英国ブックメーカー協会、欠陥のある賦課金制度の廃止を政府に要求(イギリス)【開催・運営】
英国ブックメーカー協会(Association of British Bookmakers: ABB)は9月16日、レーシングユナイテッド(Racing United)が新たに行った賦課金制度からの一層公正な拠出の要求を却下し、政府に制度自体を廃止するよう要求した。
英国の賭事運営業者の主要な業界団体であるABBのCEOパトリック・ニクソン(Patrick Nixon)氏は、賦課金制度には“欠陥があり”、“商業を動かせるものではない”と表現し、代替案についての議論が始められるように政府は賦課金制度を 廃止する日程を定めるべきであると語った。そしてその議論は、賭事産業、競馬場およびホースメングループ(Horsemen’s Group)で行われるべきであると述べた。
賦課金からの財源減少のため、BHA(英国競馬統轄機構)は新しい提案を行ったが、ニクソン氏は、BHAの賦課金収入が2008年の1億1,500万ポ ンド(約161億円)から2010年の7,500万ポンド(約105億円)へ減少したという大見出しを飾った主張に反駁した。
ニクソン氏は、「BHAは賦課金収入の減少について不誠実な説明をしており、無意味です。1億1,500万ポンド(約161億円)から7,500万ポン ド(約105億円)に減少したのは事実ですが、それは2008年はラドブロークス社(Ladbrokes)が大口馬券購入者から巨額の賭事収入を得たため であり、これは従来の賦課金収入ではありませんでした」と述べた。
同氏は、ブックメーカーが賦課金支払いを免れるために事業の一部を海外に移転させたという主張にも反駁した。その批判は“人の気をそらすための目くらま し”であるとし、「2010年に事業を海外に移した企業もありますが、賦課金はその決定に無関係です。これはすべて財政システム自体のコストなのです」と ニクソン氏は語った。
「賭事産業は、競馬を運営する事業そのものには関わっていません。私たちは一流の世界クラスの競馬およびあらゆるレベルの競馬を欲していますが、そのた めにはより良いやり方を見つける必要があります。私たちは政府に賦課金を撤廃するスケジュールを尋ねており、その答えを得られれば話し合いに応じることが できます」。
「私たちは、競馬との適切な商業関係を望んでいます。競馬界の経済は競馬場協会(Racecourse Association)とホースメングループが動かしており、話し合いはそこでなされるべきです。賦課金制度は商業を動かせるものではなく、今後もけっ してそうなることはないでしょう。この制度には欠陥があります」。
ウィリアムヒル社(William Hill)のCEOであるラルフ・トッピング(Ralph Topping)氏は、ニクソン氏の見解に同調し、さらに強い語調で次のように付け足した。「正常な事業活動においては、プロセスが時代遅れでもはや何も 生み出さないとされたときには、権限のある者がそれを正すために迅速に動かなければなりません」。
「事なかれ主義の態度ではなく進化こそが、沈み行くものと生き残って利害関係者のために事業を実行し続けるものとの違いを決定付ける行動です。競馬を構成 する主体は分裂しており、国からの助成を当てにしています。賦課金制度が、他の業界の直面している同じ商業的な現実の制度に取って代わられるまで、危機は 続くでしょう」。
ベットフェア社(Betfair)のスポークスマンは、ベッティング・エクスチェンジの賦課金支払いの変更の必要性について異議を唱え、「ベットフェア 社は、他の英国のブックメーカーとまったく同じ方法で賦課金を全額支払っています。以前の見直しでは、他のブックメーカーやその賭事客と違った方法でベッ ティング・エクスチェンジやその賭事客を扱うことはないと結論付けられていたはずです」と語った。
By James Burn
(1ポンド=約140円)
[Racing Post 2010年9月17日「ABB calls for government to abolish ‘flawed’ system」