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2009年09月18日  - No.18 - 3

2010年の強気の開催日数は将来も維持できるか?(イギリス)【開催・運営】


 競馬番組編成の担当者は、経済不況をものともせず、2010年の競馬 開催日数を1503日とすると発表した。これは2009年の開催予定日数より13日多く、2008年に記録した最多開催日数より1日少ないだけである。賦 課金収入が減少している状況でこの水準が将来も維持できるか疑問である。

 障害競走は最多記録となる590日、日曜開催も最多記録となる153日、そしてドンカスター競馬場(イングランド北部)などいくつかの競馬場の開催日数は、これまでにない多くの日数となる予定である。

 しかしながら、英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)の競走担当理事であるルース・クイン(Ruth Quinn)氏は7月22日、同日に発表された競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)の補助金削減をうけて、このように多くの開催日数が将来も維持できるか疑問であるとした。

 しかし、2010年の開催日数を削減する動きはなく、それどころか過去の経済不況では競馬への影響は概して時間的なズレを伴って生じており、2008年にBHAが開催日程の戦略的見直しにより勧告した方針については継続するという意見が大勢を占めたようだ。

 2010年に増加する開催日数13日のうち、(1) 10日は夏場の需要を満たすために8月の夜間開催、(2) マッセルバラ競馬場(エディンバラ近郊)の1月1日開催、(3) トウスター競馬場の5月の祝日開催、そして(4) 残りの1日はスコットランドのウィリアム1世によるパース市制勅許800周年記念の一環としてパース競馬場の土曜開催に割り当てられる。

 クイン氏は、競馬のブランド再建に関する方針が決定され、またブックメーカーに対する賦課金(それを財源として競馬界に補助金が交付される)の額が確定したあと、おそらく2011年には開催日数の削減を含むなんらかの変更が行われるだろうと述べた。

 同氏は次のように語った。「過去の経済不況を徹底的に調べたところ、競馬界がその影響を実感するまでいつも時間のズレがあることが明らかになりました。 それゆえ、2010年の開催日数に関する限り、しばらく模様眺めを続けることが決定されました。その一方で弱点のある開催に対する振興策も続けるつもりで す」。

 「競走馬の総頭数が2008年に比べて2%減りましたが、レースへの出走意欲は強く、競走の機会(開催日数)は不足しています。このことは、2009年 前半に6500頭以上の出走除外があった事実により裏づけられます。英国競馬の質に対する評価は、今だかつてないほど高いのです」。

 開催日程の最終配分手続を終え、7月末に退職する予定の競馬場協会(Racecourse Association)の番組企画理事カーラ・ムーア(Carla Moore)氏は、2010年の開催日数の増加は賭事客の要望を考慮したものであると述べた。

 同氏は、「パースの特別イベント開催、追加の祝日開催、8月の夜間開催はいずれも、来場者数予測に基づくもので、競馬場も希望しています。開催日数を増やした競馬場は成功を収めると確信しています」と語った。

 アリーナレジャー社(Arena Leisure)の競馬担当部長イアン・レントン(Ian Renton)氏は次のように語った。「追加される夏の夜間開催と祝日開催は、競馬場にとって顧客に余暇が十分ある時期・時間帯であり競馬を施行するチャンスです」。

 「それらはまた、ベッティングショップの開店時間に開催されます。競馬界は賦課金収入の減少に歯止めをかけるためにブックメーカーとより緊密に協力し取組む努力をしようとしていますので、このことはとても重要なことです」。

 レントン氏はまた、平地競走の冬場の夜間開催を維持することを支持した。

 しかしながら、平地競走の冬場の夜間開催はBHAによる精査を受けている最中である。クイン氏は、「冬場の夜間開催を週4日から週3日に削減したことに より、出走頭数、来場者数、馬券売上げなどの指標が少し改善しましたが、BHAの理事会はまだ大いに懸念しています。競馬場は開催日数を維持したいなら経 営内容を改善しなければなりません」と語った。

 同氏は、「閉場されたグレートリーズ競馬場の夜間開催は他の競馬場に移して、9月中旬から年末までトワイライト開催(午後4時ごろから開始)として試行的に施行し、賭事利益を生むことが証明できれば、2010年に正式に変更されることになります」と述べた。

 

1986−2009年競馬開催日程予定
平地競走 障害競走 合計 夜間開催 日曜開催
1986 474 515 989 92 -
1987 488 524 1012 123 -
1988 492 525 1017 127 -
1989 502 535 1037 131 -
1990 577 562 1139 125 -
1991 577 565 1142 136 -
1992 583 554 1137 140 -
1993 596 554 1150 138 -
1994 623 530 1153 170 -
1995 643 533 1176 219 24
1996 641 533 1174 191 30
1997 645 532 1177 176 36
1998 666 525 1191 179 36
1999 675 528 1203 181 36
2000 682 527 1209 162 62
2001 688 525 1213 162 61
2002 695 527 1222 163 60
2003 726 544 1270 175 70
2004 804 537 1341 223 132
2005 814 535 1349 221 129
2006 845 546 1391 229 139
2007 871 544 1415 287 144
2008 948 556 1504 372 148
2009 919 571 1490 357 151
2010 913 590 1503 369 153
平地・障害混合開催を含む
全天候型馬場の日 程は1989年に導入された。全天候型馬場での障害競走は1989年11月1日から1994年2月24日に開催された。ケンプトン競馬場は2006年6月 25日に全天候型馬場を再度オープンした。グレートリーズ競馬場は2006年の開催日程リストに加わったが、2008年4月20日まで初回開催を施行する ことはなく、2009年1月16日に閉場した。

 ケンプトン競馬場を所有するジョッキークラブ競馬場社(Jockey Club Racecourses)の競走担当理事ジョン・スミー(John Smee)氏は冬場の平地競走開催を擁護し、また賭事産業は夜間開催よりトワイライト開催を支持しているが競馬場の意見は逆であることを容認することを望 んでいると述べた。

 同氏は、「夜間開催は収益の増加に繋がるというのが、ブックメーカーの従来の意見でした。何らかの代償を払うことによりブックメーカーと賦課公社がそれを支持してくれること望んできました。トワイライト開催の試行的な施行はおそらく支持されるでしょう」と付言した。

 


[Racing Post 2009年7月23日「Unsustainable?」]


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