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2007年08月03日  - No.15 - 2

スポーツ大臣が自賛する新賭事法(イギリス)【開催・運営】


 リチャード・カボーン(Richard Caborn)スポーツ大臣は6月26日、9月1日に発効する新賭事法を、他の多くの国がいずれ追随することになる模範であると述べた。

 6年間にわたって新賭事法の準備が進められてきたことを説明した同大臣は、次のように語った。「私は、2001年に競馬産業を裏街道から脱却させると言明しました。私たちは、レジャーポンド(leisure pound:レジャー用品や活動に向けられる消費者の支出)という24時間休みなく活動する経済における賭事のために新たなシステムを導入しました。我が国の賭事産業は、おそらく世界で最も規律のあるものとなります」。

 「最も喜ばしいのは、新賭事法への取り組みに国際的関心が寄せられたことです。新賭事法は、3つの基本原則、すなわち ? 賭事を犯罪と無縁なものにし、? 賭事を公平でかつオープンでにし、? 子供および賭事依存症の大人を保護する、という原則に立脚しています。私は新賭事法が世界のモデルになると確信しています」。

 同大臣は、イギリスの政策を他の2つの政策すなわちアメリカの禁止を目指す政策とヨーロッパの数ヵ国における保護の政策と比較し、これらはこれまで機能しておらず今後も機能しないであろうと述べた。

 同大臣は、次のように語った。「私たちは、市場が効率的でありながらも社会的責任を果たすことができるようにしようとしているのです。アメリカでは、賭事は地下にもぐり、犯罪が多発するでしょう。他のヨーロッパでは、賭事が規制されすぎるためにレジャー産業の一部となる強みを持っていません。どちらの状況も、不十分と考えます」。

 カボーン大臣は、“公正で超党派の組織”と自称しているウェストミンスター・イーフォーラム(Westminster eForum)主催の賭事セミナーでスピーチを行った。聴衆から、15%の粗利益課税は海外賭事業者のイギリスへの誘致に悪影響を及ぼすのではないかという質問を受けたが、同大臣は質問に答えず、「税金は財務省の所管事項です。私は競馬界の意見を財務省に提出し、財務省が判断を下しました。競馬界は自ら商業的判断を下すでしょうが、イギリスから賭事業者の多くが海外逃避するとは考えていません」と述べた。

 歴代スポーツ大臣の中で在任期間が最長となったカボーン大臣は、自分はブラウン新内閣には入閣しないだろうと認めるほどの現実主義者であり、新賭事法による制度改正の結果を大臣として目にすることはないと思われる。

 しかし、カボーン大臣は新賭事法による制度改正の実行者としての責任がある。トニー・ブレア(Tony Blair)首相から賭事とゲーミングを内務省からスポーツ省に移管するバッドレポート(Budd report−イギリス賭事制度の見直しを提言)のコピーが渡されたときに、同大臣は責任を引き継いだのだ。

 同大臣は、次のように述べた。「それは2001年のことでした。私たちは当時、明らかに時代遅れになっていた制度の近代化を検討すると明言し、現在、新賭事法発効までわずか2ヵ月のところまで来ました。私は、利益団体の協力に感謝しており、この取り組みによって近代的産業にふさわしい健全な法律が生まれたと確信しています」。

 同大臣は、新賭事法は、政策の中核に関わるものであり、実際上十分に機能するであろうと述べ、次のように付け加えた。「私たちは、新法に関して多くの批判を耳にしましたが、その多くは旧法がいかに無力であったかを無視しています。私たちは、子供および賭事依存症の人々を新法により初めて保護することになりますが、この問題は引き続き新政権の最優先事項です」。

By Howard Wright

〔Racing Post 2007年6月27日「Gambling act will set example to world, says Carbon」〕


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