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海外競馬情報
2008年09月19日  - No.18 - 4

BHA、レーティングにより低質馬を排除する計画(続報)(イギリス)【開催・運営】


 2008年2月4日、英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)は、2009年からレーティングの低い競走馬の排除を検討していることを明らかにしていたが、この度その計画の内容が決定された。それによれば、2009年の芝平地シーズンからイギリスで調教されている競走馬のうち800頭の出走機会は目立って減少することになるだろう。

 イギリス競馬の質を向上させようとするBHAの方針の一環として、レーティング45以下の馬を対象とする競走(ハンデキャップレースを除く)は、レーティング46〜50の馬のハンデキャップレースに変更される。しかし、レーティング45以下の馬も引き続き出走資格を得られる。すなわち、レーティングが45以下の馬の出走機会が減少する分、レーティングが46〜50の馬は、2009年3月から80〜90レースに追加の出走機会を得るだろう。

 この動きは、ホース・レーシング・アイルランド(Horse Racing Ireland: HRI: 競馬統括機関)が、平地競走ではレーティング44以下の馬を、また障害競走ではレーティング78以下の馬を競走から排除する措置を発表したのと同時期になされた。

 平地競走のレーティングが付けられているイギリス調教馬はおよそ6800頭であり、そのうち20%にあたる800頭がレーティング45以下である。

 BHAの競走担当理事ルース・クイン(Ruth Quinn)氏は8月26日、次のように語った。「開催日程の戦略的見直しの勧告の1つは、レーティング40以下の馬を競走から排除することです。このことは、開催日程を見直す過程で競馬産業のあらゆるグループにより十分議論された事柄で、大多数が支持しました。私たちは競馬産業のすべての領域において水準向上に努めています。この勧告はその方針の一環です。しかし、ホースメンズ・グループ(Horsemen’s Group :馬主、調教師、生産者、騎手)は、ボーダーラインが引かれて、それ以下の馬が競走機会を奪われてしまうことに不安を感じていました。彼らは廃用馬の福祉についても懸念を表明していました。彼らが出してきた代替案も含めて検討した結果、2009年から今回の変更が実施される運びとなったのです」。

 同氏は次のように付言した。「レーティング45以下の馬にも扉は開かれています。しかし、これらの馬が来年からオフシーズンの冬と夏以外はほとんど出走機会が得られないことを馬主と調教師は知っておくべきです。私たちは、そのことを周知徹底しなければなりません。私たちの方針は、より高レーティングの馬にできるだけ出走機会を与え、しばしば除外されていたレーティング46〜50の馬に対して出走できるレースを80〜90追加することです」。

 イギリス馬主協会(Racehorse Owners’ Association)の最高経営責任者マイケル・ ハリス(Michael Harris)氏は、次のように述べた。「ホースメンズ・グループとしては、ボーダーラインをレーティング40とはっきり定め、それ以下の馬の出走機会を完全に奪うことよりも、むしろ年に数回はレーティング45以下の馬にも出走機会を与えるシステムを採用するほうが良いと考えました。この仕組みを考案したのは、全国調教師連合会(National Trainers’ Federation: NTF)です」。

 NTFのクリス・ウォール(Chris Wall)会長は、次のように語った。「BHAの当初の提案は、ボーダーラインを定め馬の出走機会を奪い、競馬関係者の生活に悪影響を与える恐れがあるので、認める訳にはいきませんでした。NTFのメンバーの多くは、レーティング45以下の馬を多数管理しており、もしこれらの馬が競走から排除されれば、これらの馬をどうすればよいのかという問題がありました。私たちはその点に留意していたのです」。

 ウォール氏は、「私たちは、BHAにとっての最善策はレーティング45以下の馬が出走できないレースではなく、出走しにくいレースを示すことだと考えました。それが重要なことでした」と付言した。

By Andrew Scutts

[Racing Post 2008年8月27日「Britain’s worst horses left out in cold」]


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