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2008年03月07日  - No.5 - 2

2007年度、馬主と在厩馬は増加し賞金は減少(イギリス)【開催・運営】


 馬主たちは2007年度、総額9,868万ポンド(約236億8,000万円)の賞金を得た。この賞金総額は、競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)からの拠出額が14%近く削減されたことにより、2006年度の1億400万ポンド(約249億6,000万円)を5.2%下回った。

 しかし、馬主関連のデータでは、馬主数が2006年より2.4%増加して9,551人となり、調教馬の数が2006年より4%増加し1万5,406頭となり、新記録となった。

 英国競馬統括機構(British Horseracing Authority:BHA)の専務理事ニック・カワード(Nic Coward)氏は、これらの数字を“大変素晴らしい”と言い表し、この先にも多くの難題があることを付言しながらも、これらの数字は“競馬は健全であること”を反映していると述べた。

 カワード氏は、最近のレーシングポスト紙宛の書簡において、馬主が賞金を重視していることには直接に言及せず、「賞金は馬主だけに意味があるのではな く、厩務員、騎手、調教師が生計を立てるために重要です。賞金は競馬を最良のものにするための多くの要素の1つです」と述べた。

 「競馬の将来のために必要不可欠な要素は賭事産業からの資金の還元です。なぜなら、このところ賦課公社からの賞金補助金が大きく落ち込んでいるからです」。

 「これは、我々が賭事産業へ要求している2008年度の賦課金額1億3,500万ポンド〜1億5,300万ポンド(約324億円〜367億2,000万円)の重要な側面の1つです」。

 賭事産業への賦課金が減少したため、賦課公社は2007年の賞金補助金を削減するに至った。そして年末決算では、補助金額は2006年と比較して約867万ポンド(約20億8,080万円)の大幅な減少となった。

 しかし、競馬場の自己負担金額が18.6%増の2,300万ポンド(約55億2,000万円)増加したことと、スポンサーを説得してスポンサー料の総額を維持することができたことによって、競馬場は賞金の落ち込みを最小限に止めることができた。

 さらに、新しい開催日程入札プロセスにおける競馬場の競争努力に報いるため、BHAは振興資金を2倍以上の約146万ポンド(約3億5,040万円)に増額した。

 馬主たちは100万ポンド(2億4,000万円)以上の登録料を余計に支払ったため、結果として、賞金総額の減少幅は540万ポンド(約12億9,600万円)弱(5.16%減)に収まった。

 競馬場協会(Racecourse Association)のデーヴィッド・ソープ(David Thorpe)会長は、2007年度は予期しない開催中止により財政的に大変な年になりましたが、メンバー競馬場は“とてつもない”努力をしてこれに対応したと語った。

 同会長は、「競馬場の自己負担の増加は、競馬場が賞金について真剣に考えていることを示し、また2007年度の賞金レベルを維持するためにきちんと対策を講じたことを示しています」と述べた。

 イギリス馬主協会(Racehorse Owners Association)の専務理事マイケル・ハリス(Michael Harris)氏は、競馬場が悪化しかねなかった状況を乗り越えただけでなく、自己負担額を増やしたことを称賛した。

 ハリス氏は、次のように述べた。「大半の競馬場が賦課公社の賞金補助額削減からくる影響を補うため努力したことは明らかです。2006年度と比較して、 59競馬場のうちわずか15競馬場だけが自己負担額およびスポンサー収入を減少させました。これは一部の例外にすぎません」。

 しかし、同氏はさらなる数百万ポンドの負担増を懸念し、「馬主協会は、2008年度以上に負担額が増えることはおそらく承知しないでしょう」と述べた。

By Howard Wright
(1ポンド=約240円)

[Racing Post 2008年2月4日「Record number of owners chase less prize-money」]


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