競馬以外の賭事収入から競馬賞金への拠出額が約3割に拡大(アメリカ)【開催・運営】
新たに発表された調査報告書によれば、競馬以外の賭事からの収入は現 在、米国におけるサラブレッド競馬の賞金額全体のほぼ3分の1を占めるに至っている。また馬券売上げが全体的に減少しているにもかかわらず、馬券売上げか ら賞金として拠出される割合は一定に保たれている。
サラブレッド競馬場協会(Thoroughbred Racing Associations: TRA)により5月27日に発表された調査は、この種の調査では初めて競馬団体により行われたものである。調査における馬券売上げと賞金に関する情報は、 エクイベース社(Equibase)とカリフォルニア州競馬情報マネージメントシステムズ社(California Horse Racing Information Management Systems)により提供された。
スロットマシン、ポーカー、テーブルゲーム、カードゲームからの収入、そしてカジノからの直接的な助成金など競馬以外からの収入は2009年、総額10 億9,800万ドル(約1,098億円)に上る米国競馬の賞金の29.01%を占めた。1993年に行われたTRAの初年度の調査においては、0.08% しか占めていなかった。
競馬場でのゲーム運営が米国で劇的に拡大したのは、1990年代終わりから2000年代初めにかけてであった。ゲーミング賭事売上げのうち競馬賞金に拠 出された額は、1994年から毎年増加しており、TRAの報告によれば2009年には3億1,858万638ドル(約318億5,806万円)に上った。
1993年には馬券売上げの7.2%が賞金額に拠出され、その数字は1995年に7.26%の頂点に達したが、その後の横這いないし減少により、電話投 票賭事(advance deposit wagering)が根付きはじめた頃の2003年には5.97%まで低下した。
2003年に馬券の総売上げは151億8,000万ドル(約1兆5,180億円)に達したが、2009年には1996年以来最も少ない123億 2,000万ドル(約1兆2,320億円)となった。一方馬券売上げから賞金に拠出される割合は、1996年に6.62%であったのに対して2009年は 6.33%であったとTRAは報告している。
また、全体の控除率20%のうち2009年には約13.6%分が州税および競馬場と馬券発売所に拠出され、その一部が競馬産業のプログラムと規制を支えている。
TRAの調査報告によれば、馬券売上げから賞金への拠出金の最高水準は、その額が9億4,637万1,178ドル(約946億3,712万円 全体の 6.53%)となった2001年に達成された。この年の米国競馬の馬券売上げ全体は146億ドル(約1兆4,600億円)であった。
エクイベース社によって発表されたサラブレッド競馬経済指標によれば、2010年1月から4月までに米国競馬を対象とした馬券売上げは全体で37億 8,000万ドル(約3,780億円)であり、前年同期比で8.4%減少している。同時期の米国競馬の賞金は7.33%低下した。
サラブレッド競馬場協会の調査 | |||
年 | 米国の馬券売上げ | 賞金への拠出額 |
競馬以外の賭事から 賞金への拠出額 |
1993 |
96億ドル (約9,600億円) |
6億9,150万ドル (約691億5,000万円) |
52万9,000ドル (約5,290万円) |
2001 |
146億ドル (約1兆4,600億円) |
9億4,640万ドル (約946億4,000万円) |
1億2,110万ドル (約121億1,000万円) |
2006 |
148億ドル (約1兆4,800億円) |
9億1220万ドル (約912億2,000万円) |
2億810万ドル (約281億1,000万円) |
2009 |
123億ドル (約1兆2,300億円) |
7億7,960万ドル (約779億6,000万円) |
3億1,860万ドル (約318億6,000万円) |
By Tom LaMarra
(1ドル=約100円)
[The Blood-Horse 2010年6月15日「Study Shows Growing Impact of Gaming on Purses」