競馬場への犬の入場を認めることで観客を引きつけられるか(イギリス)[その他]
既存の枠にとらわれない発想が、観客の減少傾向に歯止めをかけるカギとなる。3月にウォリック競馬場で、まさにそれを証明するような出来事があった。
ウォリック競馬場はチェルトナムフェスティバルが始まる前の3月12(日)に3回目の4本足の友を迎える開催日を実施した。愛犬の入場を受け入れてファミリーデーを盛り上げたのだ。
最後の直線の½ハロン(約100m)を駆けあがるパグゴールドカップ(Pug Gold Cup)を見逃してはならない。多くの出走犬を引きつけフルゲートとなり、今回もひきつづきウォリックのローカル・パーキング・セキュリティ社がスポンサーを務めた。この日の競馬開催(全7レース)は数々の犬のイベントが色を添えた。
ドッグショーが催され、写真家が犬を撮影し、地元企業がアドバイスやデンタルチェック、マイクロチップチェックを行った。
この"犬の日"は2,206人の観客を集め2007年以来の大盛況となった。筆者は"犬の入場が禁止されていることで、競馬ファンになるかもしれない人々を遠ざけているのではないか?"と思ってしまった。
フェイクナム競馬場・ヘクサム競馬場・ケルソー競馬場は英国でも数少ない犬を歓迎する競馬場であり、常にリードをつけていれば、野外エリアにかぎり入場が可能である。また、犬と飼い主が入場できても、立入りが馬場内エリアに制限される競馬場もある。さらに、盲導犬のみ入場できる競馬場はたくさんある。
しかしポイント・トゥ・ポイント競走では正反対であり、頻繁に犬を見かけ、むしろ田舎で一日を過ごしているという印象を強くさせる。
英国ペットフード製造者協会が2021年と2022年に実施した調査によると、英国の34%の世帯が犬を飼っており、ペットとして飼われている犬は1,300万頭と推定される。
新型コロナの大流行以降ペットを飼うことは盛んになっている。競馬場はできるだけ多くの人に競馬開催日をアピールするために、最大限の努力をすべきである。競馬場の方針を少し変える必要があるし、犬の水飲み用容器も少しは用意しなければならないだろうが、正門をくぐって競馬場に入って来る人数には違いが生まれるかもしれない。
チェルトナムフェスティバルやグランドナショナル(エイントリー)でダルメシアン、ダックスフンド、ドーベルマンが歩き回ることは期待できない。ただ小規模な競馬開催、とりわけ週日の開催では犬がうろつくスペースはかなりある。ほかの競馬場もそろそろリードを握るときだろう。
By Jack Haynes
[Racing Post 2023年4月2日「Racecourses are barking mad not to open their doors to dog owners more often」]