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2016年04月20日  - No.4 - 2

2015年の北米の予後不良事故率、14%低下(アメリカ) 【開催・運営】


 3月22日に発表された事故馬データベース(Equine Injury Database)の統計によれば、2015年の北米におけるレース中の予後不良事故率は前年より14%低下した。2009年に統計が初めて発表されて以来、最も低い予後不良事故率となった。

 2015年の全体的な予後不良事故率は、2014年の出走頭数1,000頭当たり1.89件から低下し、1.62件となった。

 この統計では、レース施行日から72時間以内に死亡に至った故障を"予後不良"としている。事故馬データベースの顧問によれば、この統計は報告のタイミングなどに左右される。

 馬場の種類別では、オールウェザーでの予後不良事故率が最も低く、それに芝馬場とダート馬場が続く。2009年からこの傾向は変わらない。

 事故馬データベースの対象となった出走頭数は、生産頭数と競馬開催日数の減少のため、2009年の39万5,000頭超から、2015年には30万頭以下に減少した。

 予後不良事故率は、オールウェザーで出走頭数1,000頭当たり1.18件、芝馬場で1.22件、ダート馬場で1.78件であり、すべての馬場で前年と比較して低下した。なお、ダート馬場において2件を下回るのは初めてのことである。

 事故馬データベースを分析しているグラスゴー大学の獣医師で伝染病学者のティム・パーキン(Tim Parkin)博士は、次のように語った。「予後不良事故は大幅に減少しており、たいへん励みになっています。私たちは引き続きデータを解析し推移を予測していきますが、競馬場・ホースマン・統轄機関が近年採用している幅広い安全対策が馬の故障や予後不良事故の減少に大いに役立っているようです」。

 2015年の統計によれば、競走距離別の予後不良事故率も2009年から一貫した傾向を示している。中距離(6ハロン~1マイル)や長距離(1マイル超)のレースと比較し、短距離(6ハロン未満)レースの事故率は相変わらず高めである。

 馬齢別では、引き続き2歳馬の事故率が最も低い傾向にあり、古馬よりも3歳馬の事故率の方が低かった。

 ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission)の馬医療担当理事であるメアリー・スカレー(Mary Scollay)博士はこう語った。「2007年にデータを収集し始めた時に、多くのデータを入手して分析するほど、多くの知識が得られることを実感しました。予後不良事故率の低下は、多くの人々の努力が結実したことの明らかな証拠です」。

 事故馬データベースは、2006年の第1回競走馬福祉・安全サミット(Welfare and Safety of the Racehorse Summit)において発足した。2016年には、北米の全競馬開催日程の96%を施行する競馬場が予後不良事故のデータを提出すると見込まれており、うち30競馬場がその統計を公開するだろう。

 事故馬データベースは、レース中の故障の頻度・タイプ・結果を特定することを目的に発足したものであり、有効な統計を作成するために標準化された様式が用いられている。このデータベースは、故障リスクが高い馬についての指標の特定や、安全性の向上と故障防止に向けた研究のためのデータソースとして役立てられる。

 米国ジョッキークラブの理事長兼CEOジェームズ・ギャグリアーノ(James Gagliano)氏はこう語った。「安全性の向上と故障防止を目標に事故馬データベースは発足しました。多くの競馬場の参加と協力により、私たちは今このデータベースを活用しています。この計画のためにデータを提供した競馬場に感謝します。とりわけ事故馬データベースのウェブサイトに統計を公開することを承諾してくださった競馬場に感謝しています」。


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By Tom LaMarr

[bloodhorse.com 2016年3月22日「Equine Fatality Rate Down 14% in 2015」]


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