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2019年02月21日  - No.2 - 1

2018年の全米の発売金・賞金額、ともに大幅増加(アメリカ)【開催・運営】


 NTRA(全米サラブレッド競馬協会)は財務省と歳入庁に対し、パリミューチュエル賭事の高額配当の的中馬券に関する源泉徴収と申告のルールを変更するように働きかけていた。そのキャンペーンが成功裏に終了してから丸一年が経ち、2018年の全米の発売金はこの18年間で最高の成長を達成した。

 エクイベース社(Equibase)は14日、『2018年米国サラブレッド競馬界の経済指標』を発表した。それによると、2018年に全米発売金は前年比3.3%増の 1126,5519,563ドル(約12,392715万円)となり、4年連続で増加したことになる。それは2000年の前年比4.4%増以来、最高の伸び率だった。

 もう1つの朗報は、全米の賞金額が前年よりも3.52%増加し、111,7727,943ドル(約1,229億5,007万円)となったことだ。賞金額が前年を上回るのは2012年以来のことである。

 NTRAが報じるところでは、新しい源泉徴収と申告の基準が適用された初年度(2017928日~2018927日)において、これまで歳入庁に直ちに徴収されていた払戻金350万ドル(約38,500万円)が賭事客の手元に残った。賭事客が追加的な資金を手に入れたことは、発売金が増加する一助となったようだ。

 源泉徴収と申告のルール変更以外にも、以下の要素が2018年の発売金増加に寄与したようだ。① 競馬界の最大イベントの継続的成功、② ジャスティファイ(Justify)の三冠達成が競馬への興味を高めたこと、③ 景気回復。

 NTRAの理事長兼CEOのアレックス・ウォルドロップ(Alex Waldrop)氏はこう語った。「景気回復・2頭目の三冠馬の出現・競馬界の最大イベントの継続的成長・新たな源泉徴収と申請のルールがシーズンを通じて適用されたことにより、サラブレッド競馬界にとって2018年は勢いのある年となりました。発売金が前年より3.3%増加して2010年以来初めて110億ドル(約12,100億円)を超えたことは、注目に値します。おそらく、最も興味を引くのは、競走数・競馬開催日数が減ったにもかかわらず、1日当たりの平均発売金と平均賞金額がそれぞれ6.58%と6.81%増加したことでしょう」。

 ケンタッキーダービーデーには記録的な降雨量が観測されたにもかかわらず、発売金は前年よりも8%増加して過去最高の22,570万ドル(約2482,700万円)となった。前日のケンタッキーオークスデーの発売金も、2016年に達成された最高記録4,900万ドル(約539,000万円)を更新して5,580万ドル(約613,800万円)となっていた。

 ガルフストリームパーク競馬場で開催された第2回ペガサスワールドカップデーの発売金は、前年比4.5%増の4,1983,881ドル(約461,823万円)となった[訳注:ただし、2019年の第3回ペガサスワールドカップデーの発売金は、悪天候のせいもあり、前年比10%減の3,7786,967ドル(約415,657万円)であった]。その後、フロリダダービーデーでは同競馬場における1日当たりの最高発売金4,990万ドル(約548,900万円)が達成された。また、同競馬場の1年当たりの発売金も過去最高の201,000万ドル(約2,211億円)となった。

 ガルフストリームパーク競馬場のビル・バジェット(Bill Badgett)場長は、こう語った。「これからも生産者・馬主・ホースマンに協力してもらい、フロリダ州の年間を通じた競馬開催の再編を継続します。この2年間の記録的な発売金増加に満足していますが、まだ伸びしろがあると信じています。ストロナックグループ(Stronach Group)が行ったサラブレッド競馬を再活性化させるための試みは、競馬場における顧客サービス・エンターテイメント・飲食サービスの向上により確実に功を奏しています」。

 2018年競馬開催日数が前年比3.08%減の4,432日となったことを考慮すれば、発売金と賞金額の増加はこれまで以上に目覚ましいものがある。1日当たりの平均発売金と平均賞金額は、それぞれ2541,859ドル(約27,960万円 前年比6.58%増)と252,195ドル(約2,774万円 前年比 6.81%増)になった。

 サラブレッド馬主・生産者協会(Thoroughbred Owners and Breeders Association)のダン・メツガー(Dan Metzger)理事長は、賞金額の増加は励みになると述べ、こう語った。

 「競馬界が長期的に健全性を保てば、馬主を引き付けることができます。また、全体的な賞金額の増加は経済指標の明るい材料となります。賞金増加の持続性は、馬主、そして競馬への投資を検討している人々にとって、重要なファクターとなるでしょう」。

 2019年には、競馬開催日の改善が図られるだろう。アリゾナダウンズ競馬場(旧ヤヴァパイダウンズ競馬場)は、5月後半に約9年ぶりの競馬開催を始めることを計画している。また、コロニアルダウンズ競馬場は8月に再オープンして約6年ぶりに15日間の競馬開催を実施する予定である。


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By Frank Angst

1ドル=約110円)


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