偽陽性発覚で停止されていた騎手への唾液・汗検査の試行を再開(イギリス)[開催・運営]
BHA(英国競馬統括機構)は8月4日(金)、ドーピング撲滅を目的とした新たな唾液・汗検査の試験的実施を8月にも再開することを発表した。以前の検査は手痛い偽陽性の発覚により停止とされていた。
ショーン・リーヴィー騎手は昨年9月に8日間の騎乗停止処分を受け、レーシングリーグにリーダーとして出場して2万ポンド(約370万円)を獲得するチャンスを逃した。サンダウンで実施された検査でアンフェタミンについて陰性ではないという結果が出たためである。
しかしリーヴィー騎手は無実を主張した。そしてサンダウンでの検査の翌日に採取された尿検体を検査機関でより厳密に検査した結果、いかなる禁止物質の痕跡も示さなかった。リーヴィー騎手への嫌疑は晴れ、BHAは唾液検査の試験的実施を停止した。
検査プロセスを包括的に見直した結果、多くの変更がなされた。そして新たな試験的実施では、内務省が承認した別の検査キットが使用される。
この検査キットは、警察が路上で検査を実施する際や、従業員の薬物検査にも使用されている。60秒以内に検体を採取して、5分で結果が判明するのだ。
提出された検体が陽性だった場合、2回目の検査が実施され、その結果が陰性であった場合、騎手は自由に前検量を受けることができる。
陰性でなかった場合、騎手はその日の騎乗を取りやめ、尿検体が採取される。尿検査で禁止薬物の存在が確認された場合、騎手は通常の薬物検査で陽性だった場合のプロセスに従う。
BHAの公正確保・規制担当理事であるティム・ネイラー(Tim Naylor)氏はこう語った。「新たな口腔液検査の試験的実施が始まることを確認できて嬉しく思うと同時に、検査プロセスをこの段階まで到達させるために協力してくれた騎手たちに感謝したいと思います」。
「競馬を安全でクリーンで公平なものに保つことが私たちの最優先事項です。この検査は競馬参加者だけでなく出走馬の福祉を守るチャンスにもなります。またすべての競馬参加者と馬券購入者にとってもレースの公平性を高める機会をもたらします」。
By David Carr
(1ポンド=約185円)
(関連記事)海外競馬ニュース 2021年No.7「BHA、騎手への競走当日の唾液検査を計画(イギリス)」
[Racing Post 2023年8月4日「New anti-doping saliva and sweat testing pilot introduced by BHA after last year's false positive error」]