TOPページ > 海外競馬情報 > 高確率で優良産駒を出す種牡馬ランキング(イギリス・アイルランド)【生産】
海外競馬情報
2020年07月21日  - No.7 - 3

高確率で優良産駒を出す種牡馬ランキング(イギリス・アイルランド)【生産】


 シーザムーン(Sea The Moon)のステータスは、RPR(レーシングポストレーティング)の高い産駒を高確率で出す種牡馬のランキングで認められた。

 これらのランキングは、2020年平地シーズンが再開されてから約1ヵ月間に英国・アイルランドで出走した産駒の中で「RPR80以上」・「RPR100以上」・「RPR115以上」の産駒が占める割合によって、種牡馬を順位付けたものである。

 産駒が獲得したRPRを示すことにより、種牡馬がその資質を産駒にどれほど伝えているのかを知ることができる。

【シーザムーン】

 ランウェイズスタッド(Lanwades Stud)で供用されるシーザムーンは、サードクロップサイアーである。

 「RPR80以上」の産駒の割合は48%(27頭中13頭)で、同じく48%(98頭中47頭)のドバウィと3位タイである。第1位はウォーフロントの55%(38頭中21頭)、第2位はフランケルの52%(65頭中34頭)。

 「RPR100以上」のランキングでも19%(27頭中5頭)で第3位となっている。この評価基準において同馬よりも上位に立つのは、21%(119頭中25頭)で第1位のガリレオと、20%(65頭中13頭)で第2位のフランケルである。

 「RPR115以上」のランキングでは4%(27頭中1頭)で第3位(他4頭とタイ)。しかし、始まったばかりの平地シーズンでRPR115を獲得できる産駒は極めて優秀であることを肝に銘じておかなければならない。

 シーザムーン(父シーザスターズ)は、現役時代に独ダービー(G1)を逃げ切って11馬身差で制している。今年のロイヤルアスコット開催では、セカンドクロップの牝駒アルパインスター(Alpine Star)がコロネーションS(G1)を圧勝したことで、種牡馬として大躍進した。

 2年前に同じレースを制したアルファセントーリ(Alpha Centauri)の半妹アルパインスターは今シーズン、英国・アイルランドで3歳牝馬としては最高のRPR121を獲得している。これは英1000ギニー(G1)優勝馬ラブ(Love)のRPR116を5ポンド上回る。

 英国・アイルランドで高いRPRを誇る他のシーザムーン産駒には、アスコットS(ハンデ戦)3着馬サマームーン(Summer Moon RPR107)、パークエクスプレスS(G3)・ランウェイズS(G2)で2着のハマリナ(Hamariyna RPR104)、ゴールデンゲーツHの2着馬トリトニック(Tritonic RPR103)、進化中のアリグナク(Alignak RPR99)がいる。

 以下の2つの補足情報は、重要なシーザムーンの種牡馬としての好成績をいっそう称賛に値するものにする。

 1つ目は、これらのランキングには英国・アイルランドで出走していない産駒が含まれていないことだ。そのため、ドイツG2馬であるクエストザムーン(Quest The Moon)とワンダフルムーン(Wonderful Moon)、フランスのグロット賞(G3)3着馬ティックルミーグリーン(Tickle Me Green)、ノルウェーG3馬プリビレジアド(Privilegiado)は不在だ。

 2つ目は、ランキング入りしている他の優良種牡馬がずっと高い種付料で供用されているのに対して、シーザムーンのこれまで6年間の種付料が1万5,000ポンド(約203万円)であったことである。ドバウィ・フランケル・ガリレオ・ウォーフロントは全て、6桁の大台に乗る種付料[10万ポンド(約1,350万円)以上]で供用されている。

【ゴールデンホーン】

 これらのランキングにおいて、シーザムーンだけが"注目株"ではない。

 ゴールデンホーン(Golden Horn)は「RPR80以上」のランキングで、セカンドクロップサイアーとして最上位に立っている。現役時代に3歳で英ダービー(G1)と凱旋門賞(G1)を制したゴールデンホーンが送り出す産駒は、クラシックシーズンに活躍するのではないかと常に期待されていたが、それは実際にこのランキングで示されている。

 ゴールデンホーンの「RPR80以上」の産駒の割合は42%(38頭中16頭)である(RPR80は通常の未勝利戦や新馬戦を勝つのに求められるレーティングと考えられる)。この割合は、今年欧州で注目されるセカンドクロップサイアーのナイトオブサンダー(Night Of Thunder)の40%(52頭中21頭)を上回っている。

 しかしダーラムホールスタッドで供用されているゴールデンホーンは、現時点では大々的に報じられるような産駒を送り出していない。そのことは「RPR100以上」のランキングに反映されている。RPR100以上のゴールデンホーン産駒の割合は3%(38頭中1頭)にまで下がっており、このRPRに到達した産駒は愛ダービー(G1)6着馬ゴールドメイズ(Gold Maze)だけである。

【ナイトオブサンダー】

 一方で、ナイトオブサンダーの「RPR100以上」の産駒の割合は12%に上っている(52頭中6頭)。

 RPR100に到達したナイトオブサンダー産駒には、6月にステークス競走を優勝したモラサム(Molatham RPR113)、アンダーザスターズ(Under The Stars RPR106)、レディペネロープ(Lady Penelope RPR102)、ロイヤルアスコット開催で3着内となったドバイラブ(Dubai Love RPR105)およびカアダー(Qaader RPR103)がいる。

【オーストラリア】

 これらのランキングで注目すべきもう1つの名はオーストラリア(Australia)である。オーストラリアの出走産駒の40%(73頭中29頭)が「RPR80以上」を獲得している。これは同馬が2014年英2000ギニー(G1)で後塵を拝したナイトオブサンダーとキングマンと同じ割合である。

 クールモアの英愛ダービー優勝馬オーストラリアは、「RPR100以上」のランキングでも12%と健闘しているが、生産者の注目を浴び続けるには近いうちにG1馬を送り出す必要があるだろう。カイエンペッパー(Cayenne Pepper)は6月28日のプリティポリーS(G1)でマジカル(Magical)の2着となり、オーストラリア産駒としては5頭目のG1・3着内馬となっている。

【ピヴォタル】

 チェヴァリーパークスタッドのベテラン種牡馬ピヴォタル(Pivotal)についてはどうだろう?同馬は、英国・アイルランドで出走した産駒のうち「RPR100以上」の産駒が16%(44頭中7頭)に上り素晴らしい年を過ごしている。同馬はこの評価基準において、キングマンと3位タイになっている。「RPR100以上」のピヴォタル産駒7頭には、プリンスオブウェールズS(G1)2着馬アデイブ(Addeybb RPR122)、コッパーホースH優勝馬フジャイラプリンス(Fujaira Prince RPR112)が含まれる。
joho_2020_07_03_01.png
joho_2020_07_03_02.png
joho_2020_07_03_03.png
joho_2020_07_03_04.png

By Martin Stevens

(1ポンド=約135円)

[Racing Post 2020年6月29日「Sea The Moon keeping exclusive company among top sires by RPR ratios」]


上に戻る