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2008年12月05日  - No.23 - 2

ケンタッキー州の繋養種牡馬の種付料は現状維持ないし下落(アメリカ)【生産】


 ケンタッキーの主要な種馬場における2009年の種付料の一般的傾向は、2008年の1歳馬セールで見られた価格の傾向と同様に、現状維持、ないしは下落である。

 近年レキシントンの主要な牧場で種付料を現状維持ないし値下げしているのは、ヒルンデール牧場(Hill ‘N’ Dale)である。同牧場は2009年の種付料を、繋養している約半数の種牡馬については引下げ、その他の種牡馬のほとんどについては2008年と同額に据え置く。ストーミーアトランティック(Stormy Atlantic)は種付料を据え置く馬の1頭で、2009年の種付料は4万5000ドル(約495万円)である。

 牧場主のジョン・シクラ(John Sikura)氏は、「2006年2歳リーディングサイアーのストーミーアトランティックは、2008年は14頭のステークス勝馬を出し、これらの馬が合計23のステークス競走を勝ちました。ストーミーアトランティックは良い結果を出しているので2009年の種付料を上げることも出来ますが、2009年も 4万5000ドルに据え置くことに決めました」と述べた。

 種付料が引き下げられる種牡馬とその種付料は次のとおりである。エルコレドール(El Corredor)は2万5000ドル(約275万円)、グランドリワード(Grand Reward)は8500ドル(約93万5000円)、ムタクディム(Mutakddim)は1万2500ドル(約137万5000円)、ローマンルー ラー(Roman Ruler)は2万ドル(約220万円)、シーキングザベスト(Seeking the Best)は6500ドル(約71万5000円)、シェイクスピア(Shakespeare)は1万5000ドル(約165万円)、シアトリカル(Theatrical)は3万5000ドル(約385万円)。ちなみに、2008年の種付料が非公開であったシーキングザダイア(Seeking the Dia)の2009年の種付料は1万ドル(約110万円)程度の見込みである。

 ヒルンデール牧場では、新たに2頭の種牡馬が繋養される。スプリントチャンピオン馬で、BCスプリントを2度制したミッドナイトルート(Midnight Lute)の種付料は2万ドル(約220万円)で、G2優勝馬ハーリントン[Harlington: 父アンブライドルド(Unbridled)]の種付料は1万ドル(約110万円)である。

 同じくレキシントンにあるハムダン殿下(Sheikh Hamdan al-Maktoum)所有のシャドウェル牧場(Shadwell Farm)は、すべての種牡馬の種付料を引き下げた。種牡馬2年目で2006年の年度代表馬インヴァソール(Invasor)の種付料は3万5000ドル(約385万円)から2万8000ドル(約308万円)に下げられる。その他、ダーハー(Daaher)は1万6000ドル(約176万円)、デイジュール(Dayjur)は4000ドル(約44万円)、ドゥマーニ(Dumaani)は2000ドル(約22万円)、インティダブ(Intidab)は4000ドル(約44万円)、ジャジル(Jazil)は1万ドル(約110万円)、ケイラワン(Kayrawan)は2000ドル(約22万円)、ムスタンファー(Mustanfar)は2400ドル(約26万4000円)、スウェイン(Swain)は4000ドル(約44万円)にそれぞれ引き下げられる。

 同牧場のアルジャブル(Aljabr)はカナダのオンタリオ州にあるアスコット牧場(Ascot Stud)に移され、種付料は2008年の5000ドル(約55万円)から3500ドル(約38万5000円)に下げられる。

 同じくレキシントンにあるスペンドスリフト牧場(Spendthrif Farm)は、繋養している種牡馬の種付料を2008年と同額に据え置く。B. ウェイン・ヒューズ牧場(B. Wayne Hughes's Farm)もまた、以下の新種牡馬3頭を迎えて同牧場における2009年の種付頭数はほぼ倍増するだろう。種付料は、G2馬のティズワンダフル[Tiz Wonderful: 父ティズナウ(Tiznow)]は1万2500ドル(約137万5000円)、複数のグレード競走勝馬のノショナル[Notional: 父インエクセス(In Excess)]は1万ドル(約110万円)、そしてG1馬イントゥーミスチーフ[Into Mischief: 父ハーランズホリデー(Harlan's Holiday)12月26日のマリブーSを最後に引退予定]は1万2500ドル(約137万5000円)である。

 クールモア牧場(Coolmore Stud)は2009年、BCクラシック2着のヘンリーザナヴィゲーター(Henrythenavigator)をケンタッキーで繋養している種牡馬に加える。世界的なサラブレッド生産の複合企業体であるクールモア牧場は、まだ同馬の種付料を設定していない。しかし、このキングマンボ(Kingmanbo)を父とする種牡馬を本拠地のアイルランドのクールモア牧場よりも、ケンタッキーのアシュフォード牧場(Ashford)で種牡馬としてデビューさせようとする動きは、BCクラシックで2着に入線したサンタアニタ競馬場での素晴らしい成績がアメリカの生産者を惹きつけるだろうという自信の現れである。

 ヘンリーザナヴィゲーターは2008年、イギリスおよびアイルランドの2000ギニー競走に優勝した他、2つのG1競走(サセックスSとセントジェームズパレスS)を制した。結局、新馬戦に圧勝し、重賞競走で5勝、入着4回、5着1回という素晴らしい成績を挙げ、通算11戦6勝で獲得賞金275万538 ドル(約3億255万9180円)で引退する。

 ヘンリーザナヴィゲーターは、母馬がアイルランドの最優秀2歳牝馬であったセコイヤ[Sequoyah 父サドラーズウェルズ(Sadler’ Wells)]であり、2006年にアイルランド1000ギニーを制したクイーンクレオパトラ(Queen Cleopatra)は全姉である。

 2008年にケンタッキーのミレミアム牧場で繋養されていたリトルエクスペクテーションズ(Littleexpectations)は、2009年にロバート・マクドウェル(Robert McDowell)氏が所有するルイジアナ州アルカディアにある519頭のサラブレッドを有する牧場に移動するだろう。同馬は種付料2500ドル(約27万5000円)で繋養される。同馬は、ヴァリッドエクスペクテーションズ(Valid Expectations)の全弟であり、キングオブザロキシー(King of the Roxy)とヒズボーイワンダー(He’s Boy Wonder)の父馬である。

2001-07北米平均種付料
平均種付料 対前年比
2001 13531ドル(約149万円)  
2002 15028ドル(約165万円) 11.1%
2003 16258ドル(約179万円) 8.3%
2004 14710ドル(約162万円) −9.5%
2005 15189ドル(約167万円) 3.3%
2006 16714ドル(約184万円) 10.0%
2007 18378ドル(約202万円) 10.0%

By Glenye Cain Oakford
(1ドル=約110円)

[Racing Daily Form 2008年10月31日「Stud fees at top farms flat or dipping」]


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