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海外競馬情報
2008年07月18日  - No.14 - 2

“チーム戦術”に関するルールに変更なし(イギリス)【開催・運営】


 近年エイダン・オブライエン(Aidan O’Brien)調教師が明らかに“チーム戦術”を使ったと批判されたレースがある。しかし、イギリスとアイルランドのいずれの競馬統括機関も、同調教師が大レースでどのようにペースメーカーを用いているのか調査することはないだろう。

 デーヴィッド・マッケイブ(David McCabe)騎手は6月29日、カラー競馬場で開催されたアイルランドダービーで、バリードイル勢(クールモア牧場+オブライエン厩舎)のヒンドゥークシュ(Hindu Kush)に騎乗して先行し、ジョニー・ムルタ(Johnny Murtagh)騎手騎乗で、同厩舎のアレッサンドロヴォルタ(Alessandro Volta)が内側から伸びてきたのを見て、柵から離れて内側をあけ、アレッサンドロヴォルタはゴール前4ハロンの地点で先頭に立った。この動きは、アットザレーシズ社(At The Races)の映像によって検証された。

 マッケイブ騎手は、ロイヤルアスコット開催のクイーンアンS(G1)でオナードゲスト(Honoured Guest)に騎乗した時も、騎乗馬を内柵から徐々に離し、ムルタ騎手が騎乗するハラダサン(Haradasun:クールモア牧場が50%所有)がそのスペースに進路をとって先頭に立ち、優勝した。

 ベットフェア社(Betfair)の共同創立者のアンドリュー・ブラック(Andrew Black)氏は、マッケイブ騎手が“ハラダサンを通過させるために”、騎乗馬に進路を譲らせたと主張し、なぜ全く審議が行われなかったのか疑問を呈した。

 ブラック氏は自身のブログで、「これは注意深く監視すべきレース内容である」と述べた。

 アスコット競馬場の有給裁決委員ウィリアム・ナンネリー(William Nunneley)氏は、この日の“チーム戦術”疑惑を退け、「施行規程第153条違反(ペースメーカーに関する指示)はありません」と述べた。

 2006年クイーン・エリザベス2Sでジョージワシントン(George Washinton)が優勝した時に、フランキー・デットーリ(Frankie Dettori)騎手はバリードイル勢を非難したが、当時の競馬監理機構(Horseracing Regulatory Authority: HRA)は競馬施行規程違反はないという結論を出した。

 英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)のスポークスマンであるオーウェン・バーン(Owen Byrne)氏は6月30日、「私たちはペースメーカーに関する規定を見直す予定はありません」と述べた。

 施行規程第153条(iv)は2007年に導入されたばかりであり、違反を犯した場合は騎手に対し14日間の騎乗停止、調教師に対し5000ポンド(約120万円)の罰金というかなりの罰則がつく。

 バーン氏は、「これまでこの競馬施行規程に違反した例はありません。今回も違反はありません」と付け加えた。

By Jon Lees
(1ポンド=約240円)

[Racing Post 2008年7月1日「No rule change over ‘team tactics’ state racing authorities」]


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