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2010年10月08日  - No.19 - 3

ケンタッキー州馬薬物調査委員会、調教中薬物検査の罰則に合意(アメリカ)【獣医・診療】


 8日間のうちに3度の会合を要したが、ケンタッキー州馬薬物調査委員 会(Kentucky’ s Equine Drug Research Council: KEDRC)は9月2日、調教中薬物検査で陽性反応を示した馬の関係者への5年ないし10年の業務停止処分を勧告することに合意した。

 ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission: KHRC)に対し馬の薬物方針についての勧告を行うために設立されたKEDRCは、9月2日にルイビルで開催されるKHRCの会合においてこの罰則を承認 するだろう。この罰則は、KHRCの運営委員会が可決した5年ないし10年の業務停止処分と一致する。

 9月2日のKEDRCの会合は、8月31日にKEDRCとKHRCの運営委員会との合同会議がまとまらなかったことを受けて招集された。この8月31日 の会合において、KHRCの運営委員会の代表は2名とも5年ないし10年の業務停止処分に賛成したが、KEDRCメンバーは出席していた8名のうちたった 4名しか賛成しなかった。残りの4名は、最低で10年の業務停止処分を支持した。

 KHRCのメンバーであるデーモン・セイヤー(Damon Thayer 共和党−ジョージタウン選出)上院議員は、KEDRCの8月26日の会合において提案の業務停止期間を最低10年に修正するよう働きかけた が、その提案は4対3で否決された。KHRCではこの後、当初8月26日に提唱されていた1年ないし10年の業務停止処分の勧告を厳格化し、業務停止期間 を5年ないし10年にする勧告が検討され、6対1で可決された。

 セイヤー議員は、ニュージャージー、インディアナ、デラウェアおよびオンタリオの各州が10年の罰則を適用していることを指摘し、罰則を厳格化すること を支持した。同議員は、競馬ルールに一貫性を持たせることを目標とした州間協定にケンタッキー州を加入させるよう取り組んでいる。そして、ケンタッキー州 は他州よりも寛容だと見られるような罰則を適用するべきではないと考えている。

 セイヤー議員は、調教中薬物検査の最終勧告の大半に同意したが、罰則に関する意見の相違により最終勧告に反対した。

 KHRCで議長を務めるジェリー・ヨン(Jerry Yon)氏は、運営委員会もまたこの5年ないし10年の罰則を勧告すると確信している。KHRC全体はその後、調教中薬物検査の罰則とルールの詳細について検討するだろう。

 ヨン氏は、ブリーダーズカップの調教中薬物検査の基準と一致させることはいささか緊急を要する事柄であるが、KHRCはこのことについて1年以上会議を重ねてきたと語った。ブリーダーズカップは、この秋ケンタッキー州のチャーチルダウンズ競馬場で開催される。

 ヨン氏は当初、最低10年の罰則を支持していたが、5年ないし10年の罰則には裁判所が通常好む柔軟性の余地があるとして、最終勧告に満足している。

 調教中薬物検査で陽性反応が示された場合の罰則は通常は厳しいものである。なぜなら調教中薬物検査で対象とする薬物は、血液ドーピング、ヒト成長ホルモ ンおよびエリスロポエチン(erythropoietin: EPO)のように、競走能力に影響を与えるものの競走後薬物検査では検出しにくいからである。

 

By Frank Angst


[thoroughbredtimes.com 2010年9月2日「Drug council reaches consensus on out-of-competition penalty」]


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