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海外競馬情報
2007年08月24日  - No.16 - 4

コブラ毒の使用は非合法で残酷(アメリカ)【獣医・診療】


 蛇は長きにわたり競馬の一部であり、コブラから採取できる有毒物質もまた然りである。

 私がここで言及している“競馬に巣くう蛇”とは、レースに勝つためには手段を選ばない詐欺師のことを意味する。彼らは、ある薬物が合法であるか否かを決定するのは、多くの場合、その薬物の検出方法の有無であると考えている。禁止薬物に対するこの考え方は、競馬関係者の一部で昔からまかり通っており、まったく非倫理的で間違っている。

 数年来その使用が噂されているコブラ毒は“検出できなければ非合法ではない”というカテゴリーに含まれる。モルヒネの1,000倍の威力があると言われているこの物質は、神経系統における痛みの伝達を遮断することで馬が苦痛を感じずに走る一助となり得る。この物質の使用は競馬界では非合法であり、さらにひどいことには、動物にとって残酷きわまりないことである。

 2002年に初めて、いくつかの競馬監督機関がコブラ毒を禁止薬物とし、検出方法の開発に取り組んだ。同年、薬物規制標準化委員会(Racing Medication and Testing Consortium: RMTC)は、コブラ毒の検出方法に関する提案を要請したが、化学者や研究所からの提案はなかった。翌年研究企画が1件あったが、RMTCの常任理事スコット・ウォーターマン(Scot Waterman)氏によれば、科学諮問委員会(scientific advisory committee)からの補助金を得ることができなかった。

 ウォーターマン氏が公正確保への“脅威”だと述べるのは、コブラ毒はごく微量投与するだけで痛みを抑える事ができ、物質の痕跡が血液や尿サンプルから見つかることはほとんどないからである。毒は麻痺させようとする神経が通る皮下に注射される。

 キーンランドにあるパトリック・ビアンコーヌ(Patrick Biancone)調教師の厩舎を捜査した際に、6月26日にコブラ毒が発見された事を示唆する報道がされたことで、この物質への関心は高まった。厩舎と獣医師のロッド・スチュワート(Rod Stewart)氏の診療車の捜査は、ケンタッキー競馬統括機関(Kentucky Horse Racing Authority: KHRA)とキーンランド競馬協会の保安チームにより実施された。KHRAは捜査によってどのような禁止物質が発見されたか明らかにしていない。この事例は、詐欺師たちとの戦いにおいて、厩舎と獣医師の診療車を捜査することの重要性を強調することになった。薬物検査だけでは十分ではないのだ。

By Ray Paulick

[The Blood-Horse 2007年7月14日「Forked Tongue」]


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