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2023年09月28日  - No.37 - 2

ファンタスティックムーン、凱旋門賞に追加登録(フランス)[その他]


 ファンタスティックムーンが総賞金500万ユーロ(約8億円)の凱旋門賞(G1 2400m)の層を厚くし、熱戦を演出する可能性は高まった。この馬の関係者たちは9月27日(水)の朝に12万ユーロ(約1,920万円)を支払って追加登録するかどうかを熟考していた。馬場が乾きつつあることに心をひかれていたのだ。

 凱旋門賞と同じコースでフィードザフレイムを下してニエル賞(G2 2400m)を快勝したファンタスティックムーンは、最高のパフォーマンスを発揮するために理想的なかたちとして「稍重」以上の馬場状態を求めている。ロンシャン競馬場の馬場取締委員であるシャルル・ド・コルドン氏は26日(火)に「今週に入って馬場の乾く速度が遅くなっていますが、満足のいく馬場状態になるでしょう」と認め、慎重でありながらも楽観的である。

 26日(火)朝の公式発表では、ペネトロメーター(馬場硬度計)の測定値は3.8から3.7へと良化した(訳注:いずれも「重」に分類される)。次の測定が行われる27日(水)朝までに硬度はさらに上がるに違いない。

 ド・コルドン氏はこう語った。「気温は28日(木)から下がり始めるでしょう。馬場はゆっくりとしか乾きませんね。なぜならこの時期は毎朝露で濡れるので、水分の蒸発量がかぎられてしまうからです」。

 「凱旋門賞ウィークエンド(9月30日&10月1日)には『稍重』の馬場が予想され、それぞれ3.4と3.3になるかもしれません」。

 フランスギャロ(France Galop)は27日(水)からゴーイングスティック(英国やアイルランドで採用されている馬場硬度計)の測定値を並行して発表する予定である。英国やアイルランドでは、ペネトロメーターが示すよりも馬場状態が「良」に近いように表示されていることが判りそうだ。25日(月)のゴーイングスティックでの測定値は「稍重」だった(ペネトロメーターでは3.8「重」)。

 凱旋門賞当日(10月1日)までにロンシャンの馬場状態が予測どおりに、公式で「稍重」とされる3.3になれば、英国人やアイルランド人にとっては、「稍重(Good)」と「良(Good to Firm)」を合わせたような状態になるだろう。

 多くの予報では10月1日(日)までに雨は降らないとされている。しかしド・コルドン氏は、馬場状態に影響を与えるほどではないが9月28日(木)か29日(金)に25%の確率で0~2ミリの雨が降ると注意喚起している。
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 ファンタスティックムーンの馬主であるリバティレーシング2021の代表ラース⁻ヴィルヘルム・バウムガルテン氏にとっても、サラ・シュタインベルク(Sarah Steinberg)調教師とルネ・ピーヒュレク騎手にとっても、これらすべてのことは心地よく聞こえるだろう。

 バウムガルテン氏は安定した天気予報を歓迎し、この卓越した独ダービー(G1)優勝馬を追加登録する目途が本当に立ったのは週末になってからだと述べ、26日(火)午後にこう語った。

 「ニエル賞(9月10日)のあとの見立てでは、ファンタスティックムーンが疲れから回復するにはもっと時間が必要だと思っていました。しかし彼は元気な状態で、サラ・シュタインベルク調教師は24日(日)についに『彼はふたたび出走するのにふさわしい兆候を示しています』と言ってくれました。だから天気予報・馬場状態・レース展望に注目するようになったのです」。

 そして、「凱旋門賞に向けて26日(火)朝に追い切りすることに決めました。その追い切りをうまくこなしたら、もうひとつの手がかりがもたらされると思っていました。つまり彼が走りたがっているということです。今朝現実にそれを目の当たりにしましたし、獣医師もすべてが完璧だと言っていました」と付け加えた。

 27日(水)朝の追加登録の締切前の変更がありうるという前提付きで、26日(火)夜の馬主メンバーの会議で予備の決定が行われる。またBCターフ(G1 11月4日)かジャパンカップ(G1 11月26日)のどちらかに挑戦させることについても検討される。

 バウムガルテン氏はこう語った。「3歳の彼は今シーズン5戦しました。誤った判断をしてしまわないことが重要です。なぜなら、来年も彼が走る姿を楽しみたいからです」。

 「彼を購買したいという大きなオファーを断りました。だから今シーズンの最後の出走にふさわしいレースを彼のために見つけなければなりません。おそらくそれは凱旋門賞でしょう。しかし、朝になってサラとルネがこの馬を見てどう感じるか、そして馬主メンバーたちがどう言うのかを待ってみましょう」。

 そして最後に、「私たちがイエスと言う可能性は3日前よりも高まっていますよ」と締めくくった。

 26日(火)の第2回登録取消でスプリーウェル(ジェシカ・ハリントン厩舎)だけが出走を取り消し、現時点で凱旋門賞の出走馬は14頭である(訳注:9月27日(水)にファンタスティックムーンとコンティニュアスが追加登録されエミリーディキンソンが取り消されたため出走予定馬は15頭)。
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ファンタスティックムーンの参戦決定

 サラ・シュタインベルク調教師は9月27日(水)朝にこう語った。「ファンタスティックムーンは絶好調です。26日(火)の追い切りをうまくこなしました。彼が最高の力を発揮できるように、パリが晴天となり素晴らしい馬場状態に恵まれることをひきつづき期待しています」。

 「ファンタスティックムーンにとってどのレースがベストなのかじっくりと考え、馬主たちとともに、今年はファンタスティックムーンに米国や日本への長距離遠征はさせないことを決定しました」。

 「パリの素晴らしい天候を生かしたいと思いました。ロンシャンの芝は乾きつつありますし、この馬は前走の疲れからとても早く回復しているのです」。

 「11月初旬のブリーダーズカップ開催や、11月末のジャパンカップへの遠征は3歳馬にとって大きな負担となります。そのような負担にさらしたくないと思ったのです」。

By Scott Burton

(1ユーロ=約160円)

 (関連記事)海外競馬ニュース 2023年No.35「ファンタスティックムーン、ニエル賞快勝も凱旋門賞参戦は未定(フランス)

[Racing Post 2023年9月26日「Drying ground at Longchamp encourages Fantastic Moon team ahead of Arc supplementary decision」、9月27日「Decision made! German Derby winner Fantastic Moon to be supplemented for the Arc」]


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