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2023年07月20日  - No.27 - 2

ナシュワ、マイル戦のファルマスSで復活の勝利(イギリス)[その他]


7月14日(金)ファルマスS(G1 芝約1600m ニューマーケット競馬場ジュライコース)

 ナシュワ(牝4歳 父フランケル)は久々のマイル、それもG1の舞台で見事な復活を果たした。雨降りしきるジュライフェスティバル2日目のファルマスSで5馬身差の圧倒的勝利を決めたのだ。

 2000m以上の格下レースで連敗を喫していたナシュワは、1年以上ぶりとなるマイル戦を堂々と走り、リマーキーと大本命のヴィアシスティーナを退けて優勝した。

 昨年仏オークス(G1 ディアヌ賞)とナッソーS(G1)を制しているナシュワの関係者は、2万ポンド(約360万円)支払って彼女を追加登録するという大胆な行動に出ていた。しかし彼女がこのG1競走を制したとき、その利益は14万5,000ポンド(約2,610万円)以上にのぼった。

 ナシュワはホリー・ドイル騎手を背に、先行していたアストラルボー(Astral Beau)と昨年の覇者プロスパラスヴォイッジ(Prosperous Voyage)から離れたところに控えて悠々と走り、ディップ(決勝線の400m手前から下り坂となり200m手前からは上り坂となる)を駆け上った。

 パディパワー社は、ナシュワのナッソーS連覇達成のオッズを9倍から4倍に引き下げた。ナッソーSは8月3日にグッドウッドで施行される。

私が変なものを吸っているのではないかと思ったことでしょう

 ジョン・ゴスデン調教師はこう語った。「速いペースで走る先行勢の後ろに控えて悠々と走っていて、ディップを駆け上がるときに能力と末脚を見せつけました。前がふさがらずに抜け出すことができたのはラッキーでした」。

 「春は始動までに時間がかかり、このレベルに達するために何戦かする必要がありました。ニューキャッスルのレースに出走させたところ2着に終わりましたが、ここ1週間ほどで本来の調子が戻ってきました。"ファルマスSにナシュワを追加登録したらどうでしょうか"と電話で提案したとき、テディ・グリムソープ氏は私が変なものを吸っているのではないかと思ったことでしょう。でも最終的にすべてがうまくいきましたね」。

 「ナシュワは大柄で牡馬のような体格をしているのです。だから馬場が少々緩くても対応できます。グッドウッドでもうまくいくことを願っています」。

 自らにとってG1・7勝目を達成したホリー・ドイル騎手はこう語った。「驚きはしませんでしたが、ホッとしましたね。馬主のイマド・アル・サガル氏が彼女にもう1年現役を続けさせるという決断を下していたのです。大変な価値が賭かっているだけに大きなリスクを伴いますね」。

 「マイルでもどれだけ有能かを見るのができたのは素晴らしいことです。新たな可能性が開かれました。これまで以上に気持ちよさそうに走っていました。春から2戦しただけで、望むようなレベルに到達できました。乗るたびに引き締まってきています」。

 優勝オーナーのイマド・アル・サガル氏のレーシングマネージャーであるテディ・グリムソープ氏はこう語った。「素晴らしかったですね。ニューキャッスルで敗れたときは、少しがっかりしていたのです。だけどジョンとセイディがその敗戦からこの馬がとても良くなっていると考えていたので、ファルマスSに追加登録することにしました。それでうまくいきましたね」。

 「これまでは10ハロン(約2000m)向きの牝馬と思っていたので、マイル戦には出してこなかったのです。でも今回は完璧でしたね。重馬場が得意なわけではないのですが、うまく対応しました。G1でまた勝利を挙げることができたなんて最高ですね」。

 2着のリマーキーと7着のプロスパラスヴォイッジを管理するラルフ・ベケット調教師はこう語った。「リマーキーにはとても満足しています。期待していたように、彼女はいっそうプロ意識をもってレースに臨むようになってきています。まちがいなく彼女のファミリー(牝系)の特色ですね。全力で走ってくれましたが、またジョン(・ゴスデン)にうまくやられてしまいました」。

 「リマーキーはロトシルト賞(7月30日 ドーヴィル)に登録しています。今週登録したばかりなのです。今後様子を見てみます。メイトロンS(G1)にも登録していますし、サンチャリオットS(G1)もあります。馬場状態は彼女にとってあまり重要ではないようです。様子を見ながら、チャンスがあれば狙いにいきますが、当面はマイル路線にとどまると思います。一方、プロスパラスヴォイッジには馬場が不利だったようです」。

 レース前は、最近プリティポリーS(G1)を制したヴィアシスティーナが出走するかどうかが話題の中心になっていたが、昼前から雨が降りしきっていたことで参戦が決定した。

 ジョージ・ボーイー調教師はこう語った。「距離をマイルに戻しての挑戦でしたが、ヴィアシスティーナはレース中に蹄尖部をぶつけてしまったのです。ジェイミー・スペンサー騎手は鞭を一度使っただけでしたが、彼女はうまく走り続けてくれました。一時は5着か6着になるかと思われましたが、坂を上がっているときはずっと粘ってくれましたね」。

 「少し休養をとってから、秋にはふたたび10ハロン(約2000m)のレースを目指して準備するでしょう。もうマイルを使うことはないでしょうね」。

By David Milnes

(1ポンド=約180円)

[Racing Post 2023年7月14日「'I wasn't surprised but it was just a relief' - Nashwa powers through the rain to land Falmouth Stakes under Hollie Doyle」]


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