものとそうでないものを見極める必要があります」。
 ハリントン氏は、BHAはうまくいかなかったことでも「絶対的に」喜んで「認める」と述べた。そして、「競馬界全体として、あらゆることを試したり、うまくいかなかったことを率直に認めたりするのを恐れないことが必要だと思います。なぜなら、文化的な変化が求められていると考えるからです。何かが計画どおりに進まないたびに、ただ大げさに非難するのであれば、新しいことを試みる意欲を萎えさせることになります」と付け加えた。
 ハリントン氏は、来年2025年の競馬開催日割の作成プロセスが始まるまでに、試験的実施はほどなく終わるだろうと認めた。また、競馬界の新たなガバナンス構造は機敏に変革を行うのに役立つだろうと語った。
 BHAのCOO(最高執行責任者)リチャード・ウェイマン氏は、競馬は今後2年間で顧客数が増加すると確信していると述べ、こう語った。
 「物事を進めながら学んでいきます。うまくいくことはどんどん進めますが、思いどおりにいかないことは、それを受け入れて"やってみたが元に戻す"と言うことにします」。
 「現在やっていることを変え、人々を競馬に引きつけようとすることで競馬全体が成長し、そのことを実感するのです。いくつかの変更はやらなければならないことであり、そのうちいくつかが期待どおりにはいかないことも覚悟しなければなりません」。
 競馬のプレミアム化というコンセプトは、昨年BHB(英国競馬公社 BHAの前身)の元会長ピーター・サヴィル氏が提唱したものであり、2022年9月の業界幹部たちによるサミットに提出された提案のひとつである。業界幹部たちはそこで、有力馬主の減少、優良馬の海外への流出、出走頭数の減少といった問題に対処するための長期的な業界戦略の原則を策定した
 BHAのジョー・ソーマレズ-スミス会長は、英国競馬界の新しいガバナンス構造が開催日割の刷新を前進させたと述べた。この構造はBHAを競馬界の最終的な意思決定機関としている。
 ソーマレズ-スミス会長はこう語った。「新しいガバナンス構造のおかげで、大胆で前向きな決定を下すことができました。一方で、影響を受けるすべての人の意見が適切に考慮されました」。
 「純然たる事実は、競馬というスポーツが英国文化の中で、また世界競馬のトップレベルで、卓越した地位を維持しつづけるためには抜本的な対策を講じなければならないということです。2024年に向けて私たちが導入する変更は、このプロセスの重要な第一歩です」。
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By Bill Barber
(1ポンド=約180円)

[Racing Post 2023年10月10日「Racing urged to embrace change following radical fixture list shake-up in bid to ensure sport's long-term health」]


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