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2018年08月20日  - No.8 - 1

パリロンシャン競馬場、再オープンから3ヵ月半後の総合評価(フランス)【開催・運営】


 48日、パリロンシャン競馬場は再オープンした。本紙(パリテュルフ紙)は、このフランス平地競馬を代表する競馬場について最初の総合評価を出した。本紙記者が自ら調べたこと、そして馬券購入者・競馬関係者から集めた意見から導き出した評価は、おおむね良好なものだった。

木曜日の薄暮開催"ジュディ"(10点満点中8点)―新たな魅力がもたらされる

 パリロンシャン競馬場の再オープンから1ヵ月後、フランスギャロ(France Galop)は革新的発想のイベントを立ち上げることを望んだ。それが"ジュディ(Jeudix 訳注:木曜日を意味する「Jeudi」と遊び・賭け事を意味する「Jeux」の合成語を冠した新しい薄暮開催)"、すなわち、一風変わった体験を求めるパリの若者をターゲットとした"流行り"のスポットである。この木曜日の薄暮開催は最初の8回で28,000人の来場者を集めるほどの魅力がある。実際、野外で草を踏みしめてワインやビールを飲んで食事が楽しめる場所は珍しい。その上、音楽が流れ馬券が購入できる場所などはめったにない。"野外のにぎやかな酒場"という発想はまさに大当たりだ!ノクティス社(Noctis フランスギャロと契約を交わしたイベント会社)のセバスチャン・サバティエ(Sébastien Sabatier)開発部長はこう語った。「この発想は、初回ジュディに800人以上、712日には8,000人近くの人々を集めました。このようなイベントでは驚異的な急増ぶりです。精一杯取り組んできましたので、この結果は私たちが抱いてきた野心に見返りを与えるものだと考えます」。夏場のレースが開催されない期間でも、"ル・プティプレ(le petit pré 野外カフェエリア)"は木曜日から日曜日まで営業している。"ジュディ"で驚かされることは、我々記者が1日の仕事を終えた時間帯でも、人々が競馬場に入るために行列しているのを目の当たりにすることである。人々に競馬場に足を運んでもらうだけでも大したことである。ただ、レースに夢中になってもらうことはまた別のことである。フランスギャロとPMU(フランス場外馬券発売公社)はこの点について改善の可能性があると考えている。いずれにせよ、週末などにビッグレースが行われるときよりも、"ジュディ"の雰囲気は和気あいあいとしている。それも良いことだ!

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ジョッキールーム(10点満点中5点)―ゆったりとして快適だが使いやすくはない

 ゆったりとした椅子、正方形の配置、きれいな休憩室、サウナ、そして卓球台(騎手が購入)まである。一見すると、どの騎手もジョッキールームを気に入っているようだ。しかし、数人に話を聞くと、いつも同じ批判が返ってくる。中でも一番よく聞かれたのは、「窓がない」という批判。パリロンシャン競馬場の再オープンの日、クリストフ・スミヨン騎手は「ジョッキールームというよりも病院に似ている」と言った。天井と青白い光を出す蛍光灯を目にすると、その意見は間違っているとは言い難い。また機能性の面では、特に検量室と馬装具置場へ続く通路についてネガティブな意見が聞かれた。ある騎手は「ジョッキールームの扉を開けばすぐに検量室であれば良いのだけど」と口を挟んだ。実際、騎手たちは検量を受けたり馬装具を取りに行くために何度も往復を繰り返す。中には「レースの合間の時間が無くなる」と不満を述べる騎手もいる。それは、シャンティイやサンクルーではありえない。なぜなら、それら2場では、馬装具置場がジョッキールームと繋がっていて、扉のすぐ後ろに体重計があるからだ。騎手たちはパリロンシャンでもそれを切望している。ジョッキールームの機能性についてのもう1つの不満は、携帯電話が繋がらないことである。これは、レースの合間に騎手関係者に話を聞くことの多い記者にとって不利となる。しかし、Wi-Fiネットワークでの通話はいつでもできる。これらさまざまな考察から、数人の騎手は「パリロンシャンのジョッキールームはアスコットのレベルには達していない」と述べた。アスコット競馬場は2006年に改装されている。

