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海外競馬情報
2007年10月19日  - No.20 - 5

ケンタッキー州薬物委員会、ステロイド使用規制を支持(アメリカ)【獣医・診療】


 ケンタッキー州馬薬物調査委員会(Kentucky Equine Drug Research Council: KEDRC)は、州内の競馬場とセリにおける馬へのアナボリック・ステロイド投与の規制を支持している。しかし、北中米競馬委員協会(Association of Racing Commissioners International: RCI)と薬物規制標準化委員会(Racing Medication and Testing Consortium: RMTC)が提案した模範規程については、薬物排泄期間など薬物検査関連の問題について追加説明を要請した。

 KEDRCは8月23日の会合で、ケンタッキー州競馬統括機構(Kentucky Horse Racing Authority: KHRA)への勧告は行わないが、州政府当局に対しステロイドの使用規制について賛意を表明することを決定した。関係者によると、委員会は規制に取り掛かる前にホースマンを含む全ての競馬関係者にルールと手続きを周知徹底したい意向である。

 全米において、連邦薬物管理機関(Federal Drug Administration: FDA)が一般的に使用を認めた4つのステロイドに対して規制の動きがある。

 使用制限の対象となる4つのステロイドとはボルデノン(boldenone=Equipoise)、スタノゾロール(stanozolol=Winstrol)、ナンドロロン(nandrolone=Durabolin)、テストステロン(testosterone)であり、他のステロイドは全て使用を禁止されるだろう。

 KEDRCのメンバーであるジョン・ワード・ジュニア(John Ward Jr.)調教師は、「競走馬への、またセリでのアナボリック・ステロイドの使用制限は誰もが望んでいることだと思います。次の問題はいつどのようにするか、についてだと思います」と語った。

 ステロイドの排泄期間、すなわちステロイドが馬の体内から消えて無くなるのに要する時間は一般的に、30〜60日と言われており、当然競走当日も使えない。FDAが使用を認めたステロイドは治療効果があると広く信じられている。ステロイドに関する討論に参加した競馬場獣医師フォスター・ノースロップ(Foster Northrop)氏は、「アナボリック・ステロイドは競走馬に極度に乱用されています。ステロイドは競馬産業において一定の役割を果たしていますが、乱用されています。大半の競馬場獣医師は同意見でしょう」と述べた。

 ケンタッキー・サラブレッド協会(Kentucky Thoroughbred Association: KTA)の常務理事デーヴィッド・スウィッツァー(David Switzer)氏は、現在ケンタッキーのセリ会社がアナボリック・ステロイドの閾値を研究中で、2008年初頭までに規定化できるだろうと語った。

 サラブレッド馬主生産者協会(Thoroughbred Owners and Breeders Association: TOBA)は、全米のグレード競走を施行する競馬開催州に対して、2008年1月1日から発効するアナボリック・ステロイドの使用規制のための検査を開始するように要請した。KHRAの常務理事リサ・アンダーウッド(Lisa Underwood)氏は、たとえケンタッキー州の規定化が間に合わなくても、競馬場はこれらの検査要求に対応するために内規を採用できると述べた。

 KEDRCはまた、州政府等の獣医師に限り鼻出血治療薬ラシックス(Salix)投与を認める案について討議したが、結論は出なかった。現在、ラシックスの投与制限は、繋駕競馬場のみに義務付けられており、サラブレッド平地競走には要請されていない。この計画の実施には職員の雇用増加が必要となるだろう。

By Tom LaMarra

[The Blood-Horse 2007年9月1日「 Kentucky Drug Council Supports Regulation of Steroids」]


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