ブックメーカー、出走馬の質よりも量が競馬の成功のカギと主張(イギリス)【開催・運営】
ウィリアムヒル社(William Hill)とコーラル社(Coral)はレベルの低いレースでも賭事客の興味を起こさせると述べ、ラドブロークス社(Ladbrokes)と意見が一致した。そして大多数の競馬開催日程において、競争に値する十分な出走頭数を集めることが必要で競馬の質よりも量がより重要であると強調した。
ラドブロークス社の取引担当部長であるマイク・オケイン(Mike O’Kane)氏はレーシングポスト紙に対し、何人かのホースマンが提案するようにレベルの低いレースをなくすことは、競馬における賭事の利益を増進することにはならないと語った。
8月29日付のレーシングポスト紙において、オケイン氏は、「ベッティングショップの賭事客にとっては、レベルの高いレースと下級条件レースの間には何の相違もありません。賭事客には賭事を行うきっかけがなければならず、彼らの心を動かすものは人気馬のオッズや出走頭数であり、レースの質ではありません」と述べた。
ウィリアムヒル社のCEOラルフ・トッピング(Ralph Topping)氏は次のように語った。「払戻額や採算性の面で出走頭数は最も重要です。出走頭数が少ない場合は払戻金が減少します。たとえば、5頭立てのレースからは12頭立て以上のレースの払戻金の3分の1しかもたらしません」。
「堅すぎるレースも、多くの賭事客を惹きつけることはできません。フランケル(Frankel)がオッズ1.5倍で優勝した英2000ギニーは、今年開催された主要レースの中で前年対比の売上げ減少が見られた唯一のレースです」。
「サラリーマンは金遣いには慎重で、回収率を重視します。少頭数のレースには食指が動きません。このような現状においては、競馬界も粛々と他のスポーツのように工夫の努力をしなければなりません」。
競走馬の頭数の減少は、BHA(英国競馬統轄機構)が2012年の競馬開催延べ日数を前年より少なくとも80日少ない1,400日に制限する決定の主な理由となったほか、BHAの統計においてレース全体の40%が7頭立て以下である理由とされた。
しかしトッピング氏は、「私たちは、開催日数の削減はどちらかといえば切れ味の悪い道具のようなものであり、もっと幅広い分析がなされる必要性があると感じています。そして、より多くの賭事データを利用し、賭事実態検討部会(Betting Patterns Working Party: BPWP)を通じて競馬界がブックメーカーと一体となった取組みにより深く関与する必要があると考えています」と語った。
コーラル社のPR担当部長であるサイモン・クレア(Simon Clare)氏はBPWPと一緒に取り組むことの有益性を強調し、オケイン氏のメッセージを支持して次のように語った。「土曜開催の競馬やテレビ中継される競馬は別ですが、それ以外の場合にはレベルの高い馬が出走するレースでは伯仲した競り合いがなくなってしまうため、賭事客たちはむしろレベルの低いの馬同士が争うレースを好みます」。
クレア氏は、オケイン氏がBHAの開催日数削減計画に疑問を呈したことを支持し、次のように付言した。「開催日数削減は2012年の最も大きなギャンブルの1つになるかもしれません。競馬開催日程は競馬を運営し賦課金収入を生み出すための最も安価な手段なので、質の低い80日間の開催を削減することにより賦課金収入減以外のものが生まれるという財政の方程式は聞いたことがありません。少頭数のレースは沢山ありますが、それは競走馬の減少のためなのでしょうか、それとも悪い競馬番組のためでしょうか」。
「競馬界は、開催日程と競馬番組をどのように運営すべきかについて明確に理解していませんが、このことを肯定的に捉えれば私たちにとっては状況を改善するチャンスです」。
By Lee Mottershead
[Racing Post 2011年9月1日「‘Quantity not quality the key to success for racing’-Hills chief」]