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海外競馬情報
2010年03月26日  - No.6 - 4

競馬変革プロジェクト、新たな平地・障害シーズンを提案(イギリス)【開催・運営】


 競馬に対する新規顧客への魅力を拡大する提案に関して、(1) 平地および障害の新たなシーズン、(2) 著名人が主催する“調教師チーム対抗”のレーシングナイト、(3)サッカー賭事客を惹きつけるようにタイミングを合わせた土曜日のハンデキャップ競走を盛り込むことが競馬界に求められている。

 BHA(英国競馬統轄機構)のポール・ロイ(Paul Roy)会長は2月23日、「これらの考えは、競馬に新しい活力を与えることを目的とした計画で率直な意見の嵐を巻き起こした競馬変革プロジェクト (Racing For Change: RFC)から出されたものである」と語った。

 平地競走シーズンが3月ではなく5月に開始され、障害競走シーズンが4月からではなく11月に開始されることが検討されている。

 “チーム・ゴスデン(Team Gosden)”や“チーム・クマーニ(Team Cumani)”と仮称されているチームを含む新しい団体別選手権は、競馬界では嫌われる提案のようであるが、新規顧客には好まれるだろう。

 RFCの計画担当理事であるロッド・ストリート(Rod Street)氏は、ロンドンで開催され500人の聴衆が集まった英国競馬会議(British Horseracing Conference)において、「競馬の現在の商品は、分かりにくく的外れで、その提供の仕方から見てもよく“退屈だ”と言われています。遊び心を持ち この素晴らしいスポーツの魅力をどこまで広げられるかを考えましょう」と述べた。

 RFC委員会は、2011年の“プレミア平地競走シーズン”の枠組みを提案した。これは、3月のリンカーン開催ではなく5月のギニー開催から始まり、ストリート氏が“華やかな欧州競馬のフィナーレ”と表現する開催で閉幕を迎える。

 これがアスコット、ニューマーケットあるいは他の競馬場で開催されるかは、まだ決定されていないが、ストリート氏は、短期的にはこの打出しが少なくとも 凱旋門賞(G1)に独占されている欧州競馬のクライマックスを広く拡散できると考えている。同氏は、「焦点は英国競馬に当てられるべきです」と付言した。

 また、英国の障害競走シーズンは、チェルトナム・オープン開催(11月中旬)から始まりチェルトナム・フェスティバル(3月中旬)で終了するが、2011年の障害競走シーズンがどのように確立されるかは発表されなかった。

 調教師および騎手のチーム対抗の選手権イベントは、競馬界内の強い反発にも関わらず試験的に開催されるだろう。夏期の金曜夜間開催はこのイベントを盛り 上げるために最善の手段を提供するが、ストリート氏は、「どのようにしてクマーニ調教師の管理馬を6頭も準備することができるでしょうか?これはおそらく より少ない出走頭数となり、よりレーティングの低い馬が集まることになるでしょう。“金は力なり”で、私たちはこれをやり通すために著名人を必要としてい ます」と語った。

 「チーム対抗競走のアイデアについては、競馬関係者の多くが多忙な競馬スケジュールの中でそのコンセプトがどのように機能するかイメージするのに四苦八 苦したために、彼らからは十分な評価を得られませんでしたが、顧客はこれを非常に好みました。顧客たちはそのコンセプトを十分に理解し、短期間で結果の出 るシリーズという発想を歓迎しました」。

 RFCの賭事開発担当理事であるナイジェル・ロディス(Nigel Roddis)氏は、ブランド名のついたハンデキャップ競走を毎週土曜日にサッカーと同じ時間帯で施行することについて、ブックメーカーと徹底的に議論した。

 ストリート氏は、「ベッティングショップの壁面へ関心を集めること、特定の賭事に焦点を当てること、サッカーの賭事客が10ポンド(約1,700円)紙幣を使うようなことが必要です。競馬はもはや賭事客にとっては最優先の賭事ではありません」と語った。

 ストリート氏の演説の前にロイ会長は、RFCの支持者たちは競馬のレベルを下げるつもりであると糾弾した。

 G1競走を週日の真ん中から土曜日に移行させることは野心的であるが、この構想には反対意見があり、ロイ会長自身も「競馬の基盤を壊すような方法は絶対に採用できません」と述べた。

 同会長は、「壊れてもいないものを修理する方法などありえません。私たちがすることは、私たちが現在有している最も貴重な物以上のものを作り出すことです」と付言した。

 凝り固まった考え方は今もなお、10進法オッズと一週間の入場料無料日を含むRFCの野心的なプログラムを頓挫させる脅威となっている。

 ストリート氏は、200年の歴史の変更に同意を得ようとすることは、深い藪をかき分けていくような相当の苦労を要するものであると述べた。

 同氏は次のように付言した。「協議期間のあいだ、複数の会合において、ダービーを水曜開催から土曜開催への移行させることについてテーブルを叩く怒りのやりとりもありました」。

 「15年前になされたダービーの日程変更に現在でもなお不満を言っている人がいるのを考えれば、変更を来年行うことを話し合うのが無謀な挑戦であることが想像できるでしょう」。

 RFCの計画は馬主、調教師、騎手、厩務員、生産者からなるホースメングループ(Horsemen’s Group)と競馬場協会(Racecourse Association)の間の横断的団体レーシング・エンタープライズ社(Racing Enterprises Ltd.: REL)により統率されている。

 RELは競馬が販売促進される方法を抜本的に再評価することを目標としている。


カワード氏、週末開催日程の質向上を優先視

 英国競馬会議において概説された提案が結実すれば、週末の開催日程は、2011年にはより多くの観客を惹きつけることを狙ってさらなる質の向上が図られるだろう。

 「2010年は、出来る限り良い状態の2011年の開催日程を得ることがすべてである」と述べていたBHAのCEOであるニック・カワード(Nic Coward)氏は、この計画では、 “はっきりとブランドの付いたプレミア開催”が土曜日に2つ、金曜日と日曜日にそれぞれ1つずつが開催されることを明らかにした。これらのプレミア開催は “高額の賞金と地上波での中継を行う質の高い競走”を含むだろう。

 カワード氏は、この提案はBHAの2008年開催日程の戦略的見直しと、RFCおよび賦課公社(Levy Board)の見直し過程を一緒にするだろうと述べた。同氏は、「競馬は、日程リストと競走番組、そしてそれを支える財政体系に別々に取り組まなければな りません。競馬は変わらなければなりません」と述べた。

 カワード氏は2011年を“開催日程と競走にメリハリをつける年”と表現した。

 しかし、開催日数の総数は2011年には大幅に異なるものになるように思われない。

 カワード氏は、「変更は開催日程リスト全体において実行される必要があります。私たちはホースマンのほか、競馬に4億5000万ポンド(約765億円) 以上を拠出する人々、および競馬場の間で交渉された、開催日程と競馬番組を吟味する取組みを推し進めてきました」と語った。

 賭事分野においては、過去に廃止となったモデルイベントと同様の“ブランド名の付いた賭事レース”を毎日提供するための試案が話し合われた。

 カワード氏は、「私たちは、払戻金が高額であるときには、促進されるべき賭事関連の競馬商品について異なる方針をとります。したがって、例えば今夏の ワールドカップの際に、英国や他国のチームの注目カードの機会を最大限活用する形で追加レースを開催するでしょう」と語った。

 

By Tony Smurthwaite

(関連記事)海外競馬情報2009年No.18「競馬変革委員会、平地・障害の選手権を企画(イギリス) 」


[Racing Post 2010年2月24日「New Flat and jumps championships in radical proposals」]


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