凱旋門賞の有力候補の一角にバーデン大賞を制したザグレイが浮上（ドイツ）［その他］

　9月３日（日）にバーデン大賞（G1）が興奮のうちに幕を閉じ、歴史あるバーデンバーデン競馬場（バーデンバーデン市郊外イフェツハイム）のグランドスタンドにフランス国歌のマーチングビートが響き渡った。ザグレイ（牡4歳　父ザラック）が僅差の優勝を遂げ、クリストフ・スミヨン騎手とヤン・バルバロ調教師に初めてのバーデン大賞での勝利をもたらしたのだ。

　ドイツの最有力馬ファンタスティックムーンは発走時刻の1時間前に出走を取り消した。今年の独ダービー（G1）優勝馬にとって馬場状態が十分に「重」ではないと判断されたのだ。

　しかし代わりに独ダービー2着馬ミスターハリウッドが地元の観客に応援される対象となった。彼はずっと先頭に立ってそのまま押し切ろうとしたが、外ラチ沿いを離れたときに、ザグレイにとって絶好のタイミングで隙間をつくってしまった。

　スリリングな最後の1ハロンでザグレイはその能力の高さとスピードを見せつけ、ミスターハリウッドを首差で破った。彼はドバイシーマクラシック（G1）でイクイノックス、ウエストオーバーに次ぐ3着、前走のサンクルー大賞（G1）でウエストオーバーの2着となっていた。馬主はアルティマ厩舎＆ジェラール・オーギュスタン-ノルマン氏である。

　スミヨン騎手はこう語った。「簡単なレースではありませんでしたね。スタートから巧妙な駆け引きが展開されていました。最初のコーナーで、好位を確保しようと内ラチ沿いに入り込むことを選びました。かなりスローペースで先頭からずいぶん離されていましたからね」。

　「直線に入っていくとき、馬が遠心力で外に回されると分かっていたので、手綱を引いてふんばるチャンスを与えたのです。いつでもうまく末脚を発揮するので、隙間ができるのを待ちました。抜け出せるほどの大きな隙間はなかなかできませんでしたが、ラスト200mで進路が開くと、素晴らしい末脚を炸裂させてくれたのです」。

　「本当にタフな馬です。素晴らしい武器になりますね。冬にドバイに行ったことで、成熟度がかなり増しました。今回のレースぶりにはすごく満足していますね」。

　バーデン大賞は凱旋門賞（G1）への足掛かりとなっており、2年前にはトルカータータッソがダブル制覇を果たしている。スミヨン騎手はザグレイが今年その記録に名を連ねるかもしれないと思っている。パディパワー社は凱旋門賞でのザグレイの単勝オッズを26倍から13倍に引き下げた。

　スミヨン騎手は、「レース後の馬の状態を見る必要がありますが、バーデン大賞はいつだって凱旋門賞の素晴らしいプレップレースです。もう少し重い馬場の方が得意だろうと思いますし、経過を見守っていきます。凱旋門賞でチャンスがあるのは確かでしょう」と締めくくった。

By Aisling Crowe

［Racing Post 2023年9月3日「'I'm really happy with what he did there' - Zagrey 12-1 from 25 for Arc after Group 1 success」］