エリスパーク競馬場、映像配信拒否にともなう閉鎖を回避(アメリカ)【開催・運営】
6月29日、ケンタッキーホースメンズ共済協会(Kentucky Horsemen’s Benevolent and Protective Association: KHBPA)は、ケンタッキーのヘンダーゾンにあるエリスパーク競馬場の所有者ロン・ギアリー(Ron Geary)氏に、同場から電話投票(advance-deposit wagering: ADW)運営業者への映像配信を阻止することを書簡で通知していた。
このところ、ケンタッキー州ばかりでなくフロリダ州やテキサス州などのホースマンが、レース映像配信によるADWからの利益の配分増を要求し、ADWへの映像配信を拒否しているのだ。
ギアリー氏は、「エリスパーク競馬場の長期的な活力は、テレビジョン・ゲームズ・ネットワーク社(Television Games Network: TVG)やホースレーシングTV社(Horse Racing TV: HRTV)を含むすべてのADW運営業者への映像配信ができるかどうかにかかっており、映像配信についてはすでに交渉を始めています」と述べた。
同氏は7月1日、エリスパーク競馬場のADW運営業者向けの競馬映像配信がホースマンたちにより阻止されないよう、ケンタッキー州オーウェンボロの連邦裁判所に差止請求を申し立てたが、同裁判所は7月2日、差止請求を出す事について消極的な判断を下した。エリスパーク競馬場は7月4日に開催を開始する予定であったが、ギアリー氏はこの判断を受けて、競馬場の閉鎖を決定した。これによりケンタッキーの夏の競馬スケジュールに大きな空白が生じる恐れがあった。
しかし、7月5日、幸いにも7月11日から競馬を開催することに関するギアリー氏とKHBPAとの合意が成立した。その合意事項には、競馬場は次の(1)または(2)のいずれか大きい金額を、エリスパーク競馬場の賞金に拠出することが含まれる。 この結果拠出額はこれまでの約3倍となる。競馬場の職員はこれより開催後半のレースでは賞金が増額されるだろうと述べた。
- ADW売上げ金額の6%
- ADW運営業者を通じた賭けの控除金額の3分の1
また、ホースマンたちはエリスパーク競馬場で施行される全レースをTVG、HRTVを含むすべてのADW運営業者に映像を配信する事に合意した。
エリスパーク競馬場はこの合意により週5日開催をするほか、中止された5日間のレースを埋め合わせる事ができる。
[thoroughbredtimes.com 2008年7月5日「Ellis Park, Kentucky horsemen reach agreement」]