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2023年10月19日  - No.40 - 1

シティオブトロイはクールモアのフランケルになりうるか?(イギリス)[その他]


 シティオブトロイがデューハーストS(G1 ニューマーケット)で驚異的な勝利を挙げたことをうけて、ローリーマイルコース周辺ではとっぴな発言が飛び交っていた。そこで馬主の1人であるマイケル・テイバー氏は"クールモアは自分たちのフランケルを見つけたのだ"と宣言し、すべての雑音をはねのけた。

 すごい宣言が飛び出したものである。しかしシティオブトロイ(父ジャスティファイ)が3½馬身差の楽勝で無敗の3連勝を果たしたあと、エイダン・オブライエン調教師とライアン・ムーア騎手がこの馬を異星から来た馬かのように語るのを聞けば、テイバー氏が真実を語っていると信じられなくもなかった。

 今から13年前、フランケルは4戦目にして2歳シーズンの最後の一戦となったこのレースで、シティオブトロイよりも短い着差で勝利を収めた。彼はその後2年間で10勝を挙げ、現代で最強の平地競走馬と目されるようになった。

 シティオブトロイが同様に頂点に立つにはまだまだ先は長いが、将来の目標としては英2000ギニー(G1)・英ダービー(G1)・英セントレジャーS(G1)が挙げられており、現段階では文字どおり何が起きても不思議ではない。

 「まさに私たちのフランケルだ」と言うテイバー氏は世界中の競馬界で最も尊敬されている人物のひとりであり、彼が発する言葉はすべて信じられている。「エイダンの口ぶりからも分かっています。私たちはみんな楽観的ですが、この馬は特別です。間違いなく本物なのです」とテイバー氏は語った。

 そして、「現時点ではそう感じているのです。たぶんそのうち、大恥をかくことになるでしょう。でも何かが起こる前に話しておきたいですし、この馬は何でもできると実感しているのです」と付け加えた。

 ブックメーカーに関するかぎりでは、シティオブトロイは英2000ギニーと英ダービーのどちらも勝つ馬であると予想されている。パディパワー社はシティオブトロイの2000ギニーでのオッズを3.5倍から2倍に下げ、ダービーでのオッズを5.5倍から3.25倍に下げた。

 またパディパワー社はシティオブトロイが1970年のニジンスキー以来の英国三冠馬になることに11倍のオッズをつけており、テイバー氏はこの馬にとってはそのようなすごい快挙も射程圏内であると感じている。

 「ダメなわけはありません。三冠を達成することは常にジョン・マグニアの夢であり、しばらく前にキャメロットが三冠目のセントレジャーで敗れたのはとても不運でした。セントレジャーの距離は長すぎるかもしれませんが、私はギニーとダービーを勝つのはかなりありえると思っていますし、その後なにかのG1を勝てるのではないかと考えます」。

 テイバー氏のフランケルに関するコメントはウィナーズサークル周辺で波紋を呼んだが、ムーア騎手もオブライエン調教師もその熱狂を鎮めるようなことはしなかった。

 オブライエン調教師がビッグレースの勝利の余韻に浸りながら熱弁を振るうのは決して珍しいことではないが、ムーア騎手が絶賛することは珍しい。彼はシティオブトロイのユニークな特徴を軽く見積もることはなかった。

 「彼は出走するたびに感動させてくれますね。カラ競馬場で彼に初めて騎乗した日、今までコンビを組んだ馬がしたことのないようなことをやってのけました。彼の勢いはとどめることのできないものでした。そんなことは一度もありませんでした」。

 「ニューマーケットではジュライコースのスーパーレイティヴS(G2)に出走しましたが、その時期の2歳馬としてはそれまででもっとも印象的なパフォーマンスでした。今回のレースで敗れる理由が思いつきませんでした。それでも長い休養期間を挟んだので力のいる馬場は心配でした。でもまたしても圧倒的なパフォーマンスを見せてくれましたね」。

 そしてフランケルについての質問が出た。

 ムーア騎手はサー・ヘンリー・セシル調教師が手掛けたフランケルについてこう語った。「フランケルはこれまで見た中で最強の馬です。シティオブトロイがスーパーレイティヴSを制したあと、ジュライコースで誰かに"あんな2歳馬はフランケル以来見たことがない"とバカなことを言ってしまいました。バカげた比較ですね。この馬はまだまだ先が長いのです。今のところワクワクさせてくれるような馬ですし、ここまでの活躍には感動しています。とても稀有な馬だと思います」。

 オブライエン調教師にとってもそうだろう。彼はレース前に物思いにふけっているようだった。シティオブトロイの馬場適性について心配していたのだが、最終的には自らにとってデューハースト8勝目(最多タイ)を挙げることになった。そしてこの牡馬は偉大な馬の仲間入りをする運命にある。

 名伯楽はこう語った。「絶対にあの馬場を嫌がるだろうと思っていましたが、ほかに走らせられるレースがなかったのです。走り切ったことを神に感謝したいですね。あの馬場状態ならかなり消耗してしまうものですが、彼はまったく疲れを見せていませんね。あんな馬は見たことがありません」。

 「あのような馬場を走るにはトラクターのタイヤが必要ですが、そんなものを備えているはずがありません。それでも彼にはジェットエンジンのようなものがあり、それが彼を走り切らせました。いつもは馬を限界まで追い込むのですが、彼にはいっさい限界など見られません。だからすごく珍しい馬なのです」。

 オブライエン調教師は、自らがバリードイル(クールモアの調教拠点)の馬を管理するようになってから、シティオブトロイがここに足を踏み入れた最高の2歳馬であることは疑いようもないと語った。そして、テイバー氏と同様に三冠を達成すると信じていることを明かした。

 そして、「彼のスタミナには限界というものがないのだろうと思っています。彼の父はジャスティファイであり、スタミナが衰えないのがこの種牡馬の特徴なのです。また母父がガリレオなので、とても楽しみですね。どこが限界なのか分からないのです」と付け加えた。

By Lewis Porteous

[Racing Post 2023年10月14日「'He really is our Frankel - he's the real deal' - City Of Troy earns lofty comparisons after Dewhurst demolition job」]


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