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2012年10月20日  - No.10 - 2

カリフォルニア州競馬委員会、エクスチェンジ賭事の規制ルールを承認(アメリカ)【開催・運営】


 カリフォルニア州競馬委員会(California Horse Racing Board: CHRB)は9月21日の会議において、1年以上前に公布の意向を表明していたエクスチェンジ賭事の規制ルールを仮承認した。

 CHRBの会議はポモーナのフェアプレックスパークの隣にある会議場で行われ、一連の22の規程を満場一致で可決し、15日間の短縮版パブリックコメントの手続きに付した。同期間の終了後の10月18日に開催されるサンタアニタパーク競馬場での会議で、CHRBは最終的にこれらの規程を可決することになるだろう。

 一連の規程は、最初3月に45日間のパブリックコメントに付されていた。それを受けて8月に開催された特別委員会の後、文言にいくつかの指摘がなされて修正された。CHRBのキース・ブラックプール(Keith Brackpool)会長は、それらが軽微の修正と考えられるため、修文案についてのパブリックコメント期間は短縮される可能性があると指摘していた。

 10月になされる正式承認で、このプロセスは終了するわけではない。その後規程はカリフォルニア州の行政法局に送られ、最長で2ヵ月間検討され、そして最終確認のために州務長官のもとへ送られる。

 たとえプロセスは煩わしいとしても、カリフォルニア州は米国でエクスチェンジ賭事を提供する初めての州となるだろう。このエクスチェンジ賭事は、カリフォルニア州ビジネス・職業法(Business and Professions Code)において、“2人以上が1つの市場でお互いに賭け合うパリミューチュエル賭事の一形式”と定義づけられている。

 エクスチェンジ賭事において、顧客は馬がレースに勝つか負けるかについてオッズを提示し、他の顧客の賭事を受け付けることができる。これにより、レース中賭事(betting on in-progress races)のようないくつかの新しいタイプの賭事が可能になる。

 エクスチェンジ賭事は、2000年に英国で導入され、人気のある賭事として証明された。英国を拠点とするインターネット賭事会社であり、米国大手の会員制賭事(advanced deposit wagering: ADW)提供会社であるTVG社の親会社のベットフェア社(Betfair)は、カリフォルニア州にこの賭事の提供を強く要求し、2年前にエクスチェンジ賭事法が成立していた。この賭事のコンセプトは競馬に若年層からの関心を新たに惹きつける手段である、と同州の競馬統轄機関の役員は見ている。

 ホースマンを代表するカリフォルニア・サラブレッド馬主会(Thoroughbred Owners of California: TOC)は今後、同州の主要競馬場にエクスチェンジ賭事を導入するあらゆる交渉を認めなければならない。TOCは今年の初め、公正の確保およびエクスチェンジ賭事収入のホースマンへの公正な還元について懸念を表明し、2013年までエクスチェンジ賭事を承認するつもりはないと発表していた。

 TOCの考え方に対してベットフェア社は強く批判した。ベットフェア・ハリウッドパーク競馬場(ベットフェア社が5年間の名称権を獲得している)およびデルマー競馬場は、エクスチェンジ賭事の支持を表明している。しかしTOCの支持がないことから、クオーターホースレースが主体のロスアラミトス競馬場でしかエクスチェンジ賭事の実施準備が行われていない。

 CHRB委員が規程に関して提起した問題の中心は公正確保であった。そして馬が負ける方に賭けることを禁止する条項に懸念が出されていた。

 エクスチェンジ賭事に関する特別委員会の議長を務めたデヴィッド・イスラエル(David Israel)副委員長は、CHRBメンバー、CHRBの業務遂行許可書を取得している者、CHRBの職員および契約職員がそのような賭事を行うことを禁止するよう促した。

 イスラエル副委員長は、「これらのグループに属する個人に対して負け馬への賭事を禁ずることは、エクスチェンジ賭事の公正確保という目的から言えば大したことではありません。しかし、生じ得る嫌疑の影はすべて取り除かなければなりません」と述べた。

 最終的にCHRBの過半数で承認されたのは、リチャード・ローゼンバーグ(Richard Rosenberg)委員が提案したより厳しい禁止である。ローゼンバーグ委員の規程は、馬主、調教師およびその従業員、馬主の公認エージェント、騎手、繋駕競走の騎手、騎手のエージェント、バレット、調教師に従事する獣医スタッフが負け馬に賭けるのを禁ずるものである。

 ジェシー・チョッパー(Jesse Choper)委員は、ローゼンバーグ委員の立場を支持し、「取り締まるにはありとあらゆるルールが必要でしょう。誰かが本気で不正行為を行うつもりなら、不正行為は行われてしまいます」と語った。

 同じく負け馬への賭事のより厳しい禁止を支持するブラックプール委員は、「実際に不正の把握の問題を非常に深刻にとらえていますが、少し頭を切り替えて考えています。エクスチェンジ賭事の良い点の1つは、全てがコンピュータ上で行われるため足跡が残るということです」と語った。

 カリフォルニア・サラブレッド調教師会(California Thoroughbred Trainers)の代理人である弁護士のカルロ・フィスコ(Carlo Fisco)氏は、他のいくつかの規程に懸念を持っていると語り、行政法局とともに取り組むつもりであることを示唆した。

 サンタアニタパーク競馬場とゴールデンゲートフィールズ競馬場を担当する弁護士リチャード・スペクター(Richard Specter)氏は、エクスチェンジ賭事が本当に本来のパリミューチュエル賭事なのかどうか疑問を呈した。同氏は、競馬場における他のパリミューチュエル賭事とは違って、カリフォルニア州あるいはニュージャージー州の居住者だけがエクスチェンジ賭事を行うことができる点を指摘した。

 なお、 エクスチェンジ賭事に関する規程の全文は、CHRBのホームページ( http://www.chrb.ca.gov/meeting_packages.html )の9月の議題(September meeting package)で閲覧することができる。

By Jack Shinar

[bloodhorse.com 2012年9月20日「Exchange Wagering Rules Approved by CHRB」]


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