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TOPページ > 海外競馬情報 > 香港ジョッキークラブ、中国最大級の"従化競馬場"を開発(中国)【開催・運営】
海外競馬情報
2019年01月23日  - No.1 - 2

香港ジョッキークラブ、中国最大級の"従化競馬場"を開発(中国)【開催・運営】


 この施設の正門には、秘密を暴露するように「香港ジョッキークラブ従化競馬場(Hong Kong Jockey Club Conghua Racecourse)」と電光表示されていた。201111月に開発工事が始まったときに「従化区トレーニングセンター(Conghua Training Centre: CTC)」として息を吹き込まれた施設は、本格的な競馬場へと静かに姿を変えつつある。

 それでもまだ、香港ジョッキークラブ(HKJC)の最新の年間報告書にも「トレーニングセンター」という表記は見られるし、この施設を紹介するウェブサイトのアドレスも「ctc.hkjc.com」となっている。ただそのウェブサイト内には、「従化競馬場の空中写真」という項目があり、背景画像には「香港ジョッキークラブ従化競馬場」と記されている。疑う余地はない。これは"スタンバイ中の競馬場"である。見事なコース・設備の整った裁決室・ジョッキールーム・報道室・医務室を備えている。

 従化競馬場は香港から北に約130マイル離れた中国本土の南部に位置し、温泉街を見下ろす高台にある。その150ヘクタールの広大な土地には、約2000mの右回りの芝コースがある。

 香港から深セン市に入ってから、広東省の省都である広州市に着くまで車で3時間。灰色の工業開発地を次々に通り過ぎた後、従化は、新鮮な息吹、緑茂るオアシスのように現れる。その周りには澄みわたる川、そして山と森がある。

 そこにある高級ホテル2軒とトップクラスのゴルフ場は、この土地がとりわけ温泉に恵まれているため観光地として発展していることを証明している。点心(中華料理)が出るバーデンバーデン(ドイツの温泉・保養都市)と考えてみてほしい。

 バーデンバーデンに言及したのは偶然ではない。広東省観光局の主任が比較対象として最初に挙げたのがバーデンバーデンである。以前ドイツジョッキークラブのCEOを務めていたHKJCCEOウィンフリード・エンゲルブレヒト-ブレスケス氏は、この主任が従化をバーデンバーデンと比較するのをやめさせようとはしなかった。

 ブレスケス氏はこう語った。「広東省観光局は従化を最高級の観光地にしたいと考えています。HKJCの計画が馬産業を発展させ、それがこの地域の観光事業振興の一助となることを望んでいます。地方政府はHKJCがこれまで進めてきたことに満足しています。彼らは馬スポーツを国際レベルにまで到達させることを検討しており、その第一段階が卓越した施設の開発です」。

 従化競馬場は本来、2010年アジア競技大会(広州)のためにHKJCが設計・建設した馬術会場である。HKJCがシャティン競馬場(1,200馬房 築40年)に大幅な改装工事が必要だと認めたときに、この土地を購入したのは自然な流れだった。"馬主からの高まっている需要を満たすために調教頭数を増やす"というのは補足説明だったが、それもまた考慮すべき重要な問題であった。

 従化の開発工事が始まって7年という歳月が経ったことで、ブレスケス氏はこの冒険的事業の初期段階に生じた構造的問題を重くとらえていない。これまで、この構造的問題のために37,700万ポンド(約5278,000万円)に相当するコストが発生している。同氏はこう語った。「開発工事開始からの数年間にいくつかの問題がありましたが、それらは適切に対処され乗り越えられました。従化で完成した施設は、香港調教馬にとってかけがえのない施設です。中国ではこれに匹敵する施設はありませんし、世界にもそれほどないと言えるでしょう」。

 たしかに、HKJCは謙遜することを知らないかのように、国際的に遜色のない施設を創り上げた。

 芝コース(約2000m)だけではなく、その内側に2つの調教コース(オールウェザー)と坂路コース(約1000m)がある。それはニューマーケットの坂路コースと似ているが、日常的にシャティン競馬場の平坦な馬場を疾走する香港調教馬にとっては目新しいものとなる。1階建て厩舎が8棟、2階建て厩舎が1棟。1厩舎あたり約200馬房。それらの馬房は、シャティンの馬房とは違ってゆったりとして、風通しが良く、明るい。それに、20の囲い放牧場、馬用プール、水中トレッドミル、3つのアクアスパがある。

 201812月中旬の時点でここに入厩している競走馬は142頭。薄気味悪いほどの静寂の中で行われた朝調教では、シャティンでの猛特訓に比べて無理のない調教が行われていた。しかし、7月から短期的に調教馬を受け入れ始めた従化競馬場の安穏とした環境は、先駆者となることを促された9人の調教師のほとんどに恩恵をもたらしている。

 従化で調教された馬が香港に戻ってシャティン/ハッピーバレー競馬場で出走したときの勝率は、現在のところ約10%である。特にリーディングトレーナーのジョン・サイズ調教師は、従化の調教環境を称賛している。

 サイズ調教師は満足しているときに粗野な言葉を使ったりしない。また、自らの成功の秘密を打ち明けることもない。ただ、2019年に5歳となる元アイルランド調教馬カルキュレーション(Calculation)に話が及んだときには心を開いた。同馬は20177月の香港でのデビュー戦を勝利で飾ったが、その後は伸び悩んでいる。しかし2018-19年シーズンはこれまで41勝しており、再び調子を上げつつある。

