ブックメーカーによる会員制賭事業者の相次ぐ買収(アメリカ)【開催・運営】
ジブラルタルを拠点とするブックメーカーで主として欧州の顧客を対象にしているインターネットゲーム運営業者のスタンジェームズ・コム社(StanJames.com)は、米国を拠点としてパリミューチュエル式の会員制賭事(advance-deposit wagering: ADW)を営むレーシング2デー・コム社(Racing2day.com)の株の過半数を買収した。このような買収は、2009年1月以降で3回目である。
このレーシング2デー・コム社の買収は、2009年にベットフェア社(Betfair)がADW業者で競馬チャンネルであるTVG社を5,000万ドル(約50億円)で買収したケースに比べれば小さいものであるが、一つの流れをつくる出来事である。レーシング2デー・コム社は2010年上半期に、同社が免許を取得しているオレゴン州競馬委員会(Oregon Racing Commission)の中継センターを通じて、112万8,418ドル(約1億1,284万円)を売り上げており、一方TVG社は、同時期に3億1,065万7,188ドル(約310億6,572万円)を売り上げた。
海外賭事業者でありゲーミングサイトでもあるベットインターネット・コム社(betinternet.com)を所有するウェビスホールディングス社(Webis Holdings)の子会社は、9月に、ネバダを拠点とするウォッチアンドウェイジャー・コム社(WatchandWager.com)を買収した。
米国の州政府と連邦政府は歳入を必要としており、多くの専門家は、今後多くのインターネット賭事形式が承認されるだろうと確信している。2州が、すでに競馬賭事においてベッティング・エクスチェンジを承認することを検討している。
ベットフェア社と同様、スタンジェームズ・コム社は発走後も賭事を受けつけている。スタンジェームズ・コム社の技術は、同社がインターネット上の競馬およびスポーツ賭事におけるマーケットシェアを拡大する一助となった。ウェブサイトのオッズチェッカー・コム社(Oddschecker.com)によれば、スタンジェームズ・コム社は9月に、ベット365社(Bet365)の16.3%、ベットフェア社の12.7%に続き第3位の9.8%のマーケットシェアを獲得し、競馬およびスポーツ賭事においてラドブロークス社を超えた。
スタンジェームズ・コム社のCEOであるデニス・ケリー(Denis Kelly)氏は、「私たちはレーシング2デー社への重要な投資が完了したことに喜んでいます」と述べた。
同氏は次のように続けた。「レーシング2デー・コム社のチームは、競馬賭事に熱心に取り組んできており、彼らの質の高い賭事商品は、楽しくて使いやすくエキサイティングなパリミューチュエル商品を顧客に提供することで、国際競馬の販売を強化発展させる理想的な機会を私たちに与えてくれます」。
「スタンジェームズ・コム社は英国競馬に大いに投資しますが、同時に私たちはこのエキサイティングな競馬というスポーツに対して世界的に投資をし続けることを確約します。最終的には欧州の顧客を米国の賭事に惹きつけることで、賭事プールの規模を拡大することを目指しています」。
スタンジェームズ・コム社は、パリミューチュエル賭事運営の一環としてレーシング2デー・コム社を運営し続け、欧州の顧客を賭事サイトに誘導することを計画している。ベットフェア社は、オレゴン州の中継センターを通じたパリミューチュエル賭事運営の一環としてTVG社を運営し続ける。
レーシング2デー社は、ヴィンセント・コールドウェル(Vincent Caldwell)氏により創設された。同氏は以前、マン島のブックメーカーで現在はウェビスホールディングス社が所有するベットインターネット社(betinternet)を創業した。同氏は、スタンジェームズ・コム社によって、デラウェア州の法人組織であるレーシング2デー・コム社はさらなる発展が可能になるだろうと次のように述べた。
「私たちはスタンジェームズ・コム社を株主として迎えましたが、彼らには素晴らしい企業価値、事業運営の経験、市場戦略の革新および競馬への情熱があることから、レーシング2デー・コム社にとってはまさに心躍る時期です。スタンジェームズ・コム社が加わったことで、アメリカ国内および世界中の競馬賭事客に対してまったくユニークで独立した賭事サービスを提供し、レーシング2デー・コム社を一層発展させることになるでしょう」。
By Frank Angst
(1ドル=約100円)
[Thoroughbred Times 11月13日 「Bookmaker sites gobbling up pari-mutuel ADWs」]