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2023年03月30日  - No.12 - 2

ドバイワールドカップナイトで優勝したイクイノックスなど日本馬の血統(ドバイ)[生産]


 またもや国際的な競馬の祭典で、日本の競馬界と生産界にとって栄光の一夜がもたらされた。ドバイワールドカップナイト(メイダン競馬場)は日本馬のものとなった。参戦した日本馬はダートと芝の主要レースで3勝を達成し、中でもドバイシーマクラシック(G1)でのイクイノックス(牡4歳)の衝撃的な記録破りの勝利は極めつけとなった。

 この芝の主要レースでのイクイノックスの楽勝の前後に、日本馬はダート戦であるUAEダービー(G2)とドバイワールドカップ(G1)を制した。しかし目撃した人々の記憶に長く刻まれることになるのは、イクイノックスがこの芝レースの勝利で見せた絶対的な威厳と余裕綽々ぶりであろう。

 発走の瞬間からイクイノックスはレースの主導権を握り、クリストフ・ルメール騎手は手綱を緩める必要はなかった。残り1ハロンでペースが落ちたにもかかわらず、ほかの馬の追随を許さず走り続け、これまでの記録を1秒縮めるコースレコードを打ち立てた。

 イクイノックスは、2019年ドバイターフ(G1)優勝馬アーモンドアイによって国際的な知名度が高められたシルクレーシングの勝負服を背負っている。天皇賞(秋)(G1)でサウジカップ(G1)優勝馬パンサラッサを破るなど、G1・2連勝を果たしてドバイのレースに挑んだ。今回見せた堂々としたパフォーマンスはキャリア7戦目にしてのものだった。

 イクイノックスは2歳のデビュー戦を勝利で飾ったあと、東スポ杯2歳S(G2)を制した。3歳になってからの初めの2戦、皐月賞(G1)と東京優駿(G1 日本ダービー)ではいずれも2着となる。そのあと常勝街道を走りはじめ、木村哲也厩舎のこの馬は一躍スターダムにのし上がった。

 イクイノックスはキタサンブラックの初年度産駒としてノーザンファームで生産された。父キタサンブラックは、ジャパンカップ(G1)や春と秋の天皇賞などを制してG1・6勝を達成し、年度代表馬に2度選ばれている。またキタサンブラック(社台スタリオンステーションで供用)の父ブラックタイドは驚異的なチャンピオン、ディープインパクトの全兄であり、スプリングS(G2)で優勝している。

 2022年の年度代表馬イクイノックスはマーメイドS(G3)優勝馬シャトーブランシュの第3仔である。シャトーブランシュ(父キングヘイロー 父父ダンシングブレーヴ)は現役時代、優秀な息子と同じ服色で出走していた。繁殖牝馬として、これまでラジオNIKKEI賞(G3)とメトロポリタンS(L)の勝馬ヴァイスメテオール(父キングカメハメハ)、そして3勝馬ミスビアンカ(父ロードカナロア)を送り出している。

 シャトーブランシュには3歳のジャスタウェイ牡駒と2歳のキズナ牝駒もいる。この春にはイクイノックスの全弟か全妹を出産する予定である。

 ウシュバテソーロ(牡6歳)はドバイワールドカップ優勝に向けて異なる道のりを歩んだ。劇的なクライマックスを迎えた瞬間、アルジールスの勝利を阻むために猛追を見せたのだ。

 ウシュバテソーロは高木登調教師により管理されている。馬主は了徳寺健二ホールディングス。日本の三冠馬オルフェーヴルが送り出したG1馬4頭(実頭数)のうちの1頭である。オルフェーヴルは凱旋門賞(G1)でトレヴの2着となり日本にとって悲願である優勝にわずかに及ばなかった。

 昨年ダートに転向してからウシュバテソーロの適性は明らかになった。ダートで7戦6勝と驚異的な成績を残している。ドバイワールドカップ制覇は東京大賞典(G1 12月29日)での勝利に続きG1・2勝目となった。またドバイでの一戦に備えて川崎記念(Jpn1 2月1日)に挑み優勝している。

 生産者は千代田牧場。母ミルフィアタッチ(父キングカメハメハ)の通算成績は25戦3勝。24戦がダートで勝鞍もすべてそこで達成された。8頭の仔がデビューしており、ウシュバテソーロが初めてのステークス勝馬となった。ウシュバテソーロはセレクトセール(当歳)で了徳寺健二氏により2,700万円で購買されている。

 日本の生産者は最高級の種牡馬と繁殖牝馬を輸入して血統を補完し強化することに決して躊躇しない。ドバイゴールデンシャヒーン(G1)2勝馬マインドユアビスケッツの導入はすでに実を結んでいる。マリブS(G1)優勝馬のマインドユアビスケッツは2022年に勝馬28頭を送り出し日本のリーディングファーストクロップサイアーに輝いた。代表的な産駒は全日本2歳優駿(Jpn1)優勝馬デルマソトガケである。

 音無秀孝調教師はデルマソトガケをサウジアラビアに遠征させ、サウジダービー(G3 2月25日)で3着という成績を残している。そして3月25日(土)のUAEダービー(G2)でデルマソトガケは優勝し、父マインドユアビスケットにとって初めての重賞勝馬となった。

 生産者は社台ファーム。2021年セレクトセール(1歳)で浅沼廣幸氏により1,980万円で購買された。

 デルマソトガケはアムールポエジー(父ネオユニヴァース)の第5仔である。アムールポエジーは関東オークス(Jpn2 ダート)など3勝を挙げている。5頭の仔がデビューしており4頭が勝利を挙げている。その中にはリステッド競走3着のポップフランセ(父フレンチデピュティ)がいる。アムールポエジーは1歳のニューイヤーズデイ牝駒も送り出しており、去年の春もマインドユアビスケットと交配している。

By Aisling Crowe

[Racing Post 2023年3月25日「Equinox dazzles on a Dubai World Cup night to remember for Japan」]


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