殿堂入りした小さい牝馬、エクストラヒートが24歳で死亡(アメリカ)[生産]
殿堂入りした競走馬エクストラヒート(24歳)が12月に死んだことが、ウッドフォードサラブレッズにより発表された。
小さい鹿毛の牝馬エクストラヒート(父ディキシーランドヒート 母ビギン 母父ハチェットマン)は、ポープ・マクレーン氏とパートナーによりケンタッキー州で生産された。2000年から2003年にかけてレースでスピードと能力を発揮したことにより、よく知られる存在となった。通算成績35戦26勝を挙げ、うち25勝はブラックタイプ競走で達成し、現代における牝馬の記録を作った。ハイライトとなる勝利は、2001年プライオレスS(G1 ベルモントパーク)優勝とG2・6勝である。また、2001年BCスプリント(G1)では½馬身差の2着となり、2002年ドバイゴールデンシャヒーン(G1)では3着となった。いずれも牡馬相手の惜敗だった。さらにエクストラヒートは2001年にピムリコ競馬場で6ハロン(約1200m)のコースレコードを樹立している。
4着以下となったのはわずか2回である。ジョン・サルズマンSr.調教師に手掛けられ、総賞金2万5,000ドル(約338万円)の未勝利クレーミング競走でデビューし、生涯獲得賞金は238万9,635ドル(約3億2,260万円)に上った。
エクストラヒートはスプリント戦を得意としたが、2001年最優秀3歳牝馬に選ばれる(この賞は通常ダートの長距離馬に贈られる)。2015年には国立競馬博物館の競馬殿堂入りを果たし、改めてその才能が認められた。
レースキャリアが終盤に向かう中、エクストラヒートは2002年ファシグ・ティプトン社11月セールに上場されるが、競り合いが170万ドル(約2億2,950万円)で止まってしまい最低指定価格に届かなかった。体高15ハンド(約152 cm)に満たないこの牝馬が当歳セールで9,100ドル(約123万円)、1歳セールで4,700ドル(約63万円)、2歳トレーニングセールで5,000ドル(約68万円)で落札された時とは大違いである。この11月セールの後、馬主のケネス・テイラー氏、ハリー・ダイチマン氏、サルズマン調教師がこの牝馬をクラシックスターステーブルに庭先で売却した。価格は非公開である。彼女は新しい馬主のもと、2003年にステークス競走を2勝した。そのうちの1つである2003年バーバラフリッチーH(G2)を制したときに、1970年代のチャンピオンであり同じく殿堂入りを果たしたスーザンズガールを抜き、現代における牝馬の獲得賞金記録を更新した。その後、現役を引退することになる。
ウッドフォードサラブレッズは2006年、クラシックスターステーブルの資産処分によりエクストラヒートを個人購買した。
エクストラヒートは繁殖牝馬としてステークス勝馬サウスウエスタンヒート(豪州で種牡馬入り)とステークス競走2着馬エックスレーティッドキャット(テキサス州で種牡馬入り)を送り出した。またファシグ・ティプトン社2月2歳トレーニングセールにて75万ドル(約1億125万円)で落札され、のちにステークス勝馬となったイルーシヴヒートの母でもある。
採算が取れなくなってきたため、ウッドフォードサラブレッズは2019年にアウトワークの産駒を産んだエクストラヒートを引退させた。以来、彼女はウッドフォードサラブレッズ(フロリダ州レジック)の緑の芝生が生い茂った広いパドックを満喫し、ゆったりとした生活を送っていた。
ウッドフォードサラブレッズのオーナーであるジョン・サイクス氏は2022年にエクストラヒートについてこう語っている。「彼女は自分の居場所を知っていて、餌の時間にはいつも一番に来ますね。堂々とした振る舞いをするのですが、それでいて一緒にいて楽なのです。大きな心を持った小さな鹿毛の牝馬です。我々のチームに"すべての馬に可能性を見つけよう"という気にさせてくれますね」。
ウッドフォードサラブレッズのプレスリリース(3月9日付)で、サイクス氏は「殿堂入りした馬を所有して世話をするという特権を得られていつも光栄だと思っていました。彼女がいなくなって、牧場もチームもとても寂しくなりますね」と述べた。
By Woodford Thoroughbreds
(1ドル=約135円)
[bloodhorse.com 2023年3月9日「Hall of Fame Racehorse Xtra Heat Dies」]