ロイヤルアスコット開催、海外からの出走に積極的(イギリス)【開催・運営】
2010年のロイヤルアスコット開催は、世界各地から示されている強い関心が当てにできるものであれば、史上最も国際的なものになるかもしれない。
アスコット競馬場の広報部長ニック・スミス(Nick Smith)氏は、ロイヤルアスコット開催への出走馬を確保するために毎年行っている世界一周旅行を終えたところである。バークシャー州にある同競馬場 は、英国の主要な夏開催を最大化することを目指してニューマーケット競馬場とヨーク競馬場と一緒に取り組んでいる。
BCクラシックの勝馬ゼニヤッタ(Zenyatta)の出走は大穴と見なされているが、このアメリカのスーパースター牝馬は、今や常連となった豪州の短距離馬の一団とさらには極東のトップ馬を含む勧誘希望リストの最上位にある。
2009年のロイヤルアスコット開催では、米国のウェスレー・ウォード(Wesley Ward)調教師が管理するストライクザゴールド(Strike The Gold)とジェラスアゲイン(Jealous Again)が勝利を挙げたことから、ゼニヤッタ以外の米国馬が何頭か出走する可能性があるとスミス氏は報告した。
スミス氏は、「本当に元気づけられたのは、非常に多くの馬主と調教師が現在、自身の計画を検討する際に海外に目を向けていることです」と述べた。
同氏は次のように語った。「これはとりわけ豪州での傾向ですが、ワード調教師の成功が他の人々にチャンスがあることを喧伝したことにより、米国においてもその傾向が強まってきました」。
「結果がどうなるかについては現実的にならなければなりませんが、私たちは、先ずゼニヤッタを勧誘希望の最上位としており、馬主ジェリー・モス (Jerry Moss)氏、ジョン・シレッフス(John Shirreffs)調教師およびマイク・スミス(Mike Smith)騎手と話合いを開始しました」。
「米国からの出走の可能性のある馬のなかにはアイルランド出身のカール・オキャラハン(Carl O’Callaghan)調教師が管理するトップ短距離馬キンセールキング(Kinsale King)を初めとする興味深い馬が数頭います。そして、ケン・マクピーク(Ken McPeek)調教師、ウェスレー・ワード調教師およびリンダ・ライス(Linda Rice)調教師も英国遠征という冒険に向けて検討しています」。
キンセールキングはドバイに遠征することを予定しており、また2004年キングジョージ(G1)で2着となったハードバック(Hard Buck)を管理したマクピーク調教師は、BCジュヴェナイル(G1)で3着だったノーブルズプロミス(Noble’s Promise)を英国に遠征させることを考慮している。
豪州に注目してみれば、過去7年間においてライトニングS(G1)勝馬の4頭が、キングズスタンドS(G1)で優勝している[2004年ショワジール (Choisir)、2006年テイクオーバーターゲット(Take Over Target)、2007年ミスアンドレッティ(Miss Andretti)および2009年シーニックブラスト(Scenic Blast)]。そして1月30日に今年のライトニングSを優勝したニッコーニ(Nicconi)も英国遠征をターゲットにしている。
スミス氏は、「豪州は近年、素晴らしい勧誘相手であり、勝ち負けは別にして、私たちは6月のロイヤルアスコット開催において、またおそらく7月のジュラ イカップ(G1)において、ニッコーニとパティナッククラシック(G1)勝馬のオールサイレント(All Silent)を見ることができるでしょう。そしてピーター・ムーディー(Peter Moody)調教師も、タイフーントレイシー(Typhoon Tracy)を初め多くの遠征有力馬を管理しています」と語った。
同氏は次のように付言した。「さらに、シンガポールのロケットマン(Rocket Man)、12月の香港国際スプリント(G1)の上位を占めた香港の短距離馬などアジアの候補馬がいます。また有馬記念(G1)を制したドリームジャー ニーもキングジョージ(G1)への候補馬になり得ます」。
ドリームジャーニーは2010年シーズンを2月21日の京都記念(G2)から開始しようとしている。また、そのキャリアにおいて一度しか敗れたことのないロケットマンはシンガポールのクランジ競馬場での勝利の後の故障からすでに復帰している。
By Nicholas Godfrey
[Racing Post 2010年2月18日「Royal Ascot casts its net wide for overseas entries」]