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2023年10月19日  - No.40 - 2

キングジョージ優勝馬フクム、現役を引退し日本で種牡馬入り(イギリス・日本)[生産]


 ジム・クローリー騎手はフクム(牡6歳 父シーザスターズ)のたくましさと勇気を称えた。今年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)で輝かしい勝利を収めたフクムは現役を引退し、日本で種牡馬生活を開始することになった。

 フクムは2022年に行われたコロネーションカップ(G1 エプソム)で、後にキングジョージを制するパイルドライヴァーに4¼馬身差をつけて勝利を収めるなど、G1競走での活躍を見せつけた。

 その勝利の際に後肢を骨折してレースキャリアが危ぶまれたが、今年5月のブリガディアジェラードS(G3 サンダウン)で昨年の英ダービー馬デザートクラウンを破り、356日ぶりの実戦を勝利で飾った。

 そしてアスコットの夏の看板レース、キングジョージではウエストオーバーを頭差で押さえて優勝し最高の瞬間をもたらした。

 凱旋門賞(G1 10月1日 ロンシャン)ではエースインパクトの9着となり、競走生活を勝利で終えることはできなかった。

 フクムのキャリア18戦すべてで手綱を取ったシャドウェルの主戦であるクローリー騎手はこう語った。

 「彼のすべてのレースでコンビを組み、とても愛着を感じていました。私のキャリアにとって大きな存在ですね。彼の中には何か特別なものがあるといつも思ってきました。そしてコロネーションカップで勝利を達成したのです。怪我から復帰してブリガディアジェラードSとキングジョージを勝ったことは、彼がいかにたくましくて実直な馬だったかを証明しています。今年のキングジョージはおそらくこの10年で最高のレースでした。彼はあの日、根性で勝ちましたね」。

 オーウェン・バローズ調教師が手掛けたこのスター馬は通算成績18戦11勝(うち9勝がステークス競走)、獲得賞金138万7,995ポンド(約2億4,984万円)で引退する。レーシングポストレーティング(RPR)は自己ベスト128を記録した。

 ほかにも2022年ドバイシティオブゴールド(G2)を優勝しており、2020年にはキングジョージ5世Sを制してバローズ調教師にロイヤルアスコット開催での初勝利をもたらしている。

 バローズ調教師はこう語った。「5シーズンにわたって計り知れないと感じさせてくれる馬でしたね。平地でこれほど長く現役生活を送る馬はあまりいません。彼には一生感謝し続けるでしょう。3歳のときに、私にとってロイヤルアスコットでの初勝利をもたらしてくれたのです」。

 「その後ドバイで勝利を収め、コロネーションカップでG1初勝利を果たすことができました。そして今年のキングジョージでは素晴らしい仕事をやってのけました。2頭のとても勇敢な馬が全力を出し尽くしたすごい光景でした。彼は私の調教生活をまったく違うレベルへ引き上げてくれたのです」。

 バローズ調教師はフクムのレースキャリアのハイライトとしてキングジョージを挙げたが、長期休養からベストの状態に立ち直った能力にも賛辞を贈った。

 「キングジョージはG1馬が揃っていて、最後の2~3ハロンは見たこともないような素晴らしいレースでした。競走へ復帰させたこと自体も、とてつもないチームワークの賜物でした。この馬の功績と言えるでしょう」。

 「もう6歳ですから、もう走りたくないという信号を出すこともできたでしょう。ただ肉体面だけでなく精神面でも彼自身が走ることを望んでいました。このタフさが種牡馬になったときに役立ってくれれば良いと思っています」。

 「この馬は調教とレースに対して熱意をもっていたので、仕事を楽にしてくれました。コロネーションカップでの4¼馬身差の勝利、そして今年のキングジョージでの優勝は、彼の素晴らしい素質を完璧に示していました。能力・根性・勝つ意欲。あのキングジョージは私だけではなく多くの競馬ファンの記憶にこれから何年も残り続けるでしょう」。

 「見映えが素晴らしく、屈強な競走馬であり、バーイードの全兄でもあります。日本の生産者の皆さんのあいだで人気を博すことは間違いないでしょう」。

By Matt Rennie and Jonathan Harding

フクム、ダーレージャパンの一員に

 傑出馬バーイードの全兄であるG1・2勝馬フクムは競走馬を引退し、2024年の種付シーズンに北海道のダーレージャパンの一員となる。

 シャドウェルの自家生産馬であるフクムは、父はシーザスターズであり、母はリステッド勝馬のアグハリード(父キングマンボ)である。また、故ハムダン殿下の有名な基礎牝馬ハイトオブファッション(訳注:エリザベス女王が生産して競走させた牝馬)の血を引く。

 シャドウェルの欧州のブラッドストックマネージャーであるスティーヴン・コリンズ氏はこう語った。「シャドウェルはフクムがダーレージャパンで種牡馬となることを大変嬉しく思っています。フクムは、過去10年でターフホースとして最高レーティングを獲得したG1・6勝馬バーイードの全兄です」(訳注:バーイードは2022年にレーティング135を獲得。これは2004年にワールドベストホースランキングが導入されて以来、フランケル(140)と父シーザスターズ(136)に次ぐ数字である)。

 「フクムは種牡馬として大成功を収めるための素質をすべて備えています。G1馬であり、その馬格は素晴らしく、影響力のある繁殖牝馬ハイトオブファッションにまで遡るシャドウェルで最も成功しているファミリー(牝系)に属しています」。

 「故ハムダン殿下とその一族が過去40年にわたり最高レベルに発展させ維持してきたこのような素晴らしい血統を、日本の生産者の皆様が利用できるようになることを大変嬉しく思っています」。

 「ヒッサ王女とその家族は、フクムの新たなキャリアをじっくり見守っていくことをとても楽しみにしておられます。シャドウェルが今後フクムをサポートするために数頭の優良繁殖牝馬を送ることになったとしても驚くことではないでしょう。なぜなら、彼はシャドウェル全体から最高の評価を得ているのです」。

 種付料については後日発表される。

By Racing Post Bloodstock Staff
(1ポンド=約180円)

[Racing Post 2023年10月17日「'I'll be forever in his debt' - Jim Crowley and Owen Burrows pay tribute after brilliant King George winner Hukum is retired」、「King George hero Hukum retired to stand at Darley Japan for 2024」]


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