 同調教師はこう語った。「カルキュレーションは、しばらく休養させてから720日に最初の馬群と一緒に従化に入厩させました。それからずっと滞在して、レースに出走するときだけ香港に戻ってきます。彼はこの施設を気に入っているようです。何もかも迅速にこなし反射神経が良いですが、少し神経質です。だから従化での調教は適しているようです。ここはシャティンよりも静かで、すぐに慣れました」。

 「大半の馬がトレセンとしての従化に順応し、落ち着いて調教に臨むでしょう。調教師はそれぞれ、どの馬を従化に送り込めば良いか決定しなければなりません。難しいタイプの馬を送りたいと思っている調教師もいるでしょう。休養をとらせるために、あるいはちょっとした刺激を与えるために、数週間だけ従化に送り込まれる馬もいるでしょう。さまざまな観点があり、理由もいろいろあるでしょう」。

 この施設に対する関心は、当初の予想以上に急速に高まっている。2人の調教師が春節(25日)の後、さらに3人の調教師が2018-19年シーズン末までにこの施設に加わると見込まれている。

 調教師たちはここに着いたときに、丹念に計画された従化の調教活動の一面に触れるだろう。厩舎スタッフ、調教助手、騎手も徐々にそれに気づいていくだろう。

 引退競走馬のための厩舎(60馬房)もある。新参の厩舎スタッフや乗り手は広州の馬術センターで6ヵ月間を過ごした後に、ここにいる引退競走馬を通じて仕事の基礎を学ぶ。

 「努力することは輝くこと(To Strive Is To Shine)」と書かれたTシャツに着替えた15人の騎手候補生の大半は、以前は騎乗の経験がなかった。彼らはシャティンに移る前に従化で6ヵ月間を過ごす。しかし、豪州やニュージーランドでの海外研修を終えるまではレースで騎乗することはできない。

 HKJCの競走担当専務理事のアンドリュー・ハーディング(Andrew Harding)氏はこう説明した。「私たちは9年間、中国本土でスタッフを教育してきました。最近では職業訓練の進行が早まってきており、現在その成果を見守っています。調教師が厩舎スタッフを信頼しているのが見られます」。

 従化における地元スタッフへの教育は、調教に関わるスタッフに限らない。従化の装蹄場は、見習装蹄師5人と経験豊かな装蹄師2人がさらに腕を磨く場所となっている。一方、レベルの高い獣医施設のあちこちでは、獣医課程の卒業生たちがさらに知識を広げている。その中にはロンドンの英国王立獣医師会(Royal College of Veterinary Surgeons)の受講生もいる。

 HKJCのクリス・リグス(Chris Riggs)獣医臨床業務部長はこの施設に対する誇りをみなぎらせて、こう語った。「これは中国における馬の福祉にとって、非常に大きな一歩です。私たちが目指しているのは、ここでの臨床診療をシャティンで提供しているものと同じ水準に引き上げることです。この施設は、拡充することで今後50年間使用できるように設計されています。そしてビジネスの観点から、私たちはここで競馬産業に供給する馬の頭数をピークに到達させるような業務を提供しようとしています」。

 見学者たちは『法医学捜査班(Silent Witness BBC1996年放送開始の人気ドラマ)』のような白衣を着用して、二重のゲートを通過し、手を洗浄し、英国の口蹄疫予防を連想させる靴の洗浄のあとに馬診療所に入った。これと同様のバイオセキュリティー措置が、シャティンから来た馬と厩舎スタッフにも行われた。それらの厩舎スタッフは、出発地点で輸送用の馬房に馬と一緒に入って封印され、古い高速道路の上を広州まで4時間掛けて運ばれ、ようやく従化の"無病環境"に到着した。

 この計画全体は、国内外の当局に対する印象づけと、観光事業の後押しのために進められてきた。また従化競馬場は、現在馬の福祉問題で遅れを取っている中国において、手本を示すことができる。

 ブレスケス氏は、「従化が牡馬を輸入する日が来れば、それらの牡馬の血統が馬主たちに新たなチャンスを与えるでしょう」と予想する。そして、「"無病環境"にある従化競馬場は、卓越した馬の拠点となることを目指しながら、グレーターベイエリア(広東省の広州や深センなど9つの市に香港とマカオを加えた大都市圏を構築する計画)の馬産業の発展を支援すると、確信しています。そのトレセンとしての機能と広州黄村スポーツトレーニングセンターも後押しとなるでしょう」と語った。

 その間に、発展に向けた次なる一歩が踏み出される。2019323日、5つのエキシビジョンレースがHKJCの施行規程の下で開催される。賞金もHKJCが提供する。

 入場者数は5,000人までに限定されるだろう。それ以上の人数が仮設テントに集まれば、この地域において公共娯楽営業免許の問題が生じるからだ。ゴール板の向かい側には、施設の整った調教師用の大型テントがあるが、レースを観戦しやすい場所にグランドスタンドはない。

 もちろんこの最先端の施設の最大の問題は、中国で賭事が禁止されているために馬券を発売できないことだ。ブレスケス氏はこう語った。「馬券は発売しません。香港においても同様です。エキシビジョンレースはHKJCが主催します。グレーターベイエリアの馬産業の発展に向けた私たちの計画の一環として、従化競馬場を披露することを主な目的としています」。

 習近平総書記が最高指導者であるかぎり、賭事禁止令は維持されるだろうが、その先に何が起こるかは誰も知る由がない。しかし当面のところ、HKJCは従化競馬場を中国本土で最も印象的な馬施設として発展させることを強調するだろう。

By Howard Wright

1ポンド=約140円)


Racing Post 20181223Think the same but differentChina's new track puts together best of the rest」]


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