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TOPページ > 海外競馬情報 > 米国競馬界、著名調教師の組織的ドーピング関与に震撼(アメリカ)【その他】
海外競馬情報
2020年03月23日  - No.3 - 5

米国競馬界、著名調教師の組織的ドーピング関与に震撼(アメリカ)【その他】


 米国競馬界は震撼している。それは、メイダン競馬場のスーパーサタデー(3月7日)を無観客で実施することを余儀なくさせた新型コロナウイルスの脅威や、競馬産業を脅かす3月9日午前の世界金融市場の急落に対してではない。組織的ドーピング容疑に関する起訴状(全44頁)の中にホルヘ・ナヴァロ調教師とジェイソン・サーヴィス調教師の名が見つかったという事実に対してである。

 サーヴィス氏は、変造され偽ラベルが貼付された競走能力向上薬(PED)を密かに入手し、実質的に全管理馬に投与した嫌疑が掛けられている。それらのPEDには"SGF-1000"が含まれていた。2月29日にリヤドで開催されたサウジカップ[総賞金2,000万ドル(約21億円)]の優勝馬で、2019年米国最優秀3歳牡馬マキシマムセキュリティ(Maximum Security)も投与された1頭であるようだ。

 ナヴァロ氏は、ブラッドビルダーの"BB3"、PED類似品の"ITP Plus"や"ITPP"、変造PED の"VO2 Max"、そして鎮痛効果のある特注PEDである"フローズンペイン注射(Frozen Pain shot)"を使用した嫌疑が掛けられている。

 起訴状は、そのような薬物が使用されたナヴァロ氏の管理馬の1頭として、2019年ドバイゴールデンシャヒーン(G1)優勝馬エックスワイジェット(X Y Jet)を挙げている。同馬は、合計300万ドル(約3億1,500万円)以上の賞金を獲得していた。

 本誌(ブラッドホース誌)編集者のフランク・アングスト氏の『OwnerView.com』での調査によれば、サーヴィス氏は嫌疑が掛けられている期間(2018年~2020年2月)において薬物検査に一度も引っ掛からなかった。また、ナヴァロ氏は嫌疑が掛けられている期間(2017年1月~2020年1月)において、その管理馬が薬物検査で失格となったのは1回だけである。

 サーヴィス氏は昨年、延べ574頭を出走させ168勝を挙げた(勝率29%)。獲得賞金は1,100万ドル(約11億5,500万円)を超え、全米トレーナーズランキング(賞金)で第8位に入った。

 ナヴァロ氏は昨年、延べ769頭を出走させ216勝を挙げた(勝率28%)。獲得賞金は680万ドル(約7億1,400万円)以上となった。

 アングスト氏はオンラインレポートに次のように記している。

 「起訴状によれば、ホルヘ・ナヴァロ氏やその他の被告は、州の競馬統括機関や競馬関係者が"検出しにくい"もしくは"検出できない"ように変造したPEDを使うドーピング計画を立てたのに加え、"ナヴァロ・ドーピング計画"の存在を隠ぺいしてきた。そのために、藁購入者を利用したり、PEDを受け取るのに偽名を使ったり、PED投与に関する通話を傍受されないように試みたり、ナヴァロ氏とその共謀者の敷地内で死んだ馬の死体を遺棄するなどした」。

 FBI(米国連邦捜査局)は、ニコラス・スリック(Nicholas Surick)調教師とマイケル・タヌッゾ(Michael Tannuzzo)調教師(いずれも起訴)の通話を傍受しており、それは起訴状に引用されている。その中でスリック氏はこう話したとされている。「ナヴァロが殺したり壊したりした馬を、俺が何頭始末してきたか知っているか?俺たちが殺した6頭を奴らが見つけたら、ナヴァロがどんな厄介ごとに巻き込まれるか分かるか?」

 起訴状には、ブラッドビルダーであるエリスロポエチン(erythropoietin:エポゲンあるいはEPO)やその類似品も記されている。そして、これらの薬物の使用が心臓の疲労感と圧迫感を増大させ、時には致死的な心臓の障害を引き起こすこともあると指摘している。

 本誌は1月8日、エックスワイジェットが心臓発作を起こして死んだことを報じた。

 起訴状で示されている証拠は、2人の著名調教師にとって非常に不利なものだ。しかし同時に、競馬統括機関や薬物ルール監視のために導入されたプログラムにとっても不都合なものだろう。

 さらに、これらは"治療薬の過剰使用"ではない。出走馬の能力を覚醒させるようにデザインされた競走能力向上薬である。

 しかもこれらが投与されたのは、平日夜に格下競馬場のクレーミング競走に出走するレベルの馬ではない。それらの馬はG1馬であり、マキシマムセキュリティに関してはエクリプス賞を受賞している。

 各州の競馬統括機関は、競馬というスポーツを州レベルで守れると述べてきた。数十年にわたり、競馬界は連邦政府が監督することに対して一線を画してきた。

 このニュースが伝えるドーピングの規模と大きさは、競馬統括機関が競馬を守れなかったことをかなり明確に示している。

 私たちはここ数年、"サラブレッド競馬公正法(Thoroughbred Horseracing Integrity Act 訳注:米国反ドーピング機関に対し、競馬界の薬物ルールの独立監督機関を設立する権限を付与する連邦法)"の成立を声高に主張してきた。そして今、もっと派手に主張すべき時が来た。

 今回の起訴は27人を対象にしているかもしれないが、それ以上のものである。連邦政府によるこの起訴は、サラブレッド競馬というスポーツそのものを非難している。

 目覚ましが鳴るたびにスヌーズボタン(音を一旦消して数分後にその音を再び鳴らすためのボタン)は何度も押されてきた。

 議論だけをしている時間はもはやこれまでだ。

By Evan Hammonds


[bloodhorse.com 2020年3月11日「What's Going On Here-Rocked to the Core」]


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