電話投票利益からの賞金拠出増額交渉、一部の業者と妥結(アメリカ)【開催・運営】
馬主グループ18団体を代表して電話投票(advance-deposit wagering: ADW)運営業者と賞金拠出の増額を交渉しているサラブレッド・ホースメンズ・グループ(Thoroughbred Horsemen’s Group: THG)は、すでに一部のADW運営業者と契約を締結していたことが判明した。この契約は全米における競馬の映像権料に大きな影響を与えることになろう。
7月17日、ペンシルヴェニア州ハーシーで開催された全米ホースメン共済協会(National Horsemen's Benevolent and Protective Association)の夏季会議において、ボブ・リーヴス(Bob Reeves)会長は、2008年の上半期にニューヨーク場外馬券発売公社など6つのADW業者と賞金拠出の増額契約が成立したことを明らかにした。
契約交渉は、ニューヨーク市場外馬券発売公社(New York City Off-Track Betting Corp.: NYCOTB)が行い(他地域の場外馬券公社についてはNYCOTBが代理)、5月30日ニューヨーク州競馬・賭事委員会(New York State Racing and Wagering Board)がこの契約を承認した。
馬主たちのためにADW収入からの取り分をより大きくすべく中心となって尽力しているリーヴス会長は、この契約により2年間で州間賭事(サイマルキャスト)からの賞金拠出額が50%増加すると予想している。
馬主たちの代理人の交渉目標は、ADWの粗利益(控除額)の3分の1を賞金に拠出させることであり、現在も、ケンタッキー州のチャーチルダウンズ競馬場、フロリダ州のコールダー競馬場を所有するチャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.: CDI)との間で交渉が進められている。THGは他に、ペンシルヴェニア州のプレスクアイルダウンズ競馬場、テキサス州のマグナ・エンターテイメント社 (Magna Entertainment Corp. : MEC)所有のロンスターパーク競馬場およびハラのルイジアナダウンズ競馬場とも話合いを進めている。CDIとMECは共同で競馬映像配信会社トラック ネットメディア社(Track Net Media Group)を設立している他、CDIはADW会社ツインスパイア(TwinSpire)も運営しているからである。
リーヴス会長は、「THGがNYCOTBとの契約成立をこれまで公表しなかったのは、NYCOTB側に6月に閉鎖危機が発生し、ニューヨーク市から州による運営引き継ぎが行われるという事情があったため、余計な混乱を与えたくなかったためです」と述べた。
同会長は、守秘義務のある州間賭事(サイマルキャスト)からの賞金拠出額の明確なパーセンテージを公表するのを控えたが、「THGは、すべての場外馬券業者が最終的に新たなモデルに移行すべきだと率直に話し、弾力的に対応しました」と語った。
同会長はTHGがADW運営業者(CDIとMEC共同所有のトラックネットメディア社を含む)に対して弾力的に対応したと述べ、「段階的導入について協議することを望んでいます」と語った。
リーヴス会長は、「全体としてADW運営業者との契約に至ることは馬主と競馬界にとって必須でした」と述べた。
ADWは1996年のゼロの状態から、2007年売上げ高15億ドル(約1650億円)になるまでに成長した。これは馬券売上げ総額の約10%に当たる。
同会長は、「ADWの存在が大きくなりすぎる前にADWとうまくやった方や良いと言いう者がいましたが、すでに大きくなっていると思います」と付言した。
なお、7月5日、ケンタッキー州のエリスパーク競馬場もケンタッキー州のホースメンズグループと、一部のADW運営業者からの賞金拠出の増額に関する合意に達していた。
By Don Clippinger
(1ドル=約110円)
[Thoroughbredtimes.com 2008年7月18日「Thoroughbred Horsemen’s Group secures first contract」]