アローワンス適用により女性騎手の騎乗回数が39%増加(フランス)【開催・運営】
フランスギャロ(France Galop)は6月7日、女性騎手に対するアローワンス(減量制度)適用は議論を巻き起こしてきたが、これにより女性騎手の騎乗回数が大幅に増加したと発表した。
アローワンス適用開始から3ヵ月間で、女性騎手の騎乗回数は昨年同時期と比較して300回以上増加した(39%増)。
また、同時期に女性騎手の勝利数は12%増加した。フランスギャロは、"女性騎手に2キロのアローワンスを与えてもバランスは損なわれなかったことが証明された"と述べた。
2月にフランスギャロのエドゥアール・ド・ロトシルト(Edouard de Rothschild)会長がこの措置を発表したとき、馬スポーツに適用されてきた"男性と女性が平等に競う"という考えを放棄するこの措置を巡って、フランス内外で大きな議論が起きた。
英国のリーディング見習騎手であるジョセフィン・ゴードン(Josephine Gordon)氏は、クラス1より下位のレース(リステッド・重賞レベルより下のレースカテゴリー)全てに適用されるこのアローワンスを声高に非難していた。
フランスギャロの2人の副会長のうちの1人ジャン-ピエール・コロンビュ(Jean-Pierre Colombu)氏は6月8日、「この傾向に勇気づけられていますが、女性騎手へのアローワンス適用の本当の成功は、女性からの騎手免許申請が増加することで証明されるでしょう」と述べた。
そしてこう続けた。「この期間中の数字を見れば、女性の騎乗回数は39%も増加しましたが、勝利数は12%の増加にとどまり、バランスを壊すような措置ではなかったことが示されています」。
「3着内回数が79%増加したということは、女性騎手が生計を立てやすくなり、より長く騎手生活を続けられるということなので、素晴らしい数字です」。
コロンビュ氏はこう付け加えた。「騎乗回数が39%増加したことは、重要な動きが起きていることを示しており、将来に向けて希望が持てます。ただ、主な指標となるのは女性への騎手免許発行数が増えることであり、私の見解では、来年に大きな変化はなくその進展にはもう少し時間が掛かりそうです」。
統計を月毎に見てみると、当然のことだが、この措置の適用が始まった3月に女性騎手の騎乗回数は跳ね上がり、前年同月と比較すれば69%増加した。
女性騎手へのアローワンス適用の発表とその導入までには比較的短い期間しかなかったので、多くの調教師とエージェントは慌てて新しい環境に対応した。
4月と5月の女性騎手の騎乗回数は合計で20.7%増加したが、5月だけに限れば3ヵ月平均に近い37%の増加であった。
コロンビュ氏はこう語った。「私たちがアローワンス適用前に実施した調査では、3着内回数については男性騎手と女性騎手の間に大きな隔たりはありませんでしたが、勝率については大きな隔たりがありました」。
「平均的な男性騎手は騎乗12~15回につき1勝していますが、女性騎手はずっと多くの回数を乗らなければなりません。私たちの目標は、女性騎手の勝率を人為的に高めることでは必ずしもなく、より多くの女性騎手に騎乗機会を与えることです」。
ロトシルト会長は、その任期の前半において女性騎手限定のレースを増やし、昨年10月にはサンクルー競馬場で女性騎手限定のカンテ馬券(5連単・5連複馬券)発売レースの施行を指揮するなど、女性騎手の後押しを行う取組みにおける重要人物であった。
また、個人的にも女性騎手の活躍に一役買っており、アメリー・フーロン(Amelie Foulon)騎手が2年前のヴィシー大賞(G3)を制してフランス初の女性騎手による平地重賞優勝を果たしたときには、ロトシルト会長の自家生産馬エリプティック(Elliptique)に騎乗していた。
障害競走においては、女性騎手はアマチュアを続ける傾向にあるので、平地競走に比べるとプロ騎手がかなり少ない。障害競走では、アローワンスが適用され始めて3ヵ月間で、女性騎手の騎乗回数は22%増加し勝利数は66%増加した。
By Scott Burton
(関連記事)海外競馬情報 2017年No.2「女性騎手に2キロのアローワンスを適用(フランス)」
[Racing Post 2017年6月8日「Female jockeys making big gains in France with weight concession」]