BHA、競馬番組改善に向けホースマンから意見募集開始(イギリス)【開催・運営】
BHA(英国競馬統轄機構)は8月27日、競走馬頭数に見合った競馬番組を作成するために、意見募集を開始した。
BHAは現行制度が十分に調整されたものではないことを認めた上で、より総合的なアプローチが可能か調査することが、この意見募集の目標であると述べた。
そして、馬主、生産者、調教師、騎手に対し、“意欲的な競馬番組の作成”と“出走頭数増加”につながる意見募集プロセスに関与するよう勧めている。
ホースマンたちはこの意見募集を歓迎している。“同一条件レースの間隔が詰まり過ぎている、あるいは開きすぎているため、出走させるレースがない”というのが、競馬番組についてホースマンから最も頻繁に寄せられる苦情である。
ホースメングループ(Horsemen’s Group)のフィリップ・フリードマン(Philip Freedman)会長は、次のように語った。「競馬番組作成を適切なものにすることは、大きな意味を持ちます。“競馬番組を一か所で集権的に作成することを歓迎する”と常に言ってきました。余計な重複を排除できれば、ホースマンや競馬場にとって利益になるでしょう」。
「そうして作成された競馬番組には、誰もが信頼を置かなければなりません。信頼できなければ、競馬場はその競馬番組を受け入れないでしょう」。
そして、次のように付言した。「馬主の立場から言えば、この4月に7ハロン(約1400m)の未勝利牝馬限定戦が1日に3レース施行されたときは、大変苛立ちました。しかも、その後3週間は、同じ条件のレースは施行されませんでした。もっと集権的な方法で競馬番組が作成されていれば、このような事態は避けられると確信しています」。
同じように、全国調教師連合会(National Trainers' Federation: NTF)のジム・ボイル(Jim Boyle)理事長は、次のように語った。「現行の競馬番組の作成方法は、いくつかのレース開催が地理的に近いことが頻繁にあり、同一タイプのレースの重複があり過ぎることから、上手く機能していないことは明らかです。同一タイプのレースが1日に3〜4レース施行された後に、そのタイプのレースが数週間施行されないことが頻繁にあります。もっと調整しながら作成すれば、より望ましい魅力的な競馬を開催できるでしょう」。
「また、別の例も検討されるべきです。日曜日の競馬番組は、高額賞金で質の高いレースを提供するとされていましたが、実績をあげていません」。
馬主協会(Racehorse Owners Association: ROA)のCEOリチャード・ウェイマン(Richard Wayman)氏は次のように語った。「馬主は所有馬が出走するのを見たいと思っています。したがって、競走馬頭数に見合った競馬番組の作成に重点を置くこの意見募集は、大変喜ばれることでしょう」。
「より具体的に言うと、現行の競馬番組の作成方法、出走馬関係者に与えられる情報の質、レースの理想的バランスをもたらす方策を検討する機会が与えられることを歓迎します。これらは、単純な問題ではありませんが、競馬界が全ての現役馬をできるかぎり出走させようとするのであれば、これらの分野での進展は重要です」。
BHAは、意見募集に基づく見直しにより、現行の競馬番組の作成方法の評価を行うことになると述べた。現行の作成方法は、競馬参加者と、競馬の重要な成長分野を支える人に対して、より良い競馬番組を提供することを目的としている。
BHAのCEOニック・ラスト(Nick Rust)氏は次のように語った。「この意見募集は私たちにとって絶好の機会となるでしょう。これまで最善の競馬番組を作成するために用いられてきた方法をより良いものに見直して、ホースマン、競馬場、そして競馬界の幅広い関係者を満足させるものにしたいと考えています」。
「競馬番組の改善により、同一条件レースの重複や空白期間の削減、現役競走馬の出走機会の増加、出走頭数の増加、現役競走馬頭数の維持と拡大、より競争的で魅力的な競馬の実現などの恩恵がもたらされます」。
「私たちは、競馬産業の成長戦略の一環として、2020年までに現役競走馬を新たに1,000頭増加させることを目標に掲げています。この意見募集は、競走馬頭数と最適な出走機会のバランスを取ることを可能にする下地を作るでしょう。競走馬が目指す路線を確実にしつつ、競走馬頭数に見合った競馬番組が確保されるでしょう」。
BHAはホースマンと競馬場に対して、代表団体を通じて書類を入手し、記載された質問に回答し、意見募集に参加するよう呼び掛けている。代表団体は、NTF、ROA、競馬場協会(Racecourse Association: RCA)、騎手協会(Professional Jockeys Association)、サラブレッド生産者協会(Thoroughbred Breeders Association)などである。また、BHAはブックメーカーからの書類提出も歓迎すると述べた。
この意見募集は、“意欲的な競馬番組”と“競走馬頭数に適合した競走番組”の間における適切なバランスを明確にすることと、競走馬が目指すべきレースプランを特定することを目的にしている。したがって、パターン競走は意見募集の対象に含まれない。
寄せられた幅広い意見の内容を分析し、BHA執行委員会への勧告を作成するために、利害関係者から成るワーキンググループが設立される。BHA執行委員会は、年末までにこの勧告を検討する。
RCAは競馬場メンバーのために、9月29日にニューベリ競馬場、9月30日にヨーク競馬場でワークショップを開催する。一方、BHAはNTFを通じて調教師に概要を伝える予定である。
By Jon Lees
[Racing Post 2015年8月28日「BHA launches new initiative to improve race planning」]