レストラン(10点満点中8点)―多様性に富んだメニュー

 レストランについては、5年前にロンシャンで提供されていたものと比べると全く異なることを再確認するはずである。多様性に富んだメニューは、すべての好み、そしてすべての予算に適応する。競馬場のブラッスリー(ビールなどの酒と料理を提供する気軽なレストラン)で出されるリブロースステーキが30ユーロ(約3,750円)なのは高く感じられるかもしれない。しかし競馬場から数分のところにある同レベルのレストランと同等の価格である。「ル・プティプレ」で提供されるグリルビーフや軽いつまみの質は良く、様々なスタンドで見つけることのできるサンドイッチ(約5ユーロ=約625円)でさえも独創性では際立ってないが"まずまずのもの"である。それでも、4人家族がそれぞれ好き放題に注文すると、請求金額がうなぎ上りになることには変わりがない。ピクニックかごを持参して馬場の近くのテーブルや椅子を利用して競馬観戦しながら食事するのも1つの選択肢である。

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検量室(10点満点中9点)―大成功

 検量室に入ると、そこは熱心なムードに支配されている。長いデスクに座るパリ競馬場技術社(Groupement Technique des Hippodromes Parisiens)の職員の目は、コンピュータの画面にくぎ付けになっている。彼らの前には、整理棚が並んでいる。騎手たちはそこにゼッケンを取りに来て、関係者たちと話し合うことができる。互いにしきりにすれ違うが、とても静かだ。この検量室は考え抜かれたものである。ガラス張りの2つの扉からしかアクセスできず、騎手はそこからパドックに直接向かうことができる。機能的であると同時に広々としており、"渋滞"なしの流れるような人の行き来を作り出している。ある種のカオス状態が検量室を支配した仏ギニー競走開催日のように混乱した日でさえもそれは変わらない。この検量室はまさしく大成功である。

グランドスタンド(10点満点中7点)―以前よりも快適

 パリロンシャン競馬場の建築家のドミニク・ペロー氏はパリテュルフ紙(47日付)で、「大勢が次から次に行き交うのではなく、自然と一層調和のとれた、ゆったりとした空間を探求しようとしました」と強調した。平地競走の神殿が再オープンしてから3ヵ月が経ち、この挑戦は功を奏したようだ。緑に包まれた近代的なゴールドパール色の全長160mのグランドスタンドには広々としたスペースがあり、多くの人々が訪れているようだ。大半の観客(ホースマンや関係者以外)がレースを見る地上階は、「素晴らしい眺めであり、フォルスストレート(見せかけの直線)を遠目に見ることができます」と常連ファンのイヴ氏が言った。観客席の列の下には芝が敷かれており、観客はそこから時速60kmで駆け込んでくる馬と同じ目線でレースを観戦できる。28歳のフロリアン氏は「レースの見え方は大きく変わっていません。以前のグランドスタンドのほうが、魅力があったように思います。しかし、今ではコース周辺にはずっとアクセスしやすくなりました。外ラチの観客側は以前のようなコンクリートではなく緑の芝が敷かれているので、ずっと快適です。自然を感じられるようになりました」。今ではグランドスタンドの馬場側からパドック側への移動がずっとスムーズになった。大観衆が詰めかける日にどのような状態になるのかは、もうすぐ確認できるだろう。いずれにせよ、馬券購入に関しては、観客が最高の条件で馬券を購入できるようにあらゆる工夫がなされたようだ。シャルル氏は、「とても分かりやすくなっています。私たちの方にやって来て馬券購入を手伝ってくれるスタッフはとても熟練していて親切です」と語った。ヤシーヌ氏は、「以前に比べて馬券発売機もモニターも増えています」と述べた。今では40もの馬券発売機で馬券が購入できる。観客が挙げたいくつかのネガティブな点のほとんどは、グランドスタンドの色に関するものであり、"万人に好かれる"には程遠いようだ。また、理由は分からないがチェーンでふさがれた階段があることにも不満があった。グランドスタンドの下に風が吹き込み、それがかなり不快な隙間風を作り出すことも忘れてはならない。天気の悪い日は特にひどい。旧ロンシャン時代にもこれは感じられていた。

馬場(10点満点中1点)―不協和音

 パリロンシャン競馬場の再オープンにおいて、意外に評判が悪かったのは馬場である。新しい建造物に目を奪われていた一方で、私たちは本質を見失っていた。これまで馬場が批判にさらされることは(水はけに関して以外は)ほとんどなかった。しかし一番関係のある騎手だけでなく調教師の間でもこの馬場は物議を醸し、その激しさは週ごとに増していった。シーズンの序盤は土壌の欠陥を隠せたのかもしれないが、暑気と馬場の乾きが到来したことで、実態はただちに明るみになった。事故遭遇馬、滑走、調子の狂ったレース。よくあることだが、多くの人々が考えていることを本紙のコラムで声高に訴えたのはクリストフ・スミヨン騎手であった。「この馬場では馬を抑制できない。穴が開いていて、硬く、調子が狂わされる!」他の騎手もスミヨン騎手に同調した。その1週間後の仏ギニー競走開催日の混乱により、この馬場の完全なる失敗が確認された。競馬の祭典は茶番と化した。ユーエスネイビーフラッグ(US Navy Flag)が危うく落馬しそうになった仏2000ギニー(G1)の後、騎手たちは仏1000ギニー(G1)を延期して中周りコース(モワイエンヌピスト)ではなく大周りコース(グランドピスト)で施行するように訴えた。緊迫した雰囲気の検量室。騒動は漠然と広がったが、ギリギリのところでストは免れた。仏1000ギニーは大周りコースで施行されたが、この日悪影響があったことに変わりはない。節度があり、多くの試練を経験してきたジェラルド・モッセ騎手でさえも、ひどい馬場状態に抗議した。改装工事が行われた2年間、この馬場は適切に管理されていなかった。レースが再開されるときに馬場の上には杭と100個ほどのゴルフボールがあった。フランスギャロのチームは716日(月)から、(それほど乾燥していない)良い天候に恵まれることを期待しながら、欠陥のある部分に対処するために全力で取り組む。夏場の開催休止期間があるので、9月の競馬再開までに改善を施すことができる。

アクセスのしやすさ(10点満点中4点)―歩くことを好きにならなければならない。

 パリ地域の競馬場の大半に共通して欠如していることはやはり、公共交通機関でのアクセスが複雑であることだ。フランスギャロは週末にポルトマイヨ駅とポルトドートゥイユ駅からシャトルバスを運行しているが、レースがない時も人々を迎えたいと考えているわりには、パリロンシャン競馬場への交通の便は不十分である。トラムウェイ(路面電車)の駅は約1,500m、最寄りの地下鉄の駅は約3km離れている。タクシー乗り場はムーランドロンシャン(風車)の近くに位置しているが、空車を見つけるのは難しい。近くにはヴェリブ(Vélib レンタル自転車)もオートリブ(Autolib レンタル自動車)もない。200mほど離れたところに241番のバス乗り場があり30分毎にバスが来る。もう少し離れたところにも244番のバス乗り場があるが、本数はわずかに多いだけである。フランスギャロはルカブ社(LeCab)と契約を交わした。このタクシー配車アプリ(VTC)の会社は、多くの観客が訪れる日に競馬場にタクシーの一部を配車するが、すべてに対応できるわけではない。パリ市も状況が改善されるように努力を惜しんでいないので、今後に期待しよう。

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1ユーロ=約125円)

Paris Turf 2018719日「ParisLongchamp passe au scanner